揺れる神戸の県域FM局まとめてみた

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写真:株式会社Kiss-FM KOBE(神戸・中央区)

神戸市に本社を置き、兵庫県をカバーするFM局、Kiss-FM KOBEに関するニュースが、ここ最近多く飛び交っています。気になるのでまとめてみます。

兵庫エフエムラジオ放送株式会社・愛称「Kiss-FM」が開局したのは、1990(H2)年10月1日のことでした。関西エリアではFM大阪(70.4.1)、FM802(89.6.1)に続き3局目、

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大阪府以外では初めての民放FMとなりました。Kiss-FMは、兵庫県を放送エリアとする県域FM局でしたが、兵庫県南部の神戸周辺では、大阪のFMがよく聞こえ、また逆に、Kiss-FMも大阪府でよく聞こえる地理的要因もあり、オリジナル番組を流す独立FM局として放送を開始、神戸と姫路両方にスタジオを設け、どちらも1kwで電波を発射し、2本社制をとっていました。

一方、Kiss-FMより遅れて1991(H3)年7月に開局した、同じ独立局のα-STATION(FM京都)が1994(H6)年春、JFN(TOKYO FM系)、JFL(J-WAVE系)に続く第3のネットワークとなる「FIS(FMインディペンデント・シンジケーション)」を、関東の独立局と一緒に発足させた時も、Kiss-FMは参加することなく、完全な独立局の立場を明確にしていました。

(その後、FISはどうなったの…でしょうかね?)

そんな放送局を大きな波が襲ったのが、その翌年のことでした。1995(H7)年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。その瞬間は、Kiss-FMは独立局として地元情報に徹し、被災者とともに一体となって必要な情報を流し続けたのですが、地震が神戸の経済に与えた影響は計り知れず、2003(H15)年4月1日、Kiss-FMはとうとう、独立局という看板を下ろし、ネットワークに加盟することになったのです。

しかもそれは、互いにエリアを侵食しあっている、FM大阪と同じJFN(ジャパン・エフエム・ネットワーク)。まあ、他に選択肢は無かったわけですが。このとき、Kiss-FMのうしろに「KOBE」が付いたのです。FM大阪と同じネットワークに加盟する以上、兵庫・神戸のFM局であるという、地域の違いを明確にするためでしょう。

JFNに加盟すると何が違うのか。簡単に言いますと、東京からスポンサー付きの番組が降りてきたり、1日24時間のうち好きなだけ、東京の番組を流すことができたりするのです。

それでも、FM大阪とはある程度番組をずらすなど、差別化を図っていたのですが…。

2009(H21)年夏改編で、東京の番組が大幅拡大。Kiss-FMはどうなってしまうんだろう?と思っていたところで…。2009(H21)年12月臨時株主総会で東京の資源採掘会社
「日本ボルネオエネルギー」を引受先とする第三者割当増資を決定するものの、ボルネオ社は、「Kiss-FMの会計に不明朗な点がある」と出資を見合わせ。

【神戸新聞】Kiss-FM売上6億円粉飾か 07~08年度(2/10)

そして今年2月9日、07・08年度にかけて売上高約6億円を粉飾していた疑いが浮上。

【神戸新聞】新社長に相田氏昇格 粉飾疑惑のKiss‐FM(3/6)

前社長は不正解明に当たり、役員を刷新。

【神戸新聞】FM局のキッス社 総会議事録に虚偽か (4/15)

その日本ボルネオエネルギーの第三者割当増資に関して、払い込みが遅れ、払込期日を偽り、総会議事録に虚偽記載の疑いが浮上。

【神戸新聞】FMキッス社 全役員を解任 放送継続の危機(4/16)

大株主のエフエム東京(TOKYO FM)提案による臨時株主総会で、役員の刷新と言いつつ、新しい経営陣も不正に関係した旧役員と関係がある、として、全経営陣の解任と新役員の選任を決議。

しかし経営陣は退席しこの総会の無効を主張。残った株主だけで総会を開き、新社長を選任。JFNはKiss-FMを4月末で除名し、5月末での番組提供を打ち切ると通達。

【神戸新聞】役員解任のKiss‐FM 社員説明会が紛糾(4/16)

エフエム東京ら株主が選任した社長が、社員に説明会を開くも、解任を認めない前からの社長との間で怒号、警察が出動。

今ココ。

簡単にまとめると、経営陣をそれぞれA、B、Cとします。

A=粉飾決算をしていた疑いのある経営陣
B=第三者割当増資後の新経営陣
C=大株主エフエム東京が送り込む経営陣

第三者割当増資
→「A」が粉飾決算の疑い
→解明するため役員刷新「A→B」
→実は刷新したように見えて実態は刷新されていない「A≒B」
→として大株主のエフエム東京がさらに新社長と新役員「C」を選任
→そんなの認めないと「C」と「B」が大ゲンカ警察出動
→JFNは4月末除名・5月末番組提供打ち切り

このままだと、6月からは24時間自社制作番組を作らないといけないわけですよね?スターデジオ流したりしてね。リスナー(キスナーだっけ)は完全にほったらかしだね。

上場会社のための第三者割当の実務Q&A

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コメント

  1. たー坊 より:

