名古屋市中区、地下鉄栄駅から少し南へ歩くと、ひときわ目を引くガラス張りの新しいビルが建っています。見上げると「日本経済新聞社」の文字。ここは日経の名古屋支社です。
「さらに価値ある情報へ…日経・新社屋、栄から発信」

日経名古屋新社屋。松坂屋のちょうど向い
栄のど真ん中に建てられたこのビル、その1階に注目すべき存在があります。どこかで見た犬のキャラクターとともに掲げられた「ココ掘れ」の文字——そう、ここにはテレビ愛知の公開型サテライトスタジオが設置されているのです。
栄の中心に登場した“開放型テレビスタジオ”

日経1階テレビ愛知栄サテライト
一般的にサテライトスタジオといえば、ラジオ局のイメージが強いものです。ここ栄にも、日経のはす向かいにあたる、ジェトロ名古屋輸入車ショウルームにZIP-FM(FM名古屋)のサテスタが併設されており、有名アーティストなどが登場した際には、人溜まりができていることがあります。
また、サテスタではないものの、日経のちょうど向かい側にある、松坂屋のオルガン広場からは、毎日お昼の0:30から1:00まで、CBCラジオ「カトレア・ミュージック」が放送されています。
あとCBCラジオは岐阜ラジオと共同で、岐阜市の「マーサ21」にサテスタを持っていますね。以前は東海ラジオも、栄地下街の日産ギャラリーから毎日「NORINORIあふたぁぬ~ん」や「ラジオテリアPM3」という番組を放送していました。
しかし、名古屋のテレビ局で街中に完全公開型のスタジオを設ける例はほとんどありません。名古屋テレビが富士見町OMCビルにスタジオを持っていますが、どうも4階にあるようで、防災時のバックアップ用だと聞いたことがあります。確かに番組収録も行われているようですが、外から見ることができるわけではないみたいです。

名古屋テレビ
富士見スタジオのあるOMCビル
また、CBCテレビが、以前は本社のスタジオを外から覗くことができる位置に配置していましたが、新社屋建設とともに無くなってしまいました。加えてCBCの旧社屋は、1階にマスターがあったのですが、今では考えられない設計らしいですね。マスターを乗っ取れば放送をジャックすることが簡単にできてしまうため、最近では外から見える位置や、簡単に入ることができるところには、マスターを置かないそうです。物騒な世の中ですからね…。あとは東海テレビが、ちょこっと外から見ることができる位置に、喫茶店を改造した「喫茶スタジオ」なるものがあるくらいでしょうか。
その中で、この栄サテライトスタジオは全面ガラス張りの“見せるスタジオ”。まさにテレビ版サテスタといえる存在です。なぜこのようなものを作ったのでしょうか。開局20周年で節目にあたる年だからなのか、それとも日経新社屋に便乗しただけなのか…。
なぜテレビ愛知は公開スタジオにこだわるのか
地域密着を掲げる放送局の宿命
実は、テレビ愛知という放送局には、以前から公開スタジオを持ちたいという考えがあったそうです。
テレビ愛知は、東海3県全域をカバーする他局とは異なり、愛知県のみをエリアとするローカル局です。そのため開局当初から地域密着と視聴者との距離の近さ「ふれあい」を重視してきました。
本社1階ロビーをガラス張りにしたり、公開イベントを実施したりと、“見えるテレビ局”づくりを意識してきた歴史があります。
公開放送が難しくなった事情
かつては若宮大通りで公開イベント「大須若宮ふれあい夏祭り」を開催し、生放送も行われていました。また、「ほっとサンデー生放送」という番組では、毎週希望者を第1スタジオに入れ、公開スタイルをとっていました。
話が少しそれますが「ほっとサンデー生放送」は好きでしたねぇ。なんでも牛乳を入れてしまう料理の先生や、相澤アナウンサーと水谷若緒さんと松本善臣さんの軽妙なやりとり…。西田アナウンサーの家をリフォームするなんていう企画もあったっけ…。しかもこの番組、岐阜テレビとの2局ネットだったんだよなぁ。今考えると不思議な放送形態でしたね。なんかほのぼのした番組でした。1回FAX読まれたっけなぁ。
話を戻して、戻して…。しかし、その若宮大通りの高速ガード下は、ここ最近たくさんの路上生活者が暮らしています。そのため1階のロビーや若宮大通での公開番組の継続が難しくなってきたという事情もありました。
その結果として生まれたのが、栄の中心に新設されたこのサテライトスタジオなのです。しかし、テレビ塔からの電波の乱反射や、自動車ノイズなどの問題があるとかで現場での評判はイマイチなようです。
第3のスタジオとしての役割と可能性
このスタジオは単なるPR拠点ではなく、既存スタジオに次ぐ「第3の制作拠点」としても機能します。しかもその広さは、「ニュースアイ」を放送している第2スタジオよりも広いというから驚きです。
現在は広報番組「ココ掘れ」が生放送されています。ちょうどその時間に通りがかれば、1月に入ったばかりの馬場アナウンサーや本保アナウンサーを見ることができるはずです。
栄という場所柄、日曜朝のケン・マスイさんの生情報番組、「みっちゃく!」をここから放送するとか、有名人のインタビューとかをここでやって、人を集めるというのもいいのですが、せっかく日経の1階にあるのですから、ニュース番組全体をここから送出とはいかなくても、日経の記者さんが解説する情報番組とかっていうのも面白そうですよね。
地元密着に期待
何はともあれ、デジタル化で各テレビ局が新しい試みをするのは、やる方は大変でしょうけど、視聴者としてはとても楽しみです。この春から、テレビ東京が夕方のニュースを縮小するという状況になっていますが、テレビ愛知はローカルにプライドを持った、地元重視のテレビ局だと信じています。栄サテライトを活用して、さらなる地元密着で興味深い情報番組を期待しています。
デジタル化に向け、CBCは既に新社屋を完成し、東海テレビ、名古屋テレビは新社屋完成に向け工事が進んでいます。テレビ愛知はそういった噂は聞きませんが、この栄サテライトスタジオ増設がそれに向けての動きになりますかね。
まぁ、新社屋は?とか言う前にテレビ愛知は現本社も自社ビルじゃないですからねぇ。でも、建物が自前かどうか、新しいかどうか、立派かどうか、なんてことより、そこで作られる番組の質のほうが重要です。テレビ愛知は派手さこそないものの、ローカルに根ざした番組作りに強みを持つ局。この栄サテライトスタジオが、その強みをさらに引き出す拠点となるのかが注目されます。
“サテライト”という言葉に見るテレビ東京系列らしさ
ちなみにテレビ東京系列は、「サテライト」という言葉が好きなようです。
- ワールドビジネスサテライト
- モーニングサテライト
- イブニングサテライト(テレビ大阪)
そう考えると、「栄スタジオ」ではなく「栄サテライト」という名称も、系列らしいネーミングと言えるかもしれません。
まとめ:栄から始まる新しいテレビ体験
この栄サテライトスタジオは、「視聴者とテレビ局の距離を縮めるための実験場」とも言える存在です。デジタル時代において、テレビがどのように進化していくのか。そのヒントが、このガラス張りのスタジオに詰まっているのかもしれません。
今後、この場所からどんな番組や新しい試みが生まれるのか、楽しみに見守りたいところです。



コメント