三重県から第二地銀が無くなる?一方で 全国で唯一・地銀が存在しない愛知県

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岐阜銀行の営業終了を伝える張り紙

三重銀行と第三銀行が経営統合へ

 年明け5日、三重県の地方銀行「三重銀行」と、第二地方銀行の「第三銀行」が経営統合を検討しているとの報道がありました。

 東海3県では、2012(H24)年9月に岐阜県の第二地方銀行「岐阜銀行」が地方銀行の「十六銀行」に吸収合併されており、それに続く地方銀行再編となります。

 岐阜県では岐阜銀行が無くなったことで第二地方銀行が姿を消しています。また、三重県と岐阜県に隣接する愛知県は全国で唯一、昔から地方銀行が無い都道府県です。

 そもそも、地方銀行と第二地方銀行とは何でしょう?

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地銀の定義はよくわからない

 簡単に言うと、地方銀行(地銀)はもともと普通銀行で、第二地方銀行(第二地銀)はかつて普通の銀行ではありませんでした。

 地方銀行とは、定義としては「一般社団法人 全国地方銀行協会の会員である銀行」ということになります。全国46都道府県に64の銀行があり、全国で唯一、愛知県には本店を置く地方銀行がありません。

 東海3県では、百五銀行、三重銀行、十六銀行、大垣共立銀行の4行が地銀です。

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 しゃあ、それ以外の銀行は何なの?となりますが、それが第二地銀です。

普通の銀行じゃなかった第二地銀

 第二地方銀行の定義は、同じように「一般社団法人 全国第二地方銀行協会の会員である銀行」になるわけですが、その背景に廃止された銀行制度があります。

 わが国には1992(H4)年まで「相互銀行」というものが存在していました。法律的にも「相互銀行法」の下に置かれ、普通銀行とは別の物でした。戦後の庶民金融機関であった無尽会社を起源としていて、その成り立ちから中小企業金融専門機関として存在していました。

 ほとんどの相互銀行が1989(H元)年に普通銀行へと転換しています。

 東海3県では名古屋銀行、愛知銀行、中京銀行、第三銀行が第二地銀にあたります。

 ちなみにかつての名称で呼ぶと、名古屋相互銀行、中央相互銀行、中京相互銀行、第三相互銀行となります。岐阜銀行は岐阜相互銀行でした。

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 また、中京相互銀行は太道相互銀行と名古屋信用金庫が合併したものであり、中京銀行は相互銀行と信用金庫の両方を源流としてると言えます。

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 名古屋市全区に支店を配置している唯一の信金が瀬戸市の瀬戸信用金庫で、名古屋に本店を置く規模の大きな信用金庫が無いのは、名古屋信金が中京銀行になっているからです。

三重の逆転現象

 岐阜は、第二地銀の岐阜銀行が地銀の十六銀行に吸収されたことで、第二地銀が消滅しました。

 一方で三重県の場合はどうなるのか。実は、地銀であり四日市市に本店を置く三重銀行よりも、第二地銀で松阪市に本店を置く第三銀行のほうが、預金量も連結総資産も上なんですね。だからといって、第二地銀側に統合するとも思えないのですが…。

なぜ愛知県に地銀が無いのか

 全国で唯一、地銀の本店が無い愛知県には、三重から百五銀行と三重銀行と第三銀行、岐阜から十六銀行と大垣共立銀行が攻めに攻めています。それぞれの県から遠くはなれた三河地域にも店舗が置かれているほどです。

 なぜ、愛知県には地銀が無いのでしょう。

 答えは簡単で、戦前に愛知県の地銀はすべて東海銀行に統合されているからです。

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 政府の「一県一行主義」もあって、全国的にも規模の大きかった愛知県の地銀がすべて合体して生まれたのが東海銀行。そしてその東海銀行は地銀の殻を破り、都市銀行となったのです。

 結果として、三菱東京UFJ銀行に飲み込まれるわけですが。

 名古屋の雄としてやっていればいいものを、背伸びして全国目指して結局は東京に吸収されちゃうっていう、様々な業種で見られるスパイラル。

 それによって、愛知県からは都市銀行も地方銀行も姿を消し、しまいには三重や岐阜から攻め込まれている…考えてみれば銀行だけでなく、イオンしかり、バローしかり、中広しかり、三交しかり…。

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