radikoの愛知県でのPC画面
インターネットで民放ラジオが聞けるradiko
かつては聴取率が下がる一方と言われていたラジオも、数年前に底を打ち、上昇に転じているという報道が目につくようになりました。その要因と言われているのが、スマートフォンやパソコンを通じて、インターネットでラジオを聞けるようになったことです。
特にAMラジオは、電子機器のノイズに弱く、スマートフォンやパソコンとは競合する関係にありました。家庭がIT化していくとともに、ラジオは聞きにくいものとなっていたのです。それが、クリアな音で聞けるようになったわけですから、ようやく、かつての「どこでも聞けるラジオ」という環境を取り戻したといえます。
しかし、インターネットで聞けるようになるためには、放送局がネット配信対応をしなくてはなりません。昨日、配信を行っていなかった最後の1局がradikoでの配信を開始し、これで、NHK・民放・コミュニティFMと愛知県内の全てのラジオ局がインターネットで聞けるようになりました。
ただ、その放送局は2ヶ月限定だそうで…どういうこと?
民放ラジオはradiko(ラジコ)
インターネットでラジオを聞くには、放送局によってサービスが違っていまして、NHKのラジオは「らじる★らじる」、コミュニティFMは「サイマルラジオ」「FM++」などで、どちらも愛知・名古屋の放送を全国で聞くことができます。
コミュニティFM局のサイマルラジオも、各放送局の判断によって実施・非実施がわかれていますが、愛知県内は昨年の6月23日に全ての放送局が出揃っており、愛知県のコミュニティFMの放送は、全ての局を全世界で聞くことが可能になりました。
⇒「愛知県内すべてのコミュニティFMラジオ局がインターネットサイマル放送を開始」
一方、民間放送のラジオ局によるIPサイマルラジオサービス「radiko(ラジコ)」は、2010(H22)年3月15日の実用化試験配信以来、都道府県によってエリアを分割し、各県によって聞けるラジオ局が違うというサービスです。ただ、2014(H26)年4月より、地域に関係なく参加ラジオ局を聞くことができる「radikoプレミアム」サービスが開始され、月額378円(税込)で、全国のラジオ局を楽しむことができます。
ただし、無料radikoに参加していても、プレミアムに参加していないという放送局もあります。
名古屋では当初全局参加でしたが…
名古屋でradikoの実用化試験配信がスタートしたのは、2011(H23)年3月25日のことでした。愛知県で聞けることになったのは、CBCラジオ、東海ラジオ、ぎふチャン、FM Aichi、ZIP-FM、そして全国エリアのラジオNIKKEIでした。
この時点で、全局の参加ではあったのですが、関東でradikoのサービスが始まった、2010(H22)年3月15日の時点では、名古屋にはもうひとつ民放ラジオ局がありました。外国語放送局「RADIO-i(愛知国際放送)」です。
RADIO-iは、radikoの名古屋エリア拡大を待たずに、2010(H22)年9月30日に放送を終了。日本で初めての、民放ラジオ局の放送終了となりました。一度も単年度黒字を出すことができず、破綻したのでした。
- radikoがもっと早く名古屋に拡大していればRADIO-iがネットで聞けたかも?
- RADIO-iが潰れるのを待ってradikoは名古屋に拡大したのではないか?
両面の憶測がありましたが、とにかく、名古屋の第3民放FM・外国語放送局がネット配信されることはありませんでした。
名古屋に「復活」したラジオ局
RADIO-iが放送を終了してから、3年半の月日が経過した2014(H26)年4月1日、かつてRADIO-iが参加していたネットワーク「Mega-NET」の東京・キー局であるInter FM(インターエフエム)が、名古屋へと進出し、「Inter FM NAGOYA」を開局しました。
ある地域の民放局が他の地域に「支局」という形で進出するのは日本で初めての事例となり、これは、RADIO-iの破綻をきっかけにした法改正によって実現したもので、名古屋に外国語放送局が「復活」しました。
しかし、Inter FM NAGOYAは、radikoに参加しませんでした。かつて中日新聞の記事上で、ZIP-FMがradikoで東海3県に配信するにあたり
「月額40万円強のラジコへの負担」
と発言があったことを考えると、開局と同時にradikoに参加は難しかったのでしょう。
さらに、Inter FM NAGOYAは、番組の大半が東京のInter FMと同一なため、全国で地域に関係なくラジオ局が聞ける「radikoプレミアム」に参加したところで「Inter FMが2つ」という状態になってしまうため、参加メリットがなかったとも考えられます。
同様に、「国内すべてのFM局が聞ける」と謳われている、auの「LISMO WAVE」でも、東京のInter FMと番組がほぼ同じという理由で、Inter FM NAGOYAは配信されていません。
Inter FM NAGOYAが「RADIO NEO」になる
そんなInter FM NAGOYAがようやく、7月31日に「radiko」「radikoプレミアム」の両方に参加。愛知・三重・岐阜の東海3県では無料で、全国では有料会員に向けて配信を開始しました。
しかし、Inter FM NAGOYAとしての配信は2ヶ月限定です。
なぜなら、このradiko配信に先駆け、Inter FM NAGOYAはこの10月1日に「RADIO NEO」として生まれ変わることを発表しているのです。
⇒「Inter FMが秋から東京も名古屋も局名を変更!この秋・名古屋に「RADIO NEO」誕生」
Inter FM NAGOYAは、ステーションネームを「RADIO NEO」に変更することで、「東京の支局」というイメージを脱却、「名古屋を中心とする東海エリアに根付いた放送局として生まれ変わるために改編する」と表明しています。
つまり、秋からは番組編成を一新し、東京のInter FMとは別の番組を流すということになります。
よって、radikoにも参加するメリットが出たということですね。radikoへの参加の見通しがたったことからの局名変更なのか、局名を変更すると決断したからこそのradikoへの参加なのか。
とにかく、Inter FM NAGOYAがradikoに参加したことで、かつてRADIO-iがなし得なかった、名古屋の外国語放送のネット配信が実現しました。愛知・名古屋のNHK、民放ラジオ、コミュニティFM全てがインターネットで聞けるようになったのです。
RADIO NEOに登場する10月、名古屋では東海ラジオ(92.9MHz)とCBCラジオ(93.7MHz)もFMで聞けるようになります。名古屋のラジオにとって2015(H27)年は再スタートの年になります。ここから、聴取率も業績もグーンとV字回復と行きますでしょうか。
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