いいともの裏で他局は…抜群の安定感を誇るNHKと日テレ

140713

日本テレビ放送網(2001年撮影)

19年の長寿番組の次が20年という超安定感

30年以上に渡って放送された、フジテレビの「森田一義アワー 笑っていいとも!」。その裏で、テレビ朝日は17の番組を放送し、TBSテレビは28もの番組を放送していました。

では、日テレとNHK総合はどうだったのか。この両局は、いいともとしっかり棲み分けする形で、抜群の安定感を誇っていました。まずは日テレから振り返ってみます。

[広告]

-開始-日本テレビ
1968秋 お昼のワイドショー(19年)
1987秋 午後は○○おもいッきりテレビ(20年)
2007秋 おもいッきりイイ!!テレビ(1年半)
2009春 おもいッきりDON!(1年)
2010春 DON!(1年)
2011春 ヒルナンデス!(3年3ヶ月~)

いいともが始まった頃、日本テレビは「お昼のワイドショー」を放送。ワイドショーといっても芸能よりも社会ネタが多く、それこそ今のひるおび!に近い番組だったようです。この番組は1968(S43)年の秋にスタートし、19年もの長きに渡る番組となりました。

ここで日テレは大きな賭けに出ます。番組のテイストはそのままに、午後1時台のミニ番組、午後2時台の「2時のワイドショー」さらに3時台の芸能ワイドを内包した、「午後は○○おもいッきりテレビ」をスタート。山本コウタローさんと泰葉さんの司会で始まり、「怪奇特集あなたの知らない世界」など、お昼のワイドショーから引き継いだコーナーも継続されました。

ちなみに、「午後は○○」とは、「午後は素敵」とか「午後は昼寝」とか「午後は半休」とか、文字を入れるためのものではなく、それまでにはない、正午から4時前までの約4時間の大型ワイド編成であったことから、「午後はまるまる」という言葉を短縮表記したものです。

ところが、山本コウタローさんが選挙に出馬することとなり、コーナー出演していたみのもんたさんが急遽司会に抜擢。

それまでのワイドショーから健康生活情報番組にガラッと内容が変わると高視聴率に。結果的に、後継番組の「おもいッきりイイ!!テレビ」を含めると21年半もの長期安定を誇る番組となり、日テレのお昼は比較的年齢が高い層をガッチリと押さえました。

しかし、それでは尻すぼみになってしまうと、少しずつ若者路線に転向。「おもいッきりDON!」「DON!」はお昼では短命に終わったものの、午前のワイドとしては今も一部地域でタイトルを変えて継続されており、前評判は散々だった「ヒルナンデス!」がそこそこ安定して現在に至っています。

それほど高視聴率とはいかないようですが、若返りを果たし、いいともの受け皿にもなっています。

140713a

NHK放送センター(2000年撮影)

地デジの過渡期以外は基本変わっていない

-開始-NHK総合テレビ
1970春 ひるのプレゼント(21年)
1991春 ひるどき日本列島(13年)
2004春 お昼ですよ!ふれあいホール(1年半)
2005秋 生中継ふるさと一番!(5年半)金は別
2011春 ひるブラ(3年3ヶ月~)金は別・2012年春からは木も別

笑っていいともがスタートした当時、NHKは「ひるのプレゼント」という生放送のバラエティ番組を放送しており、1週間で1つのテーマを設定し、帯番組らしい構成で人気を集め、21年に渡って放送されました。そして、今も続く地方からの生中継レポートスタイルになるのが、1991(H3)年春にはじまった「ひるどき日本列島」です。

お昼の各地の様子と、地方の特産、名物、名所などを生中継で放送するスタイルは、バラエティーとも情報ワイドとも一線を画し、NHKらしい番組として13年続いたのですが、「地デジ化」がネックになり番組は終了してしまいます。

