もはや社会現象…でも妖怪ウォッチが見られない子どもたち?

140716

妖怪ウォッチポスター

テレビ東京系列の宿命

昨年7月にニンテンドー3DS用ゲームソフトとして発売された「妖怪ウォッチ」。今年1月にテレビアニメがスタートすると、人気は一気に急上昇。放送開始から半年たった今では、関連商品はどこも売り切れ。子どもたちにせがまれた親たちは、どこに在庫があるかを情報交換し、東奔西走しています。

ところが、この「妖怪ウォッチ」ブームには、地域によってかなりの温度差があります。それは、アニメの放送がテレビ東京系列であるということ。わが国の民放テレビ系列はどこも全て全国をカバーできているわけではありませんが、主要4系列が9割方カバーしているのに対して、テレビ東京系列は68.7%しかカバーできておらず、3割強の家庭では見られないチャンネルなのです。

[広告]

お金をもらって流す番組と、お金を払って流す番組

そのためテレビ東京では、映らない地域において、系列外のテレビ局に番組を販売する形でエリアを広げる方策を採っていて、それがひとつの収入源になっている側面があります。とはいえ、系列外のテレビ局がテレビ東京にわざわざお金を払って番組を買う、という図式ですから、よほどの人気番組でなければ食指は動きませんし、今回のように、すごいスピードでブームが発生した際に、一気に全国拡大!が、テレビ東京の意思でできるものではありません。

テレビ東京系列がまったく映らない地域では問題は大きくならないのですが、こういうときに、特に子どもたちのことですから、困ったことが起きるのが県境です。

たとえば、愛知県には「テレビ愛知」というテレビ東京系列のテレビ局があります。当然、系列局ですから「妖怪ウォッチ」は東京と同じ時期にスタートし、同じ時刻に放送されています。

これが岐阜県に入ると、テレビ愛知は愛知県のみをカバーするテレビ局という放送免許なので、基本的には視聴することができません。一方、岐阜県には岐阜放送(ぎふチャン)というテレビ局があり、この岐阜放送は、普段からテレビ東京の番組を購入する形で、放送を行っています。

系列局と、番組を購入するのでは、同じ番組を放送していても、全く意味が異なります。

系列局というのは、キー局が一括してセールスを行っています。つまり、テレビ愛知でCMを流す料金も、セットでテレビ東京が営業してくれています。要は、テレビ愛知はテレビ東京の扶養家族。「妖怪ウォッチ」についても、テレビ愛知は放送するだけで東京と同じスポンサーがついて、ネット保証金という「分け前」を受け取ることができます。

しかし、系列局ではない岐阜放送が「妖怪ウォッチ」を流そうとすると、番組そのものをテレビ東京にお金を「払って」購入したうえで、自前でスポンサーを探さなければなりません。もし探せなければその放送枠は「赤字」になります。

ですから、系列でない放送局は、テレビ東京の番組を放送することにどうしても慎重にならざるを得ません。

ところが、そんなことは子どもたちに関係ありません。県境ですと、特例としてケーブルテレビでは隣県のテレビが放送されていたり、ロケーションの良い家庭では隣県のテレビ局を見ることができます。岐阜県でも、南部の美濃地方では広い範囲でテレビ愛知を見ることができ、岐阜県下最大シェアを誇る中日新聞でもテレビ愛知は大きく紹介されており、地元のテレビ局かのような錯覚をおこしてしまうほどです。

見られる家の子と見られない家の子が学校で混在

とはいえ、もちろん本来は放送エリアではありませんから、ケーブルテレビに入らなければ見られない、アンテナを立てても見られないという家もたくさんあります。

テレビ愛知が見られる家と、見られない家が混在しているわけです。

その状態でこの「妖怪ウォッチ」ブームが巻き起これば、当然、そこに格差が生まれます。

既に岐阜県内でも、妖怪ウォッチ関連商品は飛ぶように売れており、聞いた話では、関市内や美濃加茂市内でもそういう状況が発生しているといいます。

この2つの市には大きな特徴があります。まず関市には、中心部を除いてケーブルテレビ環境がありません。他の美濃地方の都市にある「ケーブルテレビに加入すればテレビ愛知が見られる」という環境になく、見られるかどうかは、その家にテレビ愛知の電波が届いているかどうかという賭けのようなところがあります。

