劇場版ポケットモンスター キミにきめた!感想・初めて子どもと一緒に映画を見に行ったらあの人の名前があったんだ

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劇場版ポケットモンスター キミにきめた!パンフレット

「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」

 2歳の娘にとって、生まれて初めての映画館。「ゲンガーだ」「カビゴンだ」「ヒトカゲ進化した!」知ってるポケモンがスクリーンに登場するたび大興奮。

 ポケモンのアニメが始まって20年。あれから20年です。

 この記事は、作品のネタバレをするものではありません…といいますか、考察すらしません。ただの感想文です。

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 そもそも、僕はポケモン世代ではありません。

 今から20年前の春。ポケモンのアニメがスタートする際に、「あの首藤さんがシリーズ構成を担当するらしい」と、聞いたのが、見始めたキッカケでした。

 ポケモンはもともとゲームを発端としていて、原作になるようなマンガがあるわけではないので、主人公をめぐってどんな物語が展開されるのか、それはシリーズ構成に委ねられたということになります。

 幼き日に見た「まんがはじめて物語」モグタンの生みの親。小学生の頃に幾度となく考えさせられた「大人になったら何になる」。

 小さな頃から首藤さんの作品に影響を受けて育ち、いよいよ大人になる、ならなければならない、なりたいような、なりたくないような、なりきれない。そんな頃に出会ったのがポケモンアニメであり、サトシとピカチュウでした。

 すぐにポケモンはアニメも大ヒット。

 サトシが作中で目指している「ポケモンマスター」。「ポケモンマスターとは何か?」は明らかにされてきませんでした。サトシは、好きなポケモンとともにポケモンマスターを目指し、旅をし、冒険をし「なりたいな、ならなくちゃ、絶対なってやる」と心に誓っているのですが、その実体はわかっていない…のです。

 僕は、ポケモンのサトシを目にするたびに、ずっと少年のままではいけない、大人にならなければならない、何かにならなければいけない。だけれども、自分のなりたい大人とは。それになるには。この世での自分の役割とは。自分はなぜこの時代、この地に生まれたのか、その意味とは。そんなことを考えながら、なりたい自分を目指してきました。

 無職になりました。やりたいことを受注できない日々が続きました。その間に母親を失いました。何度も心が折れそうになりました。本当になりたい自分になんてなれるのだろうか、自問自答を繰り返しました。でも、サトシとピカチュウはその間もずっと「何かを目指し冒険を続ける姿」を見せ続けてくれました。

 その後、首藤さんはポケモンを離れられ、この世界からも旅立たれます。

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 あれから20年。

 娘と一緒に観に行くことになった、最初のポケモン映画。

 そのオープニングに「一部脚本」として首藤剛志さんの名があるのを見て、それだけで涙腺がもうダメでした。

 果たしてどの部分が首藤さんのものなのか、冒頭だけなのか、生前に遺されていたものがあり、根幹に関わる部分なのか…。それはわかりませんが、繰り広げられたストーリーには、首藤さんの作品の面影がはっきりとありました。

 かつてのポケモン初代世代。ちょうど今、大人にならなくちゃならないところで大変な思いをしている世代に向けた、エールにも思えました。

 少年時代に思い描いた空想世界での冒険。大人になって、それをあきらめる必要も、忘れる必要もないのです。でも「ならなくちゃならない」ものはある。誰もが手元の端末にポケモンを連れられる、いつだってピカチュウは一緒にいる。

 ポケモンの世界に比べたら現実の世界は味気ない?夢も希望も無い?同じ毎日の繰り返し?果たしてそうでしょうか。誰もがサトシであり、主人公であり、サトシにとっての「ポケモンマスター」が、誰にでもあるはず。

 少年のままではいけないけれど、少年の頃の輝きを忘れる必要はない。いや、忘れてはならない。

 作品を通して、僕が子どもから少年、そして大人になる指針、道標を与え続けてくれた首藤さんが、作り上げたサトシとピカチュウの物語。

 大人になりきれなかったあの日から20年。

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 子どもが生まれ、ようやく心身ともに大人、いや、もはや初老になった今。子どもと一緒に、初めて見る映画のスクリーンにあった「首藤剛志」さんの名前。

 もちろん、初代シリーズ構成とはいえ、首藤さんは初期のスタッフのひとりでしかなく、ポケモンを愛する本当にたくさんの方々の力によって、ポケモンアニメは創られ、20年続き、サトシは冒険を続けています。きっとこの先も。

 これからも、家族・仲間とともに、なりたい自分になるための冒険を、サトシやピカチュウが傍らにいるこの世界で、続けていこうと改めて思いました。

劇場版ポケットモンスター キミにきめた! (小学館ジュニア文庫 た 5-1)

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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