沖縄の特殊なメディア事情
2015/07/18
写真:沖縄タイムス社(沖縄・那覇市)
今回の旅行では、テレビを見る時間もほとんど無く、
沖縄の放送事情について触れることはできなかったのですが、
新聞を買って、メディア事情に少しだけ触れてみました。
沖縄には2つの県紙があります。
それは「琉球新報」と「沖縄タイムス」。
人口わずか138万人の沖縄県で、
2つの県紙がやっていけるの?という考えは浅はかでした。
沖縄で現地印刷を行っている新聞社は、この2社しかないのです。
沖縄県では他に、
日刊スポーツ、スポニチ、日本経済新聞が売られていますが、
スポニチと日経は琉球新報に、
日刊スポーツは沖縄タイムスによって印刷されており、
他の全国紙を見ることはできませんでした。
ですので、新聞シェアを見ても、
・琉球新報 38.6%(201,929部)
・沖縄タイムス(公称) 41.3%(206,845部)
出典:(FACTA2007年7月号)
と、両社合わせて8割に上っています。
放送マニアとしては気になるのがテレビ欄。
その名前とは裏腹に、琉球新報は「沖縄テレビ」「ラジオ沖縄」「FM沖縄」と、
沖縄と名のつく放送局との関係が深く、
「NHK教育」「NHK総合」「沖縄テレビ」「琉球放送」「琉球朝日放送」の
順になっていて、沖縄テレビのところは黄色く着色されています。
一方の沖縄タイムスは、これまたその名前と裏腹に、
「琉球放送」「琉球朝日放送」と、琉球と名のつく放送局との関係が深く、
「NHK総合」「NHK教育」「琉球放送」「琉球朝日放送」「沖縄テレビ」の
順になっています。
ちなみに、琉球放送と琉球朝日放送の関係が親密、
というのは放送マニアの間では有名な話ですよね。
親密どころか、琉球朝日放送は琉球放送の中にあって、
放送業務も実際には琉球放送が行っているという、事実上1局2波体制。
琉球放送(RBC)が、
「RBCiラジオ」「RBCテレビ」そして「琉球朝日放送テレビ」の、
3つの放送媒体を持っていると考えてもよいくらいですね。
それだけ、沖縄に3つ目のテレビ局を作ることが、
経済情勢上困難だったというわけです。
これまたちなみに、
バブル期には日本テレビ系列の新局置局も計画されましたが…、
結局できず仕舞いで終わっています。
そしてラジオ欄。
ここは両紙ともほぼ同じラインナップで、
「NHK第一」「NHK第二」「RBCiラジオ」「ラジオ沖縄」「NHKFM」「FM沖縄」
「OCN(沖縄ケーブルネットワーク)」
「宮古テレビ(2ch)」「石垣ケーブル(2ch)」
さらにコミュニティFM県内全11局と、
BSデジタル放送の3~9ch(沖縄タイムスのみ10chも)が掲載されています。
加えて、米軍テレビの「AFRTS(US8ch)」が載っているのも沖縄らしいです。
当然ですが、他の地方紙のように、
県外のテレビ局は一切掲載されていません。
そして驚いたのは、
先ほど、沖縄には日本テレビ系列ができなかったと書きましたが、
その補完をケーブルテレビの自主放送チャンネルが一部で補っているという点ですね。
宮古島では琉球朝日放送も現在は見ることができないため、
宮古テレビではテレビ朝日や日本テレビの番組も組み込んでいるのです。
ケーブルの自主放送チャンネルに「おもいッきりDON」「徹子の部屋」
「クイズ雑学王」「行列のできる法律相談所」といった番組があるのは、
すごく不思議。
ちなみに。
地デジ化によって宮古島でも近々琉球朝日放送が見られるようになるため、
この体制も変わると思われます。
沖縄の放送事情、これは他県と全然違ってかなり面白そう。
もっとじっくり見たかったな。
また来るか。
それにしても、この琉球新報と沖縄タイムス、
ライバル同士で派手にバトルを繰り広げているのかと思いきや、
今年の3月、同時に夕刊を廃止したりと、
意外と足並みはそろえているようで…。
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Comment
僕は名古屋で育ったので、フジ系のテレビ局から日テレの番組が放送されている・・・などの現象を体験した事がないです。そう思うと「NHK+民放+三重テレビ・岐阜放送」といった多数の選択肢を持てる地域に住んでいる僕は、テレビライフに関しては幸せなのかなって思いました。
>ロバうまさま こんにちは
こんな話をすると、
私の年齢を感じさせてしまうかもしれませんが、
名古屋でも、私の幼い頃は、
テレビ東京のアニメは中京テレビがよくやっていました。
夕方4時台はテレ東のアニメばかりだったような…。
