テレビ東京の後場の株式市況を伝える番組が44年の歴史に幕

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東証アローズ(東京・中央区)

マーケット情報のテレビ東京はどこへ…

 テレビ東京といいますと、日本経済新聞社と連携して、日中も株式市況や経済ニュースを放送している印象がありますが、実は数年前から大幅に縮小傾向にあり、とうとうこの春、後場・大引け後の市況・経済ニュースを伝える番組が消滅します。

 4月1日で最終回を迎えるのは「L4YOU!プラス」。午後3時35分から4時までの25分番組で、前半をマーケット情報、後半を生活情報としており、4時からの「L4YOU!(レディス4)」と一体化しているのですが…、実は1年前から関東ローカル編成となっており、テレビ東京のほかは、ほんの一部のテレビ局が番組を購入して放送しているのみだったのですが…。

 44年前にスタートした、後場大引けの株式市況情報番組が、とうとう終了です。

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日経夕刊ときょうの株式

 テレビ東京の前身「科学技術振興財団テレビ事業本部・東京12チャンネル(愛称・科学テレビ)」が経営難に陥り、その経営を日本経済新聞社が引き受けたのが1969(S44)年。

 それまで東京12チャンネルは朝日新聞ニュースを放送していたのですが、経営が日経に渡ったことで経済番組が登場します。その第1号となったのが1970(S45)年4月スタート、午前11時半の「株式ロビー」です。司会は山本紘子さんと片岡彰子さん。当時は土曜日も株式市場が開いていたため、土曜は11時45分から、月曜から土曜まで帯の15分番組でした。

 その2年後。1972(S47)年にスタートしたのが、後場大引けの情報を伝える「株式市況」です。午後4時26分からの放送で、わずか4分の番組でした。

 さらにその2年後、1974(S49)年の秋になると午後3時55分からの10分番組「ニュースと株式」に拡大。そこから「日経夕刊」「きょうの株式」に繋がっていきます。

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テレビ東京(東京・港区)

後場大引け市況情報番組の変遷

 それではその変遷を振り返ってみましょう。

・1972(S47)春 16:26株式市況(4分)
・1974(S49)秋 15:55ニュースと株式(10分)
・1975(S50)秋 15:40ニュース◇45きょうの株式(計20分)
・1978(S53)秋 15:10ニュース◇15きょうの株式(計20分)
・1980(S55)春 15:30きょうの株式◇(45奥様キッチンノート)◇55ニュース(計20分)
・1980(S55)秋 15:30きょうの株式◇45ニュース(計25分)
・1981(S56)春 15:30きょうの株式◇45きょうの日経夕刊(計25分)
【1982年3月テレビ大阪開局・この時間はネットゾーンとなり系列全局放送に】
・1986(S61)春 15:45きょうの日経夕刊(10分)(※きょうの株式は昼12:45-13:00に移動)
・1987(S62)秋 15:30ニュース日経夕刊◇40株式ニュース(計25分)
・1993(H5)秋 15:30ニュース日経夕刊◇37株式ニュース(計25分)
・2001(H13)秋 15:30株式ワイド・クロージングベル(25分)
・2008(H20)春 15:35株式ワイド・クロージングベル(25分)
・2008(H20)秋 15:35NEWS FINE・第1部(25分)
・2011(H23)秋 15:35MプラスExpress(25分)
・2013(H25)春 15:35L4YOU!プラス(25分)
【ここまでネットゾーン・テレビ東京系列全局スポンサード放送は終了】
・2015(H27)春 15:35L4YOU!プラス(25分)
※朝7時30分にスタートした「チャージ730!」とネットゾーンを交換。L4YOU!プラスはローカルゾーンとなり、系列各局は、放送したければ番組を購入する形に。テレビ北海道以外は購入を拒否。放送終了。テレビ北海道も秋に終了。

※番組データは新聞テレビ欄より引用

 そしてこの春、テレビ東京もL4YOU!プラスの終了を決定。後番組として市況情報番組は設定されず、44年の歴史に幕をおろすことになりました。

 株式ニュース後期からクロージングベルにかけては、ずっと岡三証券がスポンサーとしてついていましたが、降板。降板後もしばらくは同様の番組内容を維持していましたが、L4YOU!プラスになって半年後に「株式ワイド」形式を終了。そして、番組・枠自体が終了です。

※参考ひっそり終焉・テレビ東京の「株式ワイド」

テレ東から市況番組がなぜ消えていくのか

 この春から、テレビ東京に残る市況情報番組は、朝9:21「Mナビ」(関東ローカル7分)、11:13「Mプラス11」(後半の市況コーナー10分程度)のみとなります。

 最盛期の2000年代前半には、午前に「株式ワイドオープニングベル」(55分)、お昼に「ニュースマーケット11」(30分)、午後に「株式ワイドクロージングベル」(25分)と、寄り付き、前引け、大引けにそれぞれワイドな市況番組があったのも今は昔です。

 なぜ、こうなってしまったのでしょうか…。

 背景にあるのは「東京マーケットワイド」でしょう。東京マーケットワイドは、ストックボイスが制作している、東証アローズから生放送する株式市況情報番組で、当初はインターネット配信や、衛星での一部時間帯のみの配信だったのですが…。

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東証アローズ内ストックボイススタジオ

 2008(H20)6月30日からTOKYO MXが第2チャンネルで、2011(H23)年7月1日からは三重テレビも第2チャンネルで「東京マーケットワイド」の放送をスタート。TOKYO MX(首都圏)・三重テレビ(三重・名古屋圏)ともに、午前8時30分から11時40分と午後0時29分から3時20分と、株式市場が開いている間はもちろん、その前後の時間もフルカバー。これでは、ブツ切りのテレビ東京は太刀打ちできません。

 しかも、スライドしたのは視聴者だけではなく…。

 TOKYO MXで東京マーケットワイドを見ていると、かつてテレビ東京のオープニングベルについていたスポンサーの社名を見かけ、三重テレビで東京マーケットワイドを見ていると、かつてテレビ東京のクロージングベルについていた岡三証券の名を見かけ…。そう、スポンサーまでもが移行しているのです。

 最近は、製作委員会形式の持込アニメをMXに奪われつつあるという声を聞くテレビ東京ですが、実は、得意なはずだった市況情報番組もMXに奪われていたのでありました…。

 秋に新本社移転を控えた、差別化のテレビ東京はこの春、市況番組をカットして午後のロードショー拡大で巻き返しを図ります。現本社に別れを告げるとともに、これまでのテレ東の「色」とも別れを告げることになるわけです。

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