東濃MAP(中日新聞)
可児と御嵩はどっちなんだろう
中日新聞には「中部新時代」という地域ごとの広告企画がありまして、県単位ではなく「尾張東部」や「東三河」といった具合に地域単位で紙面が組まれ、全域にて掲載されます。その、地域の区割りが「中日流」なんですよね。そもそも中部新時代に「滋賀県」が入っていること自体も中日流なのですが。
この日、入っていたのは「東濃」地域版。東濃地域とは、その名のとおり岐阜県南部にある「美濃」の東側です。中日新聞の東濃MAPには中津川市、恵那市、瑞浪市、土岐市、多治見市と…ここまではいいのですが、それに加えて可児市と御嵩町が含まれているのです。
可児市と御嵩町は、行政や気象の区分では実は東濃ではないのです。
御嵩町は特にまぎらわしい
岐阜県による行政の区分けでは、「東濃」は中津川、恵那、瑞浪、土岐、多治見の5市。可児市と御嵩町は「中濃」なのです。行政の区分は、普段の生活でそれほど気にする必要はありませんが、問題は気象の区分です。
気象台が発表する警報・注意報の区分でも、可児市と御嵩町は「中濃」です。なので、災害発生のおそれのある場合の特別警報や警報が、中濃に出された場合は、可児市と御嵩町では警戒する必要があるのですが、どうしてもこの2市町には「東濃」というイメージが付きまといます。
そのひとつが、この中日新聞による扱いです。中日新聞は配送の関係からか、可児市と御嵩町を東濃扱いにしているため、2市町の中日読者は東濃だと思い込んでいるパターンをよく見かけます。一方の岐阜新聞は、美濃加茂市の美濃加茂総局内に可児支局があり、可児・御嵩エリアは中濃の美濃加茂と一体化されています。
さらに、御嵩町内には東濃高校、東濃実業高校があることも、東濃のイメージを強くしています。両校は岐阜県立の高校であり、なぜ、行政の区分けでは中濃である御嵩町に東濃と名の付く高校があるのか、と思ってしまいますが…。
現在は「西濃」「岐阜」「中濃」「東濃」と行政によって4つに分けられている美濃ですが、「東濃」「西濃」のみで分けられていたり、「東濃」「西濃」「北濃」で分けたりと、様々な分け方が存在し、「中濃」という区分を用いない場合には、可児市と御嵩町は「東濃」に分けられることもあり、その名残のようです。
とはいえ、現在の行政区分はもちろん、特別警報や警報では、可児市と御嵩町は「中濃」なので、災害発生のおそれがある際などそこは、しっかりと中濃であると押さえておく必要があります。
その「岐阜」は、どの「岐阜」?
愛知・三重・岐阜の東海3県で、県名と県庁所在地の名が唯一同じなのが「岐阜」です。「愛知」と「名古屋」、「三重」と「津」は、それぞれ呼び名が違うために、「県のことを話しているのか」と「県庁所在地のことを話しているのか」を混同することはありません。
しかし「岐阜」の場合、「この前、岐阜でさあ」ですとか「岐阜ではね」といった会話のときに、その「岐阜」が「岐阜県」のことなのか「岐阜市」のことなのかが曖昧で、思わず「それは県のことですか?市のことですか?」と聞きたくなってしまうのですが…。
岐阜の人の言う「岐阜」は、実は、それだけではなかったのです。
地域としての「岐阜」
先日、仕事で各務原にまつわる文章を書いていたときに、各務原市に「岐阜保健所」があることを知りました。「岐阜の保健所は各務原市にあるのか」と思っていたら、なんと、岐阜市には別途「岐阜市保健所」があるではありませんか。
岐阜市の「岐阜市保健所」と各務原市の「岐阜保健所」。これはどういうこと?と思ってSNSで聞いてみましたら、なんと、「岐阜県」でも「岐阜市」でもない、「第3の岐阜」があったのです。
それは、地域名としての「岐阜」。美濃は「東濃」「中濃」「岐阜」「西濃」の4つにわけられ、その地域としての「岐阜」には、岐阜市、各務原市、羽島市、瑞穂市、本巣市、山県市、笠松町、岐南町、北方町の6市3町が含まれるというのです。
岐阜保健所は、この岐阜地域から岐阜市を除いた地域が管轄エリアとなっています。気象の特別警報・警報にも「岐阜・西濃」という区分が存在します。この場合の「岐阜」とは、岐阜県でも岐阜市でもなく、地域名としての「岐阜」であり、先述の6市3町を示しています。
岐阜県民の言う「岐阜」には、「岐阜(県)」、「岐阜(市)」、「岐阜(地域)」の3パターンがあり、それぞれ「県」「県庁所在地」「6市3町」という意味があるわけです。
「岐阜ではさあ」という言葉を聞くたびに、「それは、どの岐阜のこと?」と、頭を抱えてしまう愛知県民なのでありました。きっと岐阜県人どうしは、空気で即座に把握できるのでしょうね。
コメント
御嵩町民なのですが、税金や免許の更新は多治見なんですよね。
中濃なら関になるはずですけど。