全従業員が退職願を出したあの鈴鹿のFMが、鈴鹿サーキットとコラボ・8耐を3日間実況生放送

これまでは場内のミニFMだった

 7月24日から26日にかけて、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催される「鈴鹿8時間耐久ロードレース」の特別番組がSuzuka Voice FMで放送されることが明らかになりました。

 これまで8耐の実況放送は、鈴鹿サーキット内でのミニFM(法律内の微弱電波)だったため、場内でも聞こえない場所があったりしましたが、Suzuka Voice FMは鈴鹿市のコミュニティFM局であり、鈴鹿市周辺を広くカバーしていますので、実際に8耐をご覧になりながらの方だけでなく、ラジオ番組としても楽しめそうです。

 そういえば…。

 ちょうど1ヶ月前に、Suzuka Voice FMの全従業員が突如退職願を出し、自社制作の番組が放送できなかたっというトラブルがありましたが、あれは、一体なんだったのか、各紙の報道を読み比べてみます。

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3日間で合計16時間半の大型特番

 公式サイトによりますと、今回、鈴鹿8耐にあわせて、Suzuka Voice FMが放送するのは、鈴鹿サーキット内での場内実況をはじめ、8耐に出かける方のための交通情報やお天気情報をきめ細かく届けるとのこと。

7月24日(金)9:30~12:00、15:00~18:00
7月25日(土)15:00~17:00
7月26日(日)11:00~20:00

 さすが、鈴鹿サーキットのお膝元ならではですよね。自社制作番組と鈴鹿サーキットからの実況を組み合わせての特番、実況も然ることながら、交通情報は地元の方々にとっても気になるところでしょうし、コミュニティFMの存在意義のひとつをしっかり発揮していますね。

 そんなSuzuka Voice FMですが、先月は新聞各紙の報道が駆け巡りました。

自社制作番組が流れなかったのはなぜ?

 まず大きく報じたのが伊勢新聞でした。

鈴鹿のFMが自社番組中止 全社員が出勤拒否

・20日(土)から自社番組の放送を中止
・20日(土)は午前5時から放送事故発生時用音楽
・およそ5時間後から東京の番組制作会社の番組を放送
・会社から19日付の予定だった給与の振り込みが無かった
・全社員7人が退職届を出して出勤しなかった
・役員はシステムを操作できず自社番組が放送できなかった

 これを読むと、給料が払われなかったことに反発し、全員が退職届を出して出勤せず、自社制作番組が放送できなくなった…ように読めますが…。

 産経新聞によりますと

全社員が退職願、生放送できなくなったFM局

代表取締役のコメントとして
「19日に経理担当の社員に給与を支払うよう命じたが、振り込まずに退職してしまった」

 とあり、こちらを見る限りは、給料の振り込みは通常通りに指示されており、退職が先で、事務手続きがなされずに振り込まれなかった。

 つまり「仕組まれた給与未払い」とも読めますね。

 さらに朝日新聞を見ると…

全従業員が退職願、一時生放送できず 鈴鹿の地域FM

こちらも社長のコメントとして

・7月からの新体制への不満が原因と見られる
・局内のパソコンのパスワードが変えられていてすぐに対応できず
・辞職願を出した従業員も連絡がつかなかった

 退職前に、システムのパスワードを変更し、なおかつそれを、上司である役員に報告することなく退職し、音信不通となった、ということになります。

・加藤社長は「(19日は)全員に必要な額より少し足りなかったが、資金繰りもできた」

 一方で、19日には「少し足りなかった」ともあるので、給与振込の指示をしていたにもかかわらず、全額は払えなかった…一部遅配は実際にあったと読めます。

すぐに番組は復旧

朝日新聞によると
・前従業員らに頼んで放送
・22日朝から平常に復帰

中日新聞(既にWEB上から記事は削除済)によると
・(22日午前から)元スタッフら外部の協力

 その後のSuzuka Voice FMは、2日間は通常番組を放送できなかったものの、22日(月)朝からは元通りの放送が行われており、先述のように、鈴鹿サーキットとコラボをした大型特番企画も実施されており、放送運行上のダメージはそれほどないように見えます。

 各紙を読み比べることでわかったことは…。

 退職した従業員が「給料が払われなかったから辞めた」と主張しているのに対し、経営側は「給与未払いは意図的に起こされた」「放送事故が起きるように仕組まれた」と暗に言っているということ。かなり意訳要約はしていますが。

 真相はわかりませんが、わずか2日、自社制作の番組が流れなかっただけで、その後は通常番組が放送され、1ヶ月後には、Yahoo!ニュースにも掲載され、全国的に話題になるような大型特番が放送されるこの状況を、辞めた従業員たちはどう思っているのでしょうか。

 ただ、わずか2日とはいえ、仮にもし、「意図的に放送事故を起こさせようとした」というのが本当だったのなら、完全にリスナーのことを考えていない放送マンたちだったといえるでしょう。

岐路に立つラジオ

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