ラジオから地域の枠が外れる?

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写真:岐阜放送旧社屋(岐阜市)※資料写真

昨今、ラジオ離れが叫ばれていますね。でも、それは当然のことなのかもしれません。だって、選択肢が増えている上に、環境によって、聞きたくても聞けないという状況も増えていますから…。

かつて車に乗れば、カーステにはCDどころかカセットデッキもついておらず、いや、それどころか、FMラジオすらなく、AMラジオを聞く以外に選択肢が無いという時代がありました。

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特に営業車ではその傾向が強く、電車ではなく、車で営業回りをするのが当たり前の名古屋では、営業マンはAMラジオを聞くしかありませんでした。また、工場や事業所などでも、ラジオを鳴らしているところも多かったのではないでしょうか。

それが今はどうでしょう。車でもワンセグ放送が受信できたり、CDどころかDVD、いや、SDカードが再生できるようなカーステがついていたり、それ以前に、携帯音楽プレーヤーを車に持ち込むことだって可能です。

逆に、仕事をしながらラジオを聞こうとしても、今やどの会社にでもその存在を絶対に欠かすことが出来ない、パソコンが発するノイズで、AMラジオは聞けないなんてことも多く、ラジオ以外の選択肢を選んでラジオから離れた人、ラジオを聞きたくても聞けなくなった人、これらに当てはまる人は結構多いのではないでしょうか。

そして最近では、そもそも家にラジオやラジカセが無く、ラジオとは何かを知らない子どもたちがいても、おかしくない環境になってきました。そこで、民放ラジオ局が今回踏み出したのが、ラジオ放送のインターネット同時放送です。

【日経ビジネス】大手民放ラジオ13社、ネット同時放送解禁へ

東京と大阪にあるラジオ局13社が、インターネットでサイマル(同時)放送を開始するというのです。しかしここで疑問が。東京のラジオが全国で聞けるようになるのか?答えは「ノー」。

インターネットへのアクセス元のIPアドレスから住所を判定し、東京のラジオ局は首都圏の1都3県、大阪のラジオ局は大阪府のパソコンのみでしか聞けないようにするとのことです。なんだよケチ…と思うかもしれませんが、この地域限定の壁が崩れた時には、ラジオ局そのものが崩壊する可能性がありますよね。

地方のラジオ局というのは、東京のラジオ局の番組をネットすることで、営業的にも編成的にも成り立っている部分が大きいのに、もし、東京のラジオ局がネットで全国配信されるとなったら、地方局の経営は今以上に立ち行かなくなってしまうでしょう。

また、ラジオ好きにとってもこれは論争になりそうですが、我々地方の人間は、普段、東京のラジオが聞けないからこそ、東京のラジオにあこがれを持っているのであって、東京のラジオ局が、もし全国にネットで配信されるとなれば、全国向けを前提として編成を行うようになるわけで、それはもう、今の東京のラジオ番組とは、全く異なるものになってしまうのではないか…果たしてそれが聞きたいものになるのだろうか…と思えるわけです。

しかも、電波でのラジオ放送というのは、国の免許による、公共的な存在であるのに対し、ネットでラジオを流すことに制限はなく、免許事業を行っている放送局が、インターネットラジオという、無秩序な土俵に降りてきた、という印象も拭えません。

とはいえ、まだ、名古屋の局がどうなるのかはわかりませんが、パソコンでぎふチャンラジオや東海ラジオがクリアに聞けるようになるのなら、リスナーとしてはそれ以上嬉しいことはありません。これ、今後の舵取り次第では、日本のラジオ放送そのものが沈没してしまいかねない…逆に、新たな地へと進むことができるかもしれない…

日本の民放ラジオは今、間違いなく、今まで航海したことのない大海原に、漕ぎ出でようとしているということだけは間違いありません。

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写真:岐阜放送旧社屋(岐阜市)※資料写真

かつて岐阜放送(岐阜ラジオ)が実験的に、生放送番組をインターネットで同時放送したことがありました。それは1998(H10)年1月31日「G-WAVE Music Typhoon」。あれから12年。ようやく実験としてではなく、民放ラジオのネット同時放送がスタートすることになりました。