そして美濃加茂市です。ここは、ケーブルテレビ局がテレビ愛知を配信できない地域があり、ケーブルテレビに加入してもテレビ愛知が見られないのです。

こういった地域では、同じ学校のなかに「テレビ愛知が見られる子」と「見られない子」が混在するわけで、その状態で、この「妖怪ウォッチ」ブームが発生すれば、どういうことになるかは、想像に難くないわけです。

慌てた?地方局

岐阜放送も慌てたのか、急遽7月21日(火)より「妖怪ウォッチ」の放送をスタート、月曜から金曜の毎日、放送することで、この半年間の遅れを取り戻そうという考えのようです。

これは岐阜に限ったことではなく、各地でテレビ局は慌てているようで、6月から石川テレビ、びわ湖放送、テレビ静岡が開始、今月は宮崎放送、琉球放送、IBC岩手放送、テレビ山梨、福島中央テレビ、あいテレビ、大分放送、長崎放送、そして来月には青森放送でもスタートと、エリアはどんどん拡大しています。

見る方法なんてほかにもあるでしょ?

でもここでこう思う方もいらっしゃるでしょう。

「でも、地上波だけがテレビじゃないよね?」

そうです。妖怪ウォッチは衛星放送のBSジャパンやキッズステーション、ネット配信のバンダイチャンネルやニコニコチャンネルでも見られるのです。

でも、子どもが「お母さん、妖怪ウォッチが見たいよう!」と言った時に、的確にBSジャパンやネット配信に誘導できる親がどれだけいるというのか…なんでしょうね。

日本はなぜテレビといって地上波ばかりを見るのかと、海外からは思われているようですが、この「妖怪ウォッチ」をめぐる騒動を見ていても、まだまだ日本は地上波なのだな、と。それが特に子ども向けアニメとなると、衛星放送やネット配信をやっていても、当の子どもたちのところにそれを伝達させるのは、特に至難の技のようですね。

ちなみに。さすが先輩格のポケモンは、同じくテレビ東京系列での放送なのですが、系列外の局にもテレビ東京と同じようなスポンサーがついており、本来はテレビ東京の扶養家族ではない系列外のテレビ局の放送も、扶養できています。妖怪ウォッチがそうなる日も、それほど遠くはないかもしれません。

コメントはこちらから

Loading Facebook Comments ...

コメント

  1. たとえ より:

    BSジャパンは無料だけど、NHKが訪ねて来るから(文字通り)「タダじゃすまない」のよねーw

  2. Masaya より:

    お久しぶりです。。。<(_ _)>

    さて、『妖怪ウォッチ』ですが。

    テレビ東京の番組特有の”遅れネット”……。
    『イナズマイレブン』などで実績があるのだし、初めから、”番販展開”をなされても良さそうなものですけどねぇ?。。。( ̄~ ̄)

    要するに、『ポケモン』ほど期待はされてなかった――と言う事でしょうね。

    でも、ここに来てじりじり広がって行った――と言う事は、”質は高い”と言う事でしょうね。
    私も、店頭でパッケージを手に取り眺めてみたら、良さ気な感じはしましたもの。。。d( ̄ー ̄)

    果たして、どう転ぶ事やら……興味津々ですね。。。( ̄ー ̄)

    それでは、またです。。。(^ー^)ノ~~~~

  3. トッピー@管理人 より:

    >たとえさま コメントありがとうございます

    仰るとおり、BSジャパンは…無料です。

  4. トッピー@管理人 より:

    >Masayaさま コメントありがとうございます

    それは無理だと思いますよ。イナズマイレブンの最終シリーズ、
    「イナズマイレブンGOギャラクシー」を系列外で放送しているのは、
    長崎放送、テレビ和歌山、奈良テレビ、びわ湖放送の4局だけです。

