平和堂扶桑店(愛知・扶桑町)
美濃の商圏をめぐって
平和堂といえば、滋賀県では圧倒的なシェアを誇り、もはや琵琶湖の代名詞といっても過言ではないほどのスーパーですよね。
鳩が2羽の看板が目印で、かつてイトーヨーカドーだったお店が平和堂に変わったアル・プラザ小牧は、鳩が1羽増えた!なