城山ガーデン(東京・港区)
元TBSアナウンサー・小島一慶さんの訃報に接して、思い出すのはテレビ東京の「NEWSもぎたて朝一番」です。小島一慶さんはTBSを退社後、テレビ朝日のキャスターとなり、その後しばらく休養。そしてその休養からの復帰が、テレビ東京では初となる、経済ではない朝のニュース番組のキャスターでした。
テレ東の朝といえば経済ニュースですが…
テレビ東京の朝のニュースは、「ビジネスマンNEWS」に始まり今の「モーサテ」まで、一貫して経済に軸足を置いていて、ニューヨーク市場が取引を終えるタイミングということもあり、他の時間帯の経済ニュースよりもさらに専門性の高い内容となっており、経済ではない朝のニュースというのは、テレ東にとって賭けでした。
経済ではなかった「NEWSもぎたて朝一番」
1994(H6)年春に始まった「NEWSもぎたて朝一番」。ラジオ畑が長かった小島一慶さんを迎えるにあたって、テレビ東京はラジオっぽいジングルとテーマ曲を制作。経済ニュースを「マーケットLIVE」という15分枠に集約し、テレビ東京の歴史上初となる、経済ではない総合情報ニュース番組がここに誕生したのです。
Jリーグが始まったばかりということもあり、「FCもぎもぎ」という番組のフットサルチームを作り対戦したり、グラビアアイドルによるエアロビクスコーナーや、趣味・生活情報、さらには時期的にも、阪神・淡路大震災、オウム真理教と一般ニュースに多くの時間を割き、ワイドショー要素は無かったものの、テレ東らしからぬものでした。
いつでも天気予報を表示
そして何より注目は、番組スタート時に「いつでもお天気が見られるように工夫しました!」。そうなんです。今ではどこの局でもやっている、常時天気予報を表示する「お天気ループ」を、在京局として初導入。右上に表示し、札幌、東京、名古屋、大阪、岡山、高松、福岡と、7都市の天気予報を、全国に向けて送出していました。
「NEWSもぎたて朝一番」は1年半にわたって放送され、1995(H7)年の秋に終了しました。その後番組の「NEWSモーニングJAM」に至っては、一般ニュースすらほとんど扱わず、女子高生の日常を垣間みたり、恋愛相談のお便りを紹介する池谷亨アナウンサー(当時)による若者向けのトークショーという異質なものになるのですが、それはまた別の機会に。
間違いなく、テレビ東京のニュース番組のなかで唯一、違う風を吹き込んだのが小島一慶さんでした。
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