    その実績では、新番組を地方局に番販営業したところで、
    購入してくれる可能性は低いでしょうね。

    実際、妖怪ウォッチが始まった今年1月に放送を開始した
    系列外テレビ局は、テレビ和歌山だけです。
    奈良テレビでさえ4月、びわ湖放送は6月、
    そして長崎放送も7月25日からですね。

    期待されていなかった…ということがわかりますね。

    それでこの結果ですから、すごいです。

  5. いなかもんG より:

    こんにちは。

     岐阜放送は先月末売りの月刊テレビ雑誌の番組表に載っていたから、特に慌てて…、というわけではなさそうな気もします。
     夏休みに集中放送をして、9月から金曜17時30分の枠で放送するようです。

     そういえば、この地区では唯一の夏休みアニメということで、別の意味でも貴重な枠なのかもしれませんね。
     テレビ愛知はもうやらないのかな?と思ったり…。

  6. 東濃在住のアイカツおじさん より:

    このサイトを見て、私も、投稿しますね!

    ぎふチャンも、ようやく、妖怪ウォッチ放送開始ですか?

    アイカツ好きな私としては、次に、ぎふチャンで、女の子に人気があるアニメ、アイカツが放送されると、うれしいけど、アイカツの場合は、メインが、未就学児から小学校中学年の女児がメインの、いわゆる、女の子向けアニメで、愛知県の場合は、テレビ愛知が映るから、誰もが知っていて、岐阜県の場合は、ケーブルテレビ経由で、アイカツを知っている子、アンテナ受信で、アイカツが映らず、全く知らない子の温度差がありますね!

    アイカツは、数日遅れで、衛星放送のBSJAPANと、ネット配信のバンダイチャンネルでも、やるけど、衛星放送の場合は、ご家庭によっては、衛星アンテナが全て付けている訳では無いし、ネット配信の場合は、メイン層(未就学児から小学校中学年の女児)では、敷居が高い分、岐阜県で、アイカツを知っている女の子は、妖怪ウォッチよりも少なく、逆にプリキュアなら、誰もが知っている温度差を感じますね!

    ぎふチャンでも、いつか、アイカツが放送されると、うれしいけど、こればかりは、大人の事情と言う、難しい問題がありますね!

    更に、三重テレビの場合は、愛知県西部でも受信出来る、スピルオーバーと言う、更に難しい大人の事情があり、三重テレビでの、妖怪ウォッチ、アイカツの放送は、更に難しいと思いますね!

  7. Masaya より:

    ご返事、感謝します。。。<(_ _)>

    『イナズマイレブンGO』……確かに、『ギャラクシー』に入ってからは、私も見なくなっていましたからねぇ……。
    それが響いたんでしょうが、そこまで方添えする局が減っているのには、驚きますね。

    ……でも、そんな中での、『妖怪ウォッチ』の”大ヒット”な訳だから、テレビと言うものは、解らないもの――ですね。

    さて、前に話したことから、お題を一つ。
    『ポケモン』は、”メディアミックス”か、それとも”ある種の、二次創作”なのか?
    ――私は、”その両方”だと思います。

    “メディアミックス”と言うけれど、世界観に沿っているとは言え、キャラクターの設定などでは”独自の色”が強い――と、感じます。
    カスミのコダックが好例で、そもそも、ゲームでは、カスミがコダックやサニーゴを持っている描写も無かったはずです。

    ……こんな”お題”を出したのは、所謂同人誌の、その著作権の帰属がしばしば問題になりますが、一方で、同人誌などで描かれたことが、”本家たる原作”に還流する現象が起きたりもします。

    『ポケモン』を観ていると、どうにも、”二次創作的な、作風”を感じるのです。

    もっとも、『ポケモン』とて、”ファンのアイデアからの、還流”はあったんでしょうけどね。

    1997年の秋口に出た『アニメージュ』に、『ポケモン』のイラスト募集の企画がありました。
    そこには、さまざまな構図のイラストが寄せられていましたが、今にして思えば、そのとき寄せられたイラストなどからアイデアとして吸収して、アニメ版に生かされたのでは無かろうか?
    ……と、個人的に思っています。

