「仰げば遠いし」岐阜編 ポスター
美濃加茂市出身のシンガーソングライター
現在は大阪を中心に活動されている、美濃加茂市出身のシンガーソングライター、田中慈人(しげと)さんの単独ライブを美濃加茂市民会館に見に行ってきました。地元の人々と繋がっていることがわかる、まさにホール全体が「故郷」を感じさせる空気に包まれたライブだったのですが、考えさせられることもたくさんありました。
今回のライブは、自身初となるフルアルバム「仰げば遠いし」の発売を記念してのもので、故郷への凱旋という位置づけでもありそうです。ツアーのファイナルとなったのが、その出身地である美濃加茂公演でした。
小学校講師からの転身
田中慈人さんは美濃加茂市生まれ。小学校講師という経歴をもち、そこからシンガーソングライターの道へ。2015(H27)年にファーストシングル「イマジンを知らない」を発表。そのカップリングには「カモン!MINOKAMO!」という出身地である地元を歌った曲も収録されており、地元愛の強さを感じます。
この6月17日には自身初となるアルバム「仰げば遠いし」を発売。それを記念して、徳島・大阪・岐阜と、3つの会場での発売記念ライブツアー「仰げば遠いし」が開催され、7月1日の「岐阜編」美濃加茂市民会館が日程のラストとなっていました。
大阪を拠点としている一方で、美濃加茂市の大きなイベントには飛んでいらっしゃいますし、地元のコミュニティFM局「FMらら」でもレギュラー番組をもたれており(田中慈人の慈しまれへん!!!・土曜21時~)、収録は大阪ではなく美濃加茂市のスタジオで行われているとのこと。
それなら、地元で活動された方が…と思ったのですが、先ほどのシングルにも収録されている曲のタイトルが「カモン!MINOKAMO!」であることに、ピンと来なくてはなりません。
高揚感と盛り上がりと温かさと
ライブにはゲストもいらっしゃり、まず、田中慈人さんが学生時代にテレビで見てその歌声に魅了されたという山根万理奈さん。まだ、何者でもなかった頃に、自分がなりたい分野で活躍されている方に憧れ、いざ、自分がその立場になったときにゲストでお越しいただくという感慨は、並々ならぬものがあると思いますし、その思いがひしひしと感じられました。
また、地元の美濃加茂少年少女合唱団の歌声も。シンガーソングライターのワンマンライブでありながら、その高ぶりと盛り上がりの一体感がありつつ、「美濃加茂を音楽のある街にしたい」という思いに加え、地元の方々のぬくもりを、見ているこちら側でも感じられる素敵な時間でした。
外からの目線・外への発信
アンコール前、ラストの曲は「カモン!MINOKAMO!」。会場の掛け声も大迫力。もちろん、みんなが歌詞を暗記していてそのまま歌える状態です。
生まれ育った地元である美濃加茂を元気にしたい、音楽のある街にしたい。その思いで活動されている田中慈人さん。拠点を置く大阪でもライブ活動を行っていらっしゃり、一方で、美濃加茂のイベントにも駆けつけ、美濃加茂でラジオ収録。その行ったり来たりに必要なバイタリティは並大抵のものではないと思います。
その鍵となる曲こそ「カモン!MINOKAMO!」でしょうね。「カモン!」なんですよ。「美濃加茂に来て」。美濃加茂を知らない人に美濃加茂を知ってほしい。もちろん、地元美濃加茂でその活動をすることにも意義は大いにあるでしょう。しかし、地元だけでなく、外の大都会に軸足を置いてその活動をすることには、違った意味合いもあると思います。
地元を応援したい。地元を刺激したい。そこに外からの目線があり、外への発信ができる立場に身を置き、それでいて地元の人とも繋がる。
地元を愛する形にはいろいろありますが、表現者として地元とどう向き合うべきか。向き合ったらいいのか。考えされられたライブでした。
そして、そのライブを会場で見たことで、自分も少しだけ美濃加茂の仲間に入れたような気がした、会場はまさにそんな空気感でした。
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