2003(H15)年12月に、三大都市圏の東京・名古屋・大阪で、地上デジタル放送が始まります。デジタル放送はハイビジョン(HD)放送。民放はこれまでの標準画質(SD)番組についてもそのまま左右に黒帯を入れて地デジでも平気で放送していたのですが、ハイビジョン化推進の牽引役となるNHKは、総合テレビの地デジの編成に完全ハイビジョン放送を求められることになります。

東京・名古屋・大阪でハイビジョンの地デジ放送がスタートしたとはいえ、NHKでさえも、まだまだ地方局の中継機材は標準画質のまま。そのため、地方からの生放送というコンセプトの「ひるどき日本列島」は、標準画質でしか製作ができず、地上デジタル放送での放送を断念します。

2003(H15)年12月から2004(H16)年3月までの4ヶ月間、NHK総合テレビのお昼は、アナログ放送では「ひるどき日本列島」、地デジではハイビジョンの環境映像という歪な編成となってしまいます。

そこでNHKはひるどき日本列島の継続自体を断念。かつての「ひるのプレゼント」と同じようなバラエティー番組「お昼ですよ!ふれあいホール」を、渋谷のNHK放送センターにある「ふれあいホール」から生放送。東京発の番組にすることで、地デジ・ハイビジョン対応することにしたのです。

それから1年半。NHKの地方局の機材更新も進み、地方からハイビジョン中継できる体制も整い、以前の「ひるどき日本列島」とまったく同じ内容の番組が、「生中継ふるさと一番!」として復活します。その際、金曜だけは「お昼ですよ!ふれあいホール」を残す形で、「金曜バラエティー」となります。

その後、予算削減もあり、演出方法もかわり、番組は「ひるブラ」に。木曜は再放送番組、金曜は番宣番組となり、月曜から水曜までしか放送はされていませんが、今も「ひるどき日本列島」が続いているようなものです。

そういう見方をしますと、技術的な理由で1年半のブランクはあったものの、ひるブラのような番組が、20年以上続いているわけで、NHKも、これ以上の予算削減がなければ、ひるブラが続いていくことでしょう。

140713b

テレビ東京アンテナショップ・アンテニュール(2000年撮影)

書き出すのは断念しました

あと、テレビ東京について。ここはお昼の番組が「時代劇アワー」だった期間が長いのですが、お昼がネット編成だったりローカル編成だったりコロコロ放送形態も変わっており、追えなかったので気になる番組だけ列挙しておきます。

「ミュージックコール12・12」
12チャンネルのお昼12時は音楽で…というコンセプトで、富沢一誠さんと秋本奈緒美さんが、どこかのせまっくるしいマンションの一室から放送し、そこで歌手が歌うという斬新なものでした。

「もっと素敵に!」
1993(H5)年10月から1年間放送された、黒田アーサーさんによる生放送生活情報番組で、レディス4のお昼版というものでした。構成もまさにそのまんまで、三越のレディス4に対して、セゾンのもっと素敵に、セゾングループの通販が「素敵にオンライン」として挿入されていました。それ以降、テレビ東京による平日お昼のネットワークセールスの生放送は、20年間に渡ってありません。

しかし、そんなテレビ東京の関東ローカル番組「昼めし旅」が、フジテレビのいいともの後継番組「バイキング」と同じ視聴率になったというのですから、フジテレビの凋落ぶりには驚かされますね。

かつて、TBSの暗黒時代には、テレビ東京の「時代劇アワー」に負けた…と、同じことを言われていたんですけどね。TBSには瞬間で視聴率測定不能=関東のサンプル家庭が誰も見ていない…となった番組もありましたからね。

こうやってふりかえってみますと、お昼の番組というのは、時代によって求められているものが違ったり時期が早かったりなんてものもある一方で、日テレのように、同じ番組でありながらも、空気を読んで内容を変えていくスタイルと、NHKのように、頑なにコンセプトを貫いたり、TBSのようにダメなものはあっという間に終わらせたり、どんなにダメでも半年はやってみるテレ朝など、各局の個性が現れているようで面白いですね。

テレ東のいきあたりバッタリ感も局のイメージそのままだし。

別冊サイゾー「いいとも!論」

コメントはこちらから

Loading Facebook Comments ...