    さらに言えば、アニメ版で”独自色”が強かった事が、多くのファンを惹き付けて、人気が衰えない要因では無かろうか?
    ――そんな風にも、感じています。

    いずれにせよ、『ポケモン』の、今後の繁栄に期待したいものですね。

    長くなりましたが、それでは、またです。。。(^ー^)ノ~~~~

  8. トッピー@管理人 より:

    >いなかもんGさま コメントありがとうございます

    「慌てて」というのは、
    帯で放送して、追いつこうとする編成も含めてです。
    まだぎふでの放送をチェックできていませんが、
    スポンサーがついているのかどうかが気になります。

  9. トッピー@管理人 より:

    >東濃在住のアイカツおじさんさま コメントありがとうございます

    ぎふの妖怪ウォッチにスポンサーがついているのかどうかが
    大変興味深いところです。

    基本的に三重テレビの場合は、
    テレビ東京の番組を放送できる時間(総量)制限があって、
    そのなかで、安く買えて効果があってスポンサーのつきが良いものが
    優先されますから、ニュースやアニメなど、
    高い番組は避けられやすいですね。スポンサーがつけば別ですが。

  10. トッピー@管理人 より:

    >Masayaさま コメントありがとうございます

    ポケモンは少年だけをとりに行く以前の姿勢から、
    少女や、懐かしむ親世代をとりに行こうとしているのがわかりますし、
    それが奏功してきたところで、逆に手薄になりかけていたところを
    妖怪ウォッチに…という印象もありますが、
    ただ、妖怪ウォッチはどちらかというとポケモン層ではなく、
    かつてのムシキング的な感じもしないではないので、
    一時のブームではなく、メディアミックス展開で息の長いコンテンツに
    育つといいですね。

  11. AYU より:

    はじめまして。
    先日こちらのブログを読んで初めて、ぎふチャンでの妖怪ウォッチ放映を知りました。
    放映開始の数日前だったため、録画に間に合いました。ありがとうございます。
    当方、保育園児の保護者でして、且つテレビ愛知受信不可エリアに居住しております。
    地域全体でテレビ愛知が受信出来ませんので、身近に見れる子見れない子が混在することがなくその点は良いのです。
    が、やはり朝のNHKニュースでも取り上げられるほどの社会現象ぶり、当地域でも流行る時が来るかもと思い、ひたすら録りためております。
    アニメに限らず、テレビ東京系は面白い番組が多いので、受信できるエリアの方が羨ましい。
    何とかしてこの地方でも見る方法はないものかと模索しております。
    しかしこちらのブログでテレビ愛知とぎふチャンとテレビ東京の関係性が知ることができ、良かったです。
    取り留めのないコメントで申し訳ありません、とにかく一言お礼を申し上げたかったので。
    長々と失礼しました。

  12. トッピー@管理人 より:

    >AYUさま コメントありがとうございます

    はじめまして。放送開始に間に合ったとのことで、
    お役に立ててよかったです。
    今では様々なメディアに取り上げられるようになった妖怪ウォッチですが、
    視聴率的にはまだまだブームと言える水準になっていないのも、
    放送形態によるところがあるのかもしれませんね。

    岐阜放送は、比較的テレビ東京系列に近い編成を頑張ってきましたが、
    ここへ来て、ちょっと息切れして、番組が減っている感じがありますね。

    また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。

  13. TAK より:

    いつもこちらのサイトを楽しく読ませて頂いています。

    妖怪ウォッチ、10月から三重テレビでも放送開始するようです。
    三重テレビでテレ東の新作アニメを放送開始するのは結構久しぶりのような気がします。

    http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/youkai-watch/onair/
    ★三重テレビ    毎週金曜 ゆうがた5:00~ ※10/3スタート!

  14. トッピー@管理人 より:

    >TAKさま コメントありがとうございます

    いつもご覧いただきありがとうございます。
    いよいよ三重テレビでも始まるのですね。秋改編からという王道の放送スタートですね。
    とても珍しいですね。NARUTOの開始以来でしょうか。

タイトルとURLをコピーしました