ていうか、岐阜放送の先見性ってすごい。当時はまだ、ネットとの融合を図ろうとしていたのは、コミュニティFMくらいで、民放でそういう話は、あまり聞いたこと無かったですものね。ぎふチャンラジオの本地アナの声が、パソコンでクリアに聞けるようになる日を、楽しみにしています。

メディアの未来 ー歴史を学ぶことで、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、SNSの未来は導き出せる

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コメント

  1. &YOU より:

    岐阜放送ラジオの番組表には良好に受信できる地域として、伊勢湾環状帯(松阪あたりまで)が載っています。しかし在名局と同じように気軽に選局というには一宮あたりまでで、5kWの割には現実は(岐阜に近い)名古屋市北西部でも昼は弱く、夜はとても不安定です。同じ周波数の和歌山放送との混信云々より1431kHz自体に問題があるのではと思います。県域局だから地元にこだわることは大いに結構ですが、GBSは数少ないラジオ日本のネット局で、在名局と明らかに異なる番組を発信しています。GBSにとってもリスナーにとっても損はないはず。つまりは(近年まで指向性がついていたことを考えると)遠くへ飛ばないように混信を招くように(GBSが後発)、わざわざ割り当てさせたのだと思えてなりません。中日新聞愛知版のラジオ番組欄にはGBSはたった1段だけ、それも載りだしで約20年余り、それ以前は全くの扱いゼロ。当然名古屋では殆ど認知されていないでしょう。中日の力は強大ですが、別にGBSの受信環境が多少改善されたとしても在名局にとってさほど脅威になると思えない。ラジオ日本が県域局なのにどう考えても東京を意識して30kW→50kWとなったように、読売・朝日・岐阜新聞の政治力で10kW位にならないかと思ってます。

  2. >&YOUさま こんにちは
    ぎふチャンラジオの電波状況については、
    新聞社同士のライバル関係から、
    そういった邪推をしてしまいがちですが、
    岐阜放送の方には、知人の紹介で、
    何度かお話を聞かせていただいたことがありまして、
    当事者にこのことを聞いても、どうもそういう意識は無いですね。
    今回のテレビ愛知の問題と同じで、お役所の机上の想定、
    この場合は周波数割当に問題があるという認識、つまり、
    別の電管(当時)による縦割りの弊害という見方ですね。
    同様の事例は、テレビのアナログ放送でもありまして、
    長野放送とテレビ埼玉、
    とちぎテレビとテレビユー福島が混信によって、
    画質に影響が出ている地域があります。
    まあ、関係者は露骨に政治力の話を出すとは限らない、
    という見方もあるでしょうが、
    まず和歌山放送との混信について、
    和歌山側でも夜間は影響が出ています。
    和歌山放送が先に開局をしていますので、もし仮に、
    中日新聞の力で岐阜がこの周波数になったと仮定すると、
    中日新聞の政治力は、無関係の和歌山放送にまで影響させるほどに
    力があると、そこまで思えますでしょうか?
    また、CBCの川島局(500w)に比べても、
    ぎふチャンラジオの電波が飛ばない問題については、
    あの送信所の土壌に問題があるとのこと。
    岐阜放送は、あくまでも岐阜市から電波を発射するということに
    こだわったという経緯があり、そのため、
    当時は湿地であったあの場所を選んだものの、乾いてしまい、
    アースが効かなくなってしまったようです。
    一方、CBCの川島は河川敷なので、アースもとれてよく飛びます。
    むしろ、中日の政治力はあのCBC川島局だという話を聞きました。
    639KHzを使われたことで、
    岐阜放送の周波数変更への道を完全に絶った形になったと…。
    きっと、
    水面下で岐阜放送が周波数変更の道筋を探っているのを察知して、
    唯一使えそうだった639KHzを押さえたのでしょう。
    あと、中日新聞のラジオ欄についてですが、
    載り始めた頃はなぜか(名古屋では入らない)
    夕方5時からの番組だけが1段で掲載されていましたよね。
    入らない時間帯の番組だけを掲載という…すごいですよね。

  3. &YOU より:

