以前、テレビ朝日やテレビ東京の成り立ちを追うコラムが好評だったので、今回は日本におけるテレビネットワークの成り立ちと、TBSをキー局とするJNNの歴史に触れたいと思います。
日本に現在ある地上波民間テレビ局は、独立U局13局を除き、すべてネットワークに加盟しています。
日本の放送法では、地域に認可されたテレビ局の本来の目的は地域サービスであり、東京キー局からの番組は50%くらいにとどめるというのが基本精神であります。
実際郵政省は、1960年代頃まではテレビ局がネットワークを組むこと自体、難色を示していたのです。
しかし、地域社会だけの基盤では放送の50%の番組制作、営業活動が非常に困難であるのは一目瞭然でありますし、東京からCM付きで降ってくる番組というのは、地方局にとっては喉から手が出るほど欲しいのです。制作も営業もしなくていいわけですからね。
では現状はどうなのか?
2001年4月第1週のデータから自社制作率ベスト10、ワースト10を見てみましょう。(独立U局、東京キー局除く)
自社制作率ベスト10
第2位 34.4%毎日放送(大阪 JNN)
第3位 30.6%読売テレビ放送(大阪 NNN)
第4位 30.5%関西テレビ放送(大阪 FNN)
第5位 24.8%東海テレビ放送(名古屋 FNN)
第6位 23.0%札幌テレビ放送(NNN)
第7位 19.4%九州朝日放送(福岡 ANN)
第8位 19.2%RKB毎日放送(福岡 JNN)
第9位 19.1%中部日本放送(名古屋 JNN)
第10位 18.9%北海道文化放送(FNN)
さすがに5系列全てがそろっている地域のテレビ局ばかりですね。しかしトップの朝日放送でさえ35.8%で、放送法の基本精神である50%にはまだまだ及びません。
自社制作率ワースト10
第2位 4.6%秋田朝日放送(ANN)
第3位 5.0%テレビユー山形(JNN)
第3位 5.0%さくらんぼテレビ(山形 FNN)
第5位 5.2%愛媛朝日テレビ(ANN)
第5位 5.2%琉球朝日放送(ANN)
第7位 5.3%長野朝日放送(ANN)
第8位 5.4%北陸朝日放送(ANN)
第9位 5.7%鹿児島読売テレビ(NNN)
第10位 6.0%瀬戸内海放送(ANN)
第10位 6.0%長崎国際テレビ(NNN)
これを見ますと、比較的最近開局した新しいテレビ局ばかりですね。しかも11局中7局がANN・テレビ朝日系列ですね。バブル期に無理して乱立させた「○○朝日放送」のこれが現状です。
ただ、特筆すべきは「瀬戸内海放送」。ここだけは1969年開局という古株、しかも5系列そろっている地域のテレビ局です。瀬戸内朝日放送にしたほうかいいんじゃない?
ちなみに独立U局を含めても50%を超えていたのは全国でただ1局。
参考資料=社団法人民間放送テレビジョン中継回線運営センター
今回は、自社制作が多いほうがいいとか、東京キー局の番組が多いほうがいいとかの話ではなくて、どうしてネットワークが現在の形になったか、そして日本ではじめて形成されたネットワークについて見てみたいと思います。
1956(S31)年、郵政省が発表した「第1次チャンネルプラン」。これは、VHF周波数帯(1~12チャンネル)を使用したテレビ免許の基本であり、骨子としてはNHKの全国普及と、民放を各地に並行するというものでした。
具体的には…(当時の名称で)
京阪神地区はNHK1波、民放3波。
名古屋地区など基幹都市はNHK1波、民放2波。
地方都市はNHK、民放それぞれ1波としました。
「第1次チャンネルプラン」では基幹都市を除いては、民放は1局。
1956(S31)年当時、東京には
日本テレビ・KRテレビ(ラジオ東京テレビ、現在のTBS)の2社がありました。
全国各地に誕生する民放テレビ局…複数局ある大都市はいいのですが、地方都市は民放テレビ局が1局。ここで日本テレビ、KRテレビの2社はネットワークの主導権をどちらが握るのか…。激しい競争が始まったのです。
読売新聞系列の日本テレビは社名にあえて「読売」を付けず「日本テレビ放送網」としました。その名の通り、当初から独自で全国放送網の建設を計画していました。
しかし日本で最初に誕生したネットワークは、1958(S33)年KRテレビ(ラジオ東京テレビ)を中心とする、「テレビニュースに関するネットワーク協定」でした。現在の「JNN」です。
当時、ラジオ局がテレビ局を併設するという形が主流でした。ラジオで既にラジオ東京とネットワーク関係にあったラジオ局が、テレビ局を開始する際、自然とKRT系列になったのです。
また、当時「ラジオ東京」は特定の新聞社寄りの放送局ではなく、いろいろな新聞社が出資した、連合体の放送局でした。地方の放送局は、地元新聞の出資により誕生した局が多く、そういった局は自然とKRT系列になっていたのです。
しかし一部ネット回線の事情や、出資社の意向によって日本テレビ系列となったテレビ局もありました。
地方局が次々とKRテレビの傘下に入っていくのを、日本テレビは指をくわえて黙っていたわけではありません。日本テレビはKRT系列への対抗策として、後楽園球場(現:東京ドーム)のテレビ中継を独占したのです。
後楽園のスタジアム建設の際、日本テレビは力を貸したのです、その時の口約束から後楽園は日本テレビが独占していたのです。日本テレビの独占は、公正取引委員会が警告を発したほどで、2001年まで、東京ドームの巨人戦は日本テレビが独占してきました。
日本テレビは、巨人、プロレスと人気番組をそろえ、地方局へのアプローチをしていきます。ここで誰でも考えるのは、東京に2局で、地方は1局。
東京の2局のいい番組だけを買って、混ぜて放送すれば、いいとこどりで最高じゃない?
そこでKRテレビは考えました。地方局を完全なKRT系列にする方法を…今も続く伝統のJNNニュース協定が生まれるのです。
それはまた次回。


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