トムとジェリーは何チャンネルで見ていた?名古屋での放送局とバージョンの違い

トムとジェリーの制作時期(第1期〜第5期)

さて、前回書いたとおり、1940~1958年にウィリアム・ハナ氏、ジョセフ・バーベラ氏の2人によって制作されたのが、一番古いトムとジェリーである。これを第1期とします。

では、時系列でその後を追ってみよう。

第2期〜第3期(劇場作品)

次に、1960年~1962年の2年間に、ジーン・ダイチ氏が制作。これを第2期とします。

そして1963年~1967年、チャック・ジョーンズ氏が制作。これを第3期とします。

ここまでが、劇場公開用に作られた作品であります。

日本ではテレビで見た印象が強いが、もともとは映画館の前座作品として制作されたものである。

今見直すと、「トムとジェリー」の世界にはラジオは登場するが、テレビはあまり登場しません。

つまり、テレビ普及前に作られた作品ということになる。

第4期〜第5期(テレビ向け作品)

1975年、「THE TOM&JERRY SHOW」として再びハナ&バーベラがテレビ用に制作。これを第4期とします。

しかし当時のアメリカではテレビ規制が厳しく、暴力シーンなどは制限されました。

この第4期から「仲良しバージョン」が登場する。

そして1980年代、フィルメーション制作の作品が第5期となります。

日本での放送形態(TBS版と日本テレビ版)

この第1期から第5期の作品が、日本でどう放送されたかを知ることが、記憶をたどる近道です。

TBSテレビ版(初期〜再配給)

まず、日本で最初に1964年に放送されたTBSテレビバージョン

これは「トランスグローバル」制作で、TBSの手を離れた後は系列に関係なく各局で再放送されました。

名古屋テレビでも何度も放送されていたと考えられます。

実際に、テレビ静岡やテレビ西日本といったフジ系列などでも放送されていたため、系列はほぼ無関係でした。

このバージョンには、第1期〜第3期途中までの作品が含まれています。

日本テレビ版(1980年以降)

一方、第3期途中以降と第4・第5期は日本テレビバージョンとして放送されます。

1980年、「木曜スペシャル」で特番として放送されました。

この版は「日本テレビ制作」でトランスグローバルは制作協力扱いにとなっており、系列内での放送に限定されていました。

中京テレビでは、

  • 月〜木:第3期後半+第4期の再放送
  • 金曜:新しい第5期作品

という編成だったと考えられます。

これが「金曜だけ新しい絵だった」という記憶の正体です。

名古屋では両方の局で放送されていた

ということは…

「トムとジェリー」を名古屋テレビと中京テレビの両方で見ていたということになります。

実際、1982年11月23日の新聞では、

  • 名古屋テレビ:9:30~10:45
    トムとジェリー大会「透明ねずみ」「逃げてきたライオン」「仲よし同盟」ほか
  • 中京テレビ:16:00~17:30
    おかしなおかしなトムとジェリー大作戦!!(再)
    ▽果てしなき決闘▽油断大敵▽追いつ追われつ▽サーフィンに挑戦

同じ日に別チャンネルで放送されていたことが確認できます。

今考えるとかなり珍しい状況です。名古屋テレビは当時、月曜から金曜まで17:40~18:10の枠で再放送していたようです。

TBS版の特徴(3部構成と差し替え)

TBS版は3部構成で、

  • 前半:トムとジェリー
  • 中盤:別アニメ(MGM作品)
  • 後半:トムとジェリー

という構成でした。

また、オープニングはアメリカ版ではなく、日本独自の映像に差し替えられていました。

さらに、第1期・第2期作品にも、第3期のタイトルが使われていたのも特徴です。トムの声がオリジナルではなく、八代さんの声になっています。
そして、真ん中の話のタイトル画面は、トム、ジェリー、ドルーピーらが、映画館で鑑賞するというものでした。

日本テレビ版の特徴(音声と演出の違い)

日本テレビ版では、

  • ナレーション:植木等さん
  • トム:高橋和枝さん(カツオの声)
  • ジェリー:太田淑子さん

という構成。

映像は同じでも音声はアメリカ版ベースという違いがあります。

さらに第4期のオープニングも使用されていました。

結論:記憶の違いは「放送局と版権」の違い

ここまで整理すると、

・TBS版=名古屋テレビで再放送
・日テレ版=中京テレビで放送

という構図になります。

つまり、

「どのチャンネルで見ていたか」で記憶が変わるのです。

まとめ:あなたの記憶はどっち?

さぁ、あなたはTBS版と日本テレビ版、どちらの記憶がありますか。

この違いが分かると、長年の疑問だった

「トムとジェリー」と放送局の関係

が一気に整理できます。

それにしても、19時30分からの「木曜スペシャル」で放送されていたというのは、今考えるとかなり贅沢な使い方ですよね。

そして最後にひとつ。

「劇場版は暴力的でテレビでは放送できない」

ということは、昔のトムとジェリーは“大人向けアニメ”だったのかもしれません。

…なんだか違う意味に聞こえてしまいますが。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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