ご当地ソングから見える名古屋の独特な文化と仲間意識

この前、「中日文化」という日記でも触れましたが、名古屋というのは独特の文化を育んでんでいます。東京・大阪からそれほど距離は離れていないのに、これらの大都市とは全く違い、独自の世界感を持っていると言っても過言ではないほど、別世界となっています。

この、名古屋に住む人々というのは、普段は「名古屋大好き」とか、「名古屋は素晴らしい街だよ」なんてことは絶対に口にしませんし、東京へ観光したときでも、「名古屋から来た」とは、聞かれでもしない限り、絶対に自分から言いません。しかし、本当はほとんどの人が、名古屋に一生住み続けたいと思うくらい、名古屋を愛しています。

名古屋人が“名古屋愛”を語らない理由

では、なぜそれを口にしないか。答えは簡単です。東京や大阪の大都会人の前で、「名古屋は都会だよ」「名古屋はいいところだよ」なんて言ったところで、バカにされるのがわかっているからです。挙句の果てに、「名古屋から来た」とわかったら、「みゃーみゃーしゃべらないんだ」なんてリアクションをされ、隠しておけばよかった…。と後悔してしまいます。

私もラスベガスで、現地のアメリカ人ガイドに「ナゴヤ?オー、ミャーミャー」と言われたときは、ホント悲しくなりました。

名古屋人をこうさせてしまった原因のひとつとして、名古屋をネタに笑いを取っていたタモリ氏が挙げられます。彼が「えびふりゃー」などと言う前は、名古屋ではそんなに「えびフライ」は食べられていませんでした。なのに今では名物にしているところが、これまた悲しい。

よそ者に厳しい?名古屋の内向きな結束

そういった、「名古屋はバカにされている」という感情から、名古屋人は「よそ者」にはどうしても冷たくなってしまうところがあります。よく、「名古屋へ転勤すると大変だよ」とか「名古屋へ転校とは、苦労するよ」などと言われることが多いですよね。これは確かだと思います。そんなわけで、他の地域の人が、名古屋に入り込むのは、とても困難なことなのです。

しかし、国際都市であり、かつてオリンピックにも挑んだ、日本三大都市圏の中心都市、名古屋がそんなことではいけません。「名古屋へは絶対転勤、転校したくない」という、全国の方々の誤解を解かなければならない。

ご当地ソングに込められた想い

そんな想いからかどうかはわかりませんが、ある1曲の歌が作られました。

名古屋というのは、妙にご当地ソングを作りたがります。名古屋を題材にした、有名な歌が無いからでしょうか。カラオケボックスに行っても、あるのは「燃えよドラゴンズ」か、せいぜい、つボイノリオ氏の「名古屋はええよ!やっとかめ」くらいですからね。

歌謡曲界からも見放された名古屋は、自前で歌を公募し、作ることが多いのです。しかし、そんなご当地ソングが、名古屋で大流行したという記憶は、残念ながら私にはありません。

今から15年程前、1986(S61)年にNHK名古屋放送局が「愛知・名古屋マイソング」という企画で、ご当地ソングを公募したのです。そこで最優秀に輝いたのが、「拝啓、ここは名古屋です」という歌です。

歌詞から見える「名古屋の仲間意識」

設定は、名古屋へ転校してきた小学生が、前住んでいたところの友達に書いている手紙というものです。「名古屋は住みやすくて、いいところだよ」という、名古屋人の熱い想いが、どれほど出ているか、歌詞を見ていきましょう。

歌詞のポイント解説

拝啓、ここは名古屋です 僕はとても元気です
転校したてのころは、ちょっぴり寂しかったけど
⇒これは名古屋に限ったことではありませんね。最初は誰でも寂しいものです。

すぐに友達できたよ ホントいいやつだけれど
野球の話になると いつもケンカしてるんだ
⇒これは子どもにとって、切実な問題です。

仲間 仲間 名古屋の仲間に 僕も入れてもらったよ
仲間 仲間 名古屋の仲間は 素敵な仲間

⇒「仲間」を強調していますねぇ。その意味は後述します。

拝啓、ここは名古屋です 今日はすごくいい天気
学校はお城の近く 時々そこで遊ぶんだ
⇒名古屋のご当地ソングに、「お城」は欠かせません。

いつかこっちへ来たなら 僕に案内させてよ
それまでこの街のこと もっと知っておくからね
⇒お城以外に案内するような所はそんなに無いので、この街のことは、小学生でもすぐに覚えられます。

仲間 仲間 名古屋の仲間に 僕も入れてもらったよ
仲間 仲間 名古屋の仲間は 素敵な仲間
×2

この時点で「仲間」は21回登場。

名古屋で生きるための“作法”とは

結論として、「名古屋で仲間を作ろう」ではなく、「名古屋の仲間に入れてもらう」ことが重要だということです。名古屋人は連帯感が強く、結束しているので、そこに入れてもらう姿勢が必要なのです。

企業が名古屋に進出するときも同じです。「市場を荒らす」のではなく、「参入させていただく」という謙虚さが求められます。それで結果が出せるのかどうかはわかりませんが。

名古屋という街の本音

この歌は、転校してきた(巨人の帽子をかぶっていたのでおそらく東京?)少年の目線を借りて、結局のところ「名古屋は素敵」ということを伝えています。

当時はバスの信号待ちで流れるなど普及も図られ、それなりに認知されましたが、今では幻の存在です。

さぁ、あなたも勇気を出して、名古屋の仲間に入りませんか?

好き好んで、名古屋に引っ越す人っているのかなぁ。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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