    お久しぶりです。ずっとROMっていました。
    >「FIS(FMインディペンデント・シンジケーション)」
    NACK5と関係があったんですね。けどNACK5の番組とα―STATIONの番組(ラテを見て)とでは放送局のイメージが違う気がします。
    クロスエフエム(旧、エフエム九州)が経営破たんというニュースが放送業界に影を落としましたが、それと同等の出来事が生じましたね。テレビでも日本テレビが今年4月9日、終日視聴率が一桁という、この不景気を象徴するようなニュースで業界全体に闇が訪れた感じです。
    Kiss FMはかつてのアールエフ・ラジオ日本みたいに再生するのでしょうか?。
    話は変わりまして、トッピーさんはかつて信用金庫にお勤めだった事でお聞きしたいのですが、紙幣の勘定業務である「札勘」のひとつ「横読み」の極意を教えて欲しいです。当方は直接関係は無いのですが「かっけー」なイメージがありましてやってみたいのですがネットでも詳細があまりないので・・・。
    また、トッピーさんは全国銀行個人信用情報センターやCCB(現、JICC)などに登録されている情報照会を行っていましたか(支店毎に端末がありましたか?)?。あっしの知り合いでクレジットカード会社の与信担当がいるのですが、その人、昔は水素よりも口が軽い人でして、今そういうのをやっているのを知るや否や周りから「えっ!?」感じが出ました(注:自分はトラブルや問題のある履歴は無いので念の為)。

  2. ランタン より:

    Kiss-FMに「KOBE」がついたのは、JFN入りするはるか前ですよ。
    >たー坊さん
    αは、深夜にNACK5の「ブレス」シリーズをネットしてましたよ。

  3. North より:

    はじめまして。ランタンさんの指摘と重なりますが、Kiss-FM の歴史について、一部誤認がありますので、指摘しておきます。
    Kiss-FMは開局時 神戸500Wで開局しています。これは、NHK-FM神戸と同じ出力でした。神戸が1kWに増力したのは、α-stationが3kWに増力したのと同じ年です。それまでは大阪(北摂地域)でポケットラジオで聞くには難があったことを記憶しています。増力前後にはα-stationと共同製作で「ホリデースペシャル」を編成していた事もあります。この事実は当時の朝日新聞で掲載されたことがあります。
    それと、Kiss-FMに「KOBE」がついたのは、震災前です。ひとつ前の旧ロゴは1994年10月から使い始めています。

  4. >たー坊さま こんばんは
    かつてのアール・エフ・ラジオ日本が立ち直ったのとは、
    また環境も違いますし、実際、落としどころはどこなんでしょうね?
    粉飾決算の疑いをどう処理するのか、
    会社を一度整理するつもりがあるのか、
    それとも、本当に閉局の道を辿るのか。見えてきませんね。
    札勘の極意ですか…それはもう、
    ちゃんとした先生にしっかり教わって、
    とにかく練習を重ねるということしかないですね。
    あれは基本を学ばないと、
    どれだけ練習しても上達しないと思います。
    懐かしいですねぇ。個信の情報紹介もやっていましたよ。
    >ランタンさま Northさま はじめまして こんばんは
    本題とは違うところでのご指摘
    ありがとうございます~。

  5. そうですね。
    元々兵庫エフエム放送なんですよね・・・。
    姫路の方が出力が開局当時高かったのは、
    姫路方面に重きを置いた営業、と読んだことがありますが。
    私自身も地元でありながら、あまり思いいれがなく、
    自分のブログでも、一度しか取り上げたことがありません。
    無論、このような騒ぎになる前です。
    それ以降、色々な方が、この話題を取り上げておられます。
    私自身、それを読めば読むほどわかりません。
    ただ、なくならないでもらいたいものです、地元の人間の一人として。

  6. >とくながたかのりさま こんばんは
    まさに先ほど、
    4月28日にKiss-FM KOBEは民事再生法の適用を申請して、
    破綻しましたね。
    今後の動きにも注目ですね。

  7. とくなが より:

    私も今回、我慢ならずに、少しだけKissについて自分のブログで書きました。
    間違い等、多々あろうかと思いますが、良ければお読みください。

  8. >とくながさま こんばんは
    拝見させていただきました。
    地元のラジオ好きなとくながさんが、それだけ冷静に見られるほどの、
    Kiss-FMの存在感というのは一体…と思ってしまいました。

  9. サー伯爵 より:

