オリエンタルビルの名古屋三越に伊勢丹のロゴはちょっと驚き…実は今もオリエンタルで使用禁止?でどうなるオリエンタル

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名古屋三越栄店(名古屋・中区)

名古屋にとって三越は「地元デパート」

 かつて「4M」と呼ばれた時代が長かった名古屋のデパート。松坂屋、三越、名鉄、丸栄、そこに髙島屋が加わり現在は「4M+1T」と言われています。

 この5つのデパート、実はすべてが名古屋発祥のデパートである…と言ったら、信じますか?

 実はそうなんです。名古屋には他の地域から直接進出したデパートは存在しません。三越も髙島屋も名古屋は別会社、名古屋発祥のデパートなのです。さらに、名古屋三越には今でもオリエンタルな香りが…。

 そんな名古屋三越に、広告とはいえ「伊勢丹」のロゴが入っていました。

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髙島屋も名古屋の会社 三越も名古屋の会社

 2015(H27)年、とうとう年間売上高で名古屋地区のトップに立った「髙島屋」。このデパートは「ジェイアール名古屋タカシマヤ」と呼ばれ、名古屋色を意図的に演出しているかのように感じますが、実は、演出ではなく本体の髙島屋とは別会社。「株式会社ジェイアール東海髙島屋」が運営する名古屋のローカル企業なのです。

 2000(H12)年3月15日に開店。JR東海と髙島屋による合弁企業として、「将来的には1期生から社長を出す」と、地元の独自企業であることをアピールして社員を募集したことでも話題になりました。

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一見別会社であることはわからない

 そして三越も、もちろん三越伊勢丹ホールディングスの事業会社のひとつではありますが、中部地区の基幹事業会社として作られた「株式会社名古屋三越」という別会社による運営となっています。

 株式会社名古屋三越は、栄と星ヶ丘の2つの百貨店に、ラシック、さらにこの地方のエムアイプラザ、イセタンハウスを運営しています。

 名古屋の地場の百貨店と言いますと、昨年まで長年名古屋地区で年間売上高トップを誇っていた松坂屋が超地場というイメージがありますが、松坂屋は事業会社自体も大丸と統合され「大丸松坂屋百貨店」となっており、さらに松坂屋と大丸が経営統合し誕生した「J・フロントリテイリング」からこの5月26日、松坂屋出身の代表取締役はゼロとなるなど、松坂屋の独自色はそれほど強くなくなっているのです。

2つの三越本店とオリエンタル中村

 現在の株式会社名古屋三越(2代目)は、一度三越本体に統合されて本体から分割された、生粋の三越なのですが、もともとは別の百貨店でした。三越には長らく「2つの本店」がありました。

 2003(H15)年まで存在した株式会社名古屋三越(初代)。この名古屋三越は、本体の三越とは別の扱いで、栄は「本店」を名乗り続けていました。

 なので、2003(H15)年までは、「日本橋三越本店」と「名古屋三越栄本店」と、三越には2つの本店があったのです。

 なぜそうなったのかと言うと、名古屋三越(初代)はもともと名古屋にあった「オリエンタル中村百貨店」が三越と業務提携をして誕生したもので、当初は屋号だけを「名古屋三越」に変更しただけ、「オリエンタル中村百貨店が経営する名古屋三越百貨店」という状態が10年以上続いたほどだったのです。

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オリエンタル中村百貨店のシンボル

 そんな名古屋三越(初代)は2003(H15)年に三越本体に統合されます。ところが再び、今度は生粋の三越として名古屋三越(2代目)分社されているのです。なので現在は、事業会社として独立している状態だけということで「本店」扱いにはなっていません。

 しかし、現在も名古屋三越は「オリエンタル」なのです。

オリエンタルとは何か

 そもそも「オリエンタル中村百貨店」とは何だったのか。現在の名古屋三越がある場所にデパートが建つことになったのは、「オリエンタルビル」という会社の土地に、「中村呉服店」がデパートとして入居することとなり、オリエンタルビルも経営参画したことで誕生したのが「オリエンタル中村百貨店」でした。

 名古屋三越の屋上には「オリエンタルビル株式会社」の「鯱の児之像」が。金鯱を背負う子どもの像。「強く明るく大きく伸びよ」。いかにも名古屋な像です。

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 実は、現在もこの名古屋三越はオリエンタルビルに入居しているのです。このビルはオリエンタルビルなのです。

 オリエンタルビルに入っている名古屋三越。

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 その経緯を考えると、広告戦略とはいえ「伊勢丹」のロゴが入っていることに、若干の違和感を覚えなくも無いのです…。

 これまで、「エムアイプラザ」も「MITSUKOSHI ISETAN」で「エムアイ」なのに、東海地区だけは「エムアイプラザ MITSUKOSHI MITSUKOSHI」と表記するなど、「伊勢丹ってなあに?」状態だった名古屋。しかし3月9日に開業した「大名古屋ビルヂング」には「イセタンハウス」が出店。東海地区でも「伊勢丹」の名を出すようになりました。

 今年から徐々に、名古屋の人にも「伊勢丹」の名が周知されるようになった…と言いますか、そういうブランディングをするようになりました。とはいえ、そのイセタンハウスも運営しているのは「名古屋三越」なのですけれどね。昨年から、かつての三越がこだわってきた戦略が、伊勢丹によって塗り替えられているとしか思えない事例が見られるようになり、それが今年は加速しているという話も耳にしていますので、これからは三越よりも伊勢丹の「色」がさらに強くなるのかもしれません。

 しかしまあそれとは別に、「オリエンタル中村百貨店」そして現在の「オリエンタルビルに入居する名古屋三越」。さらに、無関係の会社ですが「オリエンタルカレー」。そして名古屋ローカルの人気番組といえば中京テレビ「PS純金」でレギュラーを務める「オリエンタルラジオ」と、名古屋において「オリエンタル」の名は歴史的にも親しみがあり続けている単語なのですが…。

 アメリカ合衆国連邦政府機関では「オリエンタル」を差別用語として使用禁止となったことが先月わかりました。

 名古屋っ子にとって親しみのある「オリエンタル」。百貨店からその名が消えてしまったように、日本からもその名が消えてしまう日は来るのでしょうか。まあ、急先鋒の「オリエンタルランド」がオリエンタルである限りは、とりあえず大丈夫な気もしますが。

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