岐阜・柳ヶ瀬発祥のスーパー・グランドタマコシが無くなって10年…平和堂で思う

140723

平和堂扶桑店(愛知・扶桑町)

美濃の商圏をめぐって

平和堂といえば、滋賀県では圧倒的なシェアを誇り、もはや琵琶湖の代名詞といっても過言ではないほどのスーパーですよね。

鳩が2羽の看板が目印で、かつてイトーヨーカドーだったお店が平和堂に変わったアル・プラザ小牧は、鳩が1羽増えた!なんてことになったわけです。

そんな平和堂が岐阜・愛知に進出したのは10年前。いや、進出といいますか、事実上破綻したあのスーパーを引き継いだんですよね。

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・当時の記事
飛び立てなかった鳩は今ようやく

岐阜市の柳ヶ瀬を発祥の地とし、美濃・尾張へと店舗を拡大したスーパー、「グランドタマコシ」

全盛期は、幼稚園児たちへのインタビューという形式のテレビコマーシャルも流し、ラジオでは公開放送やスポンサード番組を数多く流し、この地方の地場のスーパーチェーンとして確固たる地位を築いていました。

岐阜県を地盤としたグランドタマコシは、おとなり滋賀県の平和堂と紳士協定を結び、互いにエリアを侵さないようにして発展してきました。

岐阜のグランドタマコシと滋賀の平和堂、さらに和歌山のオークワ、大阪のライフ、広島のイズミなどが共同で、ニチリウ(日本流通産業)を設立。共同仕入、商品開発など、地場のスーパーでありながらも、大きなマーケットの視点での運営がなされました。

ところが。

グランドタマコシは2004(H16)年、民事再生法の適用を申請して事実上破綻。紳士協定があり、ずっと岐阜への進出をガマンしてきた平和堂がスポンサーとなり救済。

当時、タマコシだった店舗は一部を除いて平和堂が引き継ぎ、意図しない形での進出となったのです。

今回訪れた愛知県の扶桑店は、タマコシ時代に「エブリホームセンター」として開設。スーパーに転向したものが破綻で平和堂に。ホームセンター、岐阜のファッションビルセンサなど、バブル期におけるタマコシの多角化の名残でもあります。

岐阜県の美濃地域といえば、西から、西濃、岐阜、中濃、東濃と、明確に商圏がわかれていまして、

面白い特徴として、西濃、岐阜、中濃にはイオンがあるのですが、

東濃にはこのタマコシの破綻の際に、平和堂と同じように救済に手を挙げたバローの本社があるからか、東濃にはイオンが一切無いのですよね。実際の理由はわかりませんが。

あれ?でも、土岐にサティって無かったっけ?サティって今はイオンだよね?と思ったのですが、

この土岐サティというのがまた異色で、もとは三起屋百貨店というお店だったものが、マイカルの連結企業となり、サティを名乗っていたんですね。で、今はどうなってるのかといいますと、バローの連結企業となり、バローグループの三越屋として、存続しているというなかなか不思議な存在です。

さて、平和堂なのですが、タマコシから引き継いだお店を中心に、岐阜県に11店舗、愛知県に13店舗を構えています。

ところが、岐阜県といっても、店舗網は西濃と岐阜地区だけ。中濃から東には進出していません。タマコシ時代の名残りなのでしょうが、愛知県では、2011(H23)年9月に長久手店を開店するなど、東の方まで食指を動かしているのに比べると対照的です。

それほど、中濃・東濃はバローが強いのか?それとも中濃・東濃は商圏として魅力が無い?と思ったのですが、違いますね。

今、中濃・東濃にガンガン攻めているスーパーがありますね。和歌山のオークワです。

かつての名鉄パレを吸収した「パレマルシェ」もオークワの運営ですが、それだけでなく、美濃、美濃加茂、坂祝、可児坂戸と、オークワは中濃に派手に進出。さらに、来春には土岐プレミアムアウトレットに隣接する形で、新たに開業する複合商業施設の殻店舗として、オークワ岐阜土岐店が進出します。

オークワは昨年、春日井市に物流センターを新設。このエリアに重点を置いていることがわかります。

そしてこのオークワ、近畿地方一円と岐阜、愛知、静岡に店舗があるのですが、滋賀県と京都府には店舗がひとつもありません。

そう、さきほどのニチリウの話に戻ります。

平和堂もオークワも、発足時から一緒にニチリウに参加しています。きっと、平和堂とタマコシの間に紳士協定があったように、今も平和堂とオークワの間には棲み分けがあるのでしょう。

オークワには西濃、岐阜地区にも店舗があることはありますが、それに比べて中濃、東濃への進出が派手なのは、そこに平和堂がないからなのでしょうね。

東濃にイオングループがまったくいなかったり、津島・愛西にもイオングループがほとんどいなかったり、平和堂が中濃、東濃にいなかったり、

スーパーの店舗網というのは、その背後に何があるのかを想像するのも面白いですね。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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コメント

  1. 樋口正孝 より:

    こんばんわTOPPYさん。樋口です。
    TOPPYさん、゛ニチリュウ”なんて放送業界だけでなく流通関係にも結構お詳しいですね。
    その昔、私も平和堂に勤務しておりまして、タマコシも見に行ったことがあります(転勤はしておりませんが…)。
    その時分からニチリュウブランドでPBを作っておりましたが、今ほどPBが有名になってはおらずただ安いだけのものと思われておました(PBといってもちゃんとしたメーカーに作ってもらっているんですけれどね、缶コーヒーはUCC製でした。あまりそれが知られていないから安物とみなされていたんです)。
    ぜひとも公開放送にお邪魔したいと思っているのですが、月曜日はなかなか休みが取れません(月曜に休むと3連休になっちゃって業務に支障をきたしかねません)。先日の祝日に行ければな、と思っていたのですが個人的な雑用が重なり行けませんでした。
    では失礼いたします。

    追伸
    別トビでお尋ねしておりましたpodcastの件、無事解決いたしました。これでまた聞くことができます。

  2. きよちゃん より:

    ヤナゲン(元大垣の百貨店)も平和堂になったんでしたね。
    ただし、元ヤナゲンの店舗はかなりつぶしましたが・・・

  3. トッピー@管理人 より:

    >樋口正孝さま コメントありがとうございます

    平和堂にお勤めだったんですね。
    滋賀県でのブランド力はすごいですよね。
    地域ネタでも、滋賀県といえば平和堂が必ず出てきますものね。
    ニチリウはPBの先駆けでしたけれども、
    そのメリットが消費者に伝わるには時間がかかりましたね…。

    お聴きになれてよかったです。
    今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

  4. トッピー@管理人 より:

    >きよちゃんさま コメントありがとうございます

    ライバルだったヤナゲンとタマコシ、
    どちらも平和堂になってしまいましたね。

    ヤナゲンは平和堂傘下にはなりましたが、
    会社としてもそのままで、デパートもそのままの名称で続いていますね。

    「♪ヤナゲン岐大ホームセンター」というCMが懐かしいです。

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