しぐれのおにぎりがコンビニにあるのは東海だけしぐれがあさりなのも東海だけ

少し前にテレビで話題になりました

　今年の5月でしたか。名古屋のテレビ局が番組で扱ったことで、東海地方の各所で「ええ～！」という声の挙がった、「しぐれが東海だけ他と違う」問題。

　名古屋のテレビ局は情報を共有しているのか、それとも…なのかわかりませんが、ある局が取り上げたそのすぐ後に、別の局が取り上げていましたね。

　そんな経緯はさておき。「しぐれといえばあさり」「コンビニのおにぎりにはしぐれがあって当たり前」と思っている名古屋っ子が、またしても「それ名古屋だけだから」と突き放されたわけです。

　「放課」や「B紙」レベルのショックです。

　名古屋近郊のコンビニであれば、売られていて当たり前の定番おにぎりラインナップである「あさりしぐれ」。たまり醤油でグツグツと煮込まれたであろう、あさりの時雨煮がギュッとご飯に包まれ、その相性の良さたるや言うまでもなし。

　むしろ、おにぎりでしぐれといえば、あさりに決まってるだろうに、なぜわざわざ「あさりしぐれ」なんて蛇足のような名前になっているんだ…と思ってしまうくらいの存在です。

　まあ、高級なしぐれとしては、しぐれはまぐりがありますが、あれは、お歳暮やお中元でもらう限り口になかなか入れられないものですし、ましてや、コンビニのおにぎりに入れたらすごい価格になってしまうものなので、あさりに決まってるでしょ…と思うわけですが。

　その、テレビ番組でやっていたのですが、「しぐれと言ったら何を思い浮かべますか？」という質問を街角ですると、名古屋近郊では当然のように「あさり」。その一方で…。

　なんと、全国的には、しぐれといえば、「牛肉のしぐれ煮」なんですって…。

　確かに、牛肉のしぐれ煮の存在は知っています。でも、しぐれといえば、真っ先にあさりでは…と思うのが名古屋っ子。

　松尾芭蕉の弟子である各務支考が「『つくだ煮』なんて呼ぶのはやめて『しぐれ』って呼んだほうがイケてるよ」と、命名した場所が三重県の桑名市。

　そんな「しぐれ」の発祥地である桑名には「しぐれ肉巻きおにぎり」というご当地新名物がありますが、「しぐれ肉巻き」といっても、しぐれはあくまでもあさり。あさりのしぐれ煮が入ったご飯が肉で巻かれているのであって、「しぐれ肉」ではありません。

　でもそれはやはり東海の話。しぐれがあさりなのは、東海地方だけだったのです。

　となると、コンビニの「あさりしぐれおにぎり」は…。

　そうなんです。セブンイレブンもローソンも、あさりしぐれのおにぎりは「東海地方限定」。

　さらに、この東海エリアを発祥とし、名古屋の味覚を全国に普及する活動を行っているはずのコンビニエンスストアチェーン「サークルKサンクス」でさえも、あさりのしぐれおにぎりは東海限定だったのです。

　一時期、セブンイレブンでは「東海の味・あさりしぐれ」として、おにぎりを販売していたこともあったとか。

「東海の味」だったのね。

　そうか！桑名でも、柿安だと、まわりまわって、しぐれが牛肉になるのか！