かつて愛知県で店舗数2位だった日本初のコンビニ「ココストア」をファミリーマートが買収へと報道

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ココストアの店舗※資料写真 現在ここは買取専門店

3月に買収の交渉という報道があってから…

「日本初のコンビニと言えば?」

 この質問には、正解と呼べる答えは実はありません。なぜなら、日本にコンビニが出来始めた当時、コンビニエンスストアという定義が曖昧であり、今では「売場面積は30平方メートル以上250平方メートル未満、セルフ方式、営業時間が14時間以上の店舗」という定義がありますが、他にも、扱う商品や売場面積の割合を定義している団体もあり、今も曖昧な部分が残っています。

 そんななかで、日本初のコンビニを自称しているのが、名古屋に本社を置くココストアです。その、名古屋が誇る日本初のコンビニ「ココストア」が、ファミリーマートに買収されると新聞報道が今日ありました。

ファミマ、ココストア買収へ…店舗数で2位肉薄

 3月の時点で、買収の交渉はしているということでしたので、驚きはありませんが、いよいよ、ココストアの看板が降ろされるかもしれない…のです。

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日本初のコンビニ・ココストア

 ココストアが第1号の店舗を出店したのは、1971(S46)年7月。セブンイレブンが日本に進出する3年前のことでした。しかも、そのココストアをスタートさせたのが、ソニーの創業者である盛田氏の実家、「ねのひ」の盛田です。

 酒造メーカーがコンビニエンスストア運営を手がけたのは、当時、スーパーマーケットに押されて、街の酒屋さんがじわじわと厳しい状況になってきているのを、何とかしなければ…という思いからで、街の酒屋さんが「ココストア」へと業態を変えていきました。

 それから長年、2001(H13)年まで、お酒の販売には距離基準による免許制度があり、既存の酒屋さんから、一定の距離が離れていないとお酒の販売免許は取得することができませんでした。

 なので、新設店はお酒を扱えないコンビニエンスストアが多く、酒屋さんから業態を変更したココストアは、どの店舗にもお酒があるというメリットも手伝い、店舗数を大きく伸ばし、ライバルに差をつけていました。

 一方で、個人の酒屋さんをルーツとしているため、営業時間が短いという特徴もありました。

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ココストアの店舗※資料写真 現在ここは既にファミリーマート

愛知ではシェア2位のメジャーコンビニだった

 今から13年前、2002(H14)年のデータを見てみますと、

愛知県内店舗数(2002)

  • 1位 サークルK…800店
  • 2位 ココストア…379店

 当時は、ローソンやファミリーマートよりも、ココストアの方が店舗数が多く、メジャーコンビニだったのです。そして、当時の愛知県内のセブンイレブンの店舗数は「0」です。

 その前年に、規制緩和により酒類販売の距離制が廃止され、そしてその2002(H14)年に、セブンイレブンが愛知への進出を決定

 翌年の2003(H15)年になると…

愛知県内店舗数(2003)

  • サークルK…850店(+50)
  • ココストア…165店(-214)

 わずか1年で214店舗も減らしたのです。

 2004(H16)年には、サークルKは横ばいの847店、ココストアは155店に。この時点で、ココストアはローソンに抜かれ、ファミリーマートに抜かれ、なんと、わずか2年前に進出したばかりのセブンイレブンにまで抜かれてしまうのです。

 地盤である愛知県でこの状況ですから、むしろ、ココストアがそれから10年間にわたって存在し続けていることが、よく続いているなあ…と思えてしまうほどです。

ココストアならではの特徴はあった

 そんな2005(H17)年頃から、ココストアはお酒販売でのアドバンテージを失った代わりとなる差別化を図ります。

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ココストアの店舗※資料写真 現在ここは携帯電話ショップ

 パンやパスタ、弁当などを店内で調理する「ココ・デ・クック」「ココデ・ベイク」、日本初の完全女性向けコンビニ「SCOCO」、雰囲気や品揃えをOL向けに特化するなど、新しい道へと歩みだしたのです。

 しかし、セブンイレブンの攻勢は激しく、セブンイレブン進出時には店舗数を大きく増やしたサークルKサンクスでさえも、今ではファミリーマートとの経営統合を話し合っている状態です。

全国店舗数(2015)

  • 1位 セブンイレブン…17,941
  • 2位 ローソン…11,653
  • 3位 ファミリーマート…11,271
  • 4位 サークルKサンクス…6,328
  • 8位 ココストア…729

 サークルKサンクスとファミリーマートの経営統合は、2016(H28)年9月をめどに話し合われていると報じられています。一方で、ココストアはファミリーマートに買収される格好となります。

 差別化を図ってきただけあって、他のコンビニチェーンにはない特徴のあったココストアですが、1万を超える店舗数のファミリーマートと、700店強のココストアでは、ココストアの要素が残される可能性は少ないでしょう。

「ローカルコンビニ」になれなかったのはなぜ

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ココストアの店舗※資料写真 ここは先日建物ごと解体

 ココストアが飲み込まれ、サークルKサンクスも統合され、名古屋を地盤とするコンビニが、翌年までに姿を消す可能性が高くなりました。

 コンビニエンスストアは、スケールメリットの時代を迎え、ローカルに生きるコンビニというのは難しいのかと思いきや、北海道を地盤とするセイコーマートは、今でも、北海道トップの店舗数を誇り、北海道を代表する、北海道民に愛されるコンビニであり続けています。セイコーマートも、ココストアと同じ1971(S46)年に創業、酒屋さんをコンビニに転換した、ココストアと全く同じビジネスモデルです。

 セイコマにできて、サークルKとココストアにできなかったこととは。

 セイコマは、埼玉と茨城にもいくつか店舗があるものの、他は全て北海道内。まさに北海道のローカルコンビニなのです。

 対する、サークルKやココストアは全国に薄く広くあります。名古屋を中心としたローカルコンビニの顔のある一方で、他の地域ではマイナーなコンビニという顔を持っています。

 つい先日、別の業界の本で、こんな記載を読みました。

「全国区になったとしても、地方は地方であり続けなければならない、中央と同じ土俵で張り合おうとした瞬間、地方はただのしょぼいだけ存在となってしまう」(要約)

 ラジオ業界の本でしたが、なんだか、このコンビニの話に通じるような気がしました。

 ココストアとサークルKのどちらかには、名古屋のセイコマになってほしかったな…。

 愛知を発祥とする「日本初」のコンビニの灯が、まもなく消えようとしています。

 このように、ココストアはミニストップと共同商品を出すなど提携関係にありましたが、今月15日付での解消を発表しています。

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