    「あと22日」
    これが今の私の実感です。
    開局した頃から知っていましたし、
    実家住まいのときは特に聴いていました。
    実際、この局の放送がきっかけで、
    POPS、JAZZや、邦楽のニューカマーを色々知りました。
    また、ハーバーランドや新神戸オリエンタルホテル(現在のANAクラウンプラザ)にあったサテライトスタジオにも、
    よく足を運んでいました。
    僕は今でこそ、CDやネット上、
    それにライヴで様々な音楽を聴いています。
    大きなきっかけになったのはKiss-FMであることに、
    変わりはありません。
    ただ、今実際起ころうとしている事は、
    …確かに複雑な寂しさこそあるものの、
    実家のある地域でも、また自分自身でも、
    みんなあまりにあっさりしています。
    阪神間~明石の海岸線までなら、直接大阪のFM局が入るし、
    それ以外でも、コミュニティFMが整備されている所は多く、
    在阪のAMはみんな聴ける。
    (我が実家の地域もコミュニティFMがあります)
    そうでなくても、
    神戸で50年以上放送を続けているラジオ関西はあるし、
    いざとなればNHK-FMはどんな山奥でも聴くことができる。
    ラジオそのものの環境はかなり恵まれていますからね。
    ”音楽中心でやるラジオメディアが一つなくなるだけ”
    という感じでしょうか。
    週明けからもいろんな動きは出ると思いますが…。
    最期まで動きを見ていきたいと思います。

  10. 24時間ごろ寝男 より:

    トッピー様
    まずはいきなりのお詫びを。
    このコメントを送る前、当方のPC操作の不手際により、
    誤って空メールを送ってしまい、失礼しました。
    さて、またもや従来型民放FMが経営破綻(「従来型」と記したのは、コミュニティFMと区別するため)、しかも今度は関西(神戸)の局(会社)ということで、この局(KissFM-Kobe)について個人的な思い出を記させていただきます。
    もう何年も前のことになりますが、以前伊賀上野方面にドライブに行ったことがあり、その際立ち寄ったアピタの駐車場でカーステレオを操作してみたところ、名古屋からの5KW/10KW各FM局に加え、大阪や京都からの3KW/10KW各局さらにKiss-FMまで飛び込んできました。旧上野市から神戸まで直線で数百kmはあり、しかも当時は出力も1KWに増強されて間もない頃であったでしょうが、同じ神戸からでも中波のラジオ関西より割ときれいに、そしてもちろんステレオで受信できたことを覚えています。ちなみにラジオ関西とKiss-FMの両社は、昔風に言うなら「ダイアルの端に出ている」放送局といった共通点があります(それぞれ周波数が558KHzと89.9MHz。もっとも76~108MHzのFMラジオなら、端のほうに来るのはNHK名古屋総合テレビのアナログ音声=107.75MHzということになりますが)。
    話が長くなってしまいましたが、Kiss-FMがJFN入りしても、例えば(つい最近までの)FM三重のように地域密着の自社制作番組を充実させるなどしていれば、もしかすると倒産は避けられたかも知れないと思うと、残念な気持ちになります。
    そういった意味でも今度の件は、ラジオ関西やサンテレビ (やはり神戸)のみならず、少なくとも関西2府4県の民放全社にとり、対岸の火事として扱ってはならない問題と考えています。
    P.S 直接関係はないと思われるでしょうが、セントレアの駐車場(関空のそれではありません)での民放FM受信では地元各局に加え、FMCoCoLoとFM802の2局が聴けました。もっともこれら2局以外は京都そして神戸を含め、全く入感しなかったことを付け加えておきます。

  11. >サー伯爵さま こんばんは
    Kiss-FMは、開局当時には、
    神戸に大きな衝撃を与えたみたいですね。
    当時は、Kiss-FMをリスペクトしたような名称のミニFM局も
    あったという話ですよね。ロゴやジングルもかなりの…。
    ただ、そのミニFM局は、世界を股にかける事業に
    参入するとかで、なくなってしまったそうですが。
    まさか、本家がこんなことになるとは…ですね。
    >24時間ごろ寝男さま こんばんは
    いえいえ、大丈夫ですよ~。
    京都のαほどではありませんが、Kiss-FMも、
    名古屋周辺で入る場所は意外とあったりします…。
    セントレアでは入らなかったようですが、
    知多半島の付け根あたりでは、ステレオで入感したりしますよ。
    αやCOCOLOは、八木を立てれば、
    名古屋では広範囲に結構入りますね。
    COCOLOと同じ周波数で放送していた、
    コミュニティFM局もなくなりましたしね…。
    名古屋と関西では都市規模自体が全然違うので、
    単純比較することは間違っているとは思いますが、
    ラジオ局の数に、大きな差がありますよね。
    これでもし、和歌山や奈良にJFN局ができていたらと思うと…。
    まあ、その仮定はあり得ないわけですけどね。
    今回の件は、粉飾など含め、確かに特殊な事例かもしれませんが、
    仰るとおり、関西のラジオ局にとっては、対岸の火事ではないでしょうね。

  12. 奈良県民 より:

    奈良県は民放FM開局ブーム直前の昭和50年代に民放FM周波数が群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、三重県とともに割り当てられました。
    しかし、いまだに開局しない理由がわかりません。
    和歌山県に関してはラジオ和歌山を保護する観点から周波数割り当てがかなり遅く、福島県・栃木県・岐阜県・徳島県とともにかなり遅かったからわかるが。

  13. >奈良県民さま こんにちは
    開局しない理由、
    それは、やりたいという人がいないからでしょう。
    オーナー募集の張り紙がしてあるのに、
    いつまでたっても開店しないコンビニと同じです。

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