    CBC川島局の話…そうですか、おもしろいですね、さすが中日。
    1978年のラジオ関東による巨人主催試合独占契約で、巨人×中日戦もたまに中継するNHK以外は岐阜放送のみの放送となった時、聴くのに苦労したものです。
    当時GBSは名古屋でも聴いてもらうべく、中日スポーツに広告刷を出していたような気がします。もちろん受信環境は昔も今も変わっていませんが。
    ぎふチャンテレビもそうですが、せっかく大きな市場が近いのに、なぜもっと岐阜を名古屋に発信しないのか不思議です。

  4. 名無しさん より:

    キーホールテレビや個人サイトで
    東京のテレビ/ラジオをストリーミングで
    日本全国はおろか世界のどこでも聴ける実情を考えると、
    IP規制はザルだな。

  5. >&YOUさま こんにちは
    どれだけPRしても、どれだけ認知度が上がっても、
    特に苦労することなく普通に綺麗に聞こえる、
    という前提がなければ、ラジオって聞かれないですよね。
    岐阜放送は、現在の「ぎふ100%」のキャッチフレーズからも、
    「視聴者も岐阜100%」「広告主も岐阜100%」
    名古屋に頼らずとも経営していける、
    というプライドが見えてくる気がします。
    >名無しさん こんにちは
    放送内容をチェックする程度ならわかりますが、
    キーホールなどという、あんな音質画質で、
    一般視聴用に満足できる人なんかいるんですか?
    ザルなのはいいんですよ。
    建前さえしっかりしていれば、
    マーケットエリアや広告主への営業に関して、
    免許エリアを逸脱した行為ができないわけで、
    編成の前提は崩れませんから。

  6. &YOU より:

    ラジオは近畿東海放送との合併で消滅したラジオ東海の後での設立、テレビは日本初の民放UHF親局で広域局を目指していたとか。
    GBSはなかなか志が高いと思うのです。
    中京テレビより早い開局で、先発民放V3局+GBSだけのまだまだフリーネットの時代、おいしい編成が組めたでありましょう。
    実際GBSは朝10時放送開始、中京は当初9時半開始だったと記憶してます。
    しかも中日愛知版テレビ欄は旧来より三重3段・岐阜3段でしたが、三重テレビナイターの完全中継が話題になっても、映らない岐阜放送テレビには皆興味なかったですね、(私はありましたが…)。
    ところがラジオは終日放送もしなくなってしまった現在、ぎふチャンには頑張ってもらいたいものです。
    横道に逸れますが、中日側も読売がテレ朝などにしているように、そろそろドラゴンズ戦をメ~テレや中京他にも中継権を与えましょう、三重とぎふにはリレーナイターもしてもらうとか。
    サンテレビやABCの中継体制からの阪神ファンへの影響を思うに、まず地上波で常に放送があるのが先。
    “大中日ならできるはず!”。TOPPYさん連日の返事ありがとうございました。

  7. >&YOUさま こんばんは
    私が聞いた話では、
    岐阜発の広域局としてVHF7チャンネルでの開局を
    目指していたとのことです。
    ただ「7」は「8」との隣接障害がありますから、
    隣接地域に8で関西テレビがある中京広域圏では、
    認められないはずなんですけどね…。
    実際に、日本初の民放UHF親局として開局していますし、
    岐阜放送の当時の意欲はすごかったのだと思います。
    しかし、広域が認められなかった反動が、
    岐阜県域への執拗なこだわりになっているのかどうかは、
    わからないですけどね…。
    これは裏が取れていないので、噂レベルの話として聞いてください、
    かつて名古屋テレビがドラゴンズ番組に力を入れるなどした結果、
    中日球団はメ~テレにも中継権を開放するという段階まで
    話は進んだのですが、実際に中日はその気が無かったのでしょう、
    すごい金額を提示して、名古屋テレビは激怒、
    ドラゴンズ番組も終わらせ、ナゴヤドームからの広告も撤退…
    という経過があったようですが…。実際のところは分かりません。
    今では、中京テレビもスポーツ番組からドラゴンズの名を外し、
    ナゴヤドームの広告から同じように撤退しています。
    うーん。メ~テレや中京で、
    ドラゴンズ戦は…やっぱり無いかも…。

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