コメント

  1. MXファン より:

    一連の昼番組の編成のまとめ、お疲れさまでした。
    知識として既にあっても、このような分析がなされて大変興味深い文章で勉強になりました。

    ひるどき日本列島と真逆の対応を取ったNHK総合の番組があったので補足します。

    「お元気ですか日本列島」で16時台に放送されていた「ハツラツ道場」についてです。
    2003年10月のスタート以来、北海道・関西・福岡を除いて
    2005年9月までの2年間放送されていたコーナーですが
    もともとBS2で放送していた番組を総合に持ってきたため
    地デジ開始後もSD制作のままで緑のサイドパネルを付けて放送されていました。
    そして東海エリアを除いて、16:45にメインスタジオに戻ると再びHD制作になりました。

    生放送が売りの番組の1コーナーであったのにもかかわらず
    しばらくHD化されず確か2005年春まで放置されていたと思います。

  2. ネモッチ より:

    まとめお疲れ様でした。
    NHKの「お昼ですよ!ふれあいホール」は完全に失念してました。
    NHKが全都道府県地デジ対応出来るまでの、実質つなぎだったのですね。
    なぜ金曜だけ別番組をスタートさせたのか疑問だったのですが、これでガッテンしました。

    『ヒルナンデス!』は絶対1年で消えるかと思ったんですが、継続は力ってやつですかね。

    かつて、山本コウタロー時代の『おもいッきりテレビ』で憶えているのが、「きょうは何の日」のコーナーで、泰葉さんが「今日は特に何の日でもありませーん!」と暢気に話していたことです。
    健康情報や電話相談などと並び名物コーナーだった「きょうは何の日」もはじまりはこんなだったんです。

  3. MXファン より:

    連投で申し訳ありません。
    もうひとつ補足させてください。

    テレビ東京の昼枠で放送された生番組について
    「もっと素敵に!」が最後と記されていますが
    「7スタBratch!」(2010.10~2011.9)をお忘れではないでしょうか?

    前期の半年間は12:35からの55分間でしたが
    2011年春からは11:40スタートとなり正真正銘の昼の帯番組になりました。

    レディス4と同じような情報→通販の関東ローカルの生番組でした。
    ただ苦言を呈すならば「料理便利グッズ大特集」というテーマで前半で取り上げた商品を
    後半の通販コーナーで売り付けるという展開には呆れましたが。

  4. トッピー@管理人 より:

    >MXファンさま コメントありがとうございます

    コーナーがSDという例は、他にもあったようですね。
    そう考えると、「ひるどき日本列島」は番組全編SDということが
    ひっかかったのでしょうね。

    本文にも追記しましたが、今回は関東ローカルの番組は、
    対象外にさせていただきました。
    いつかは資料を紐解いて、ネットセールス、関東ローカルを含めて、
    テレビ東京も一覧表にしてみたいものです。

  5. トッピー@管理人 より:

    >ネモッチさま コメントありがとうございます

    金曜だけ別編成になったきっかけは、その前にありまして
    「お昼ですよ!ふれあいホール」が始まって1年後、、
    2005(H17)年3月25日から9月23日まで金曜だけ編成された、
    愛・地球博の会場から生放送された「お昼ですよ!愛・地球博」です。
    それ以降、金曜だけは別番組という編成が定着しました。

    愛・地球博の会場には「NHKグローバルスタジオ」という
    大きなスタジオがありまして、私は開幕前、
    その横で同じ建物内の別のパビリオンに関わっておりましたので、
    NHKは万博スタジオも立派だな~と思ったものです。

    「きょうは何の日」は、次の番組でも継続されるほどに、
    親しまれたコーナーでしたが、当初はゆるかったんですね~。

タイトルとURLをコピーしました