あと、三重で東京と同時に放送されたテレ東のバラエティが、
後日CBCや東海で流れるなんてこともありましたね。
もちろん、テレビ愛知の開局で全て解消しましたけどね。
私も沖縄に行った時に
2紙を買い比べました。
沖縄はなぜか2紙とも
コミュニティFMのラジオ欄が
充実していますよね・・・。
そういえば私も琉球新報と沖縄テレビというラインが
未だによくわかっておりません・・・。
しかし日テレは、やはり沖縄に南西放送網を作っておく
べきだったでしょうね・・・。
>とくながたかのりさま こんばんは
両紙とも、コミュニティFMが全局載っていますよね。
海越えだと電波はよく飛びますから、
エリア外や離島のFMもよく聞こえたりするのかな…と
思ったのですがそうではなく、
きっと全県同じラジオ欄だからでしょうね。
南西放送ですか…私はそうは思いませんね…。
あの沖縄の経済状況で、もう1局純粋なテレビ局があったら、
それはもう大変なことになっていたと思いますよ。
初めてコメントさせていただきます。
>>あの沖縄の経済状況で、もう1局純粋なテレビ局があったら、それはもう大変なことになっていたと思いますよ。
私も同感です。琉球朝日放送やテレビ北海道と同じ立場に立たされていたでしょうね。
さて、沖縄タイムスについてですが、1980年代は左からRBC、OTV、NHK総合、NHK Eテレ(旧・NHK教育)の順でしたよ。
>ヒロキさま こんにちは
コメントありがとうございます。
急にガラっと変わるとは思えませんが、
完全デジタル化によって、
少しずつ状況は変わっていくかもしれませんよね。
はじめまして。
沖縄への日テレ系新設の件ですが…。
ここへきて沖縄テレビ(OTV)が新社屋の用地を確保、との情報を耳にしました。
いっそのこと、「RBC‐QAB方式」で
OTVの新社屋内に日テレ系列局を開設してはどうかと思います。
もともとOTVのほうが日テレ系の番組のいくつかをスポンサードネットしていたわけですし、
「24時間テレビ」もわずかの時間ながらネットしているので、OTVから新局への継承はさほど難しくないと考えるのですが、いかがでしょう?
ちなみにお隣九州には、かつてフジと日テレのクロスネット局が多数存在していたことも付け加えておきます。
長文ご容赦くださいませ。
>ucara123さま
確か、南西放送計画の時は、
日本テレビが首を縦に振らなかったと記憶しています。
結局はネット局ってキー局が養う扶養家族ですから、
日本テレビに家族を増やす気が無いと…ですね。
>トッピー@管理人様。
「南西放送計画」の件ですが、あれは郵政省(当時)がゴーサインも出していないのに地元経済界の複数企業が勝手に会社を立ち上げた、というのが真相と記憶しています。
ただ、計画がポシャった時の新聞報道も琉球新報、沖縄タイムスでニュアンスが異なっていて、前者は「凍結(但し番組供給はする)」、後者は「断念」であったと記憶しています。
前者だと「状況が変われば凍結解除もあり得る」という風にも読めますし、後者だと「未来永劫沖縄に日テレはやって来ない」と断言しているように読めます。この2紙のニュアンスの違いが今でもひっかかるのですが…。
>ucara123さま コメントありがとうございます
記事が手元にないので、やや記憶違いがあるかもですが、
当時の放送雑誌に書かれていた結論としては、
「日本テレビは番組は供給するけれど、
ネットセールス対象とはしない」
つまり、日テレからは一切のスポンサー、ネット保証金は提供せず、
番組供給してほしければ購入してください、というもので、
独立U局としての開局を迫られ、
それでは経営が成り立たないと
地元が断念したという流れだったと思います。
なので、琉球新報も沖縄タイムスも、見方が違うだけで、
どちらもそのことを言ってるのだと思います。
>トッピー@管理人様。
遅ればせながらご回答ありがとうございました。
ところで、この記事の一連のコメントを見ていて一つ気になった点があります。
以前、「ヒロキ様」へのリプの中で、
「急にガラッと変わるとは思えませんが、
完全デジタル化によって
少しずつ状況は変わっていくかも知れません」
と、仰っていました。
これはどのような意味合いで仰られたのか、
ご教示いただければ幸いに存じます。
>ucara123さま コメントありがとうございます。
まだまだ全然その動きはテレビにはありませんが、
ラジオの業界で今、起きていますように、
ひとつの会社が複数の電波を所有するということが、
テレビでも起きるようになれば、
各地域での地上波テレビの枠組みが変わるかもしれない、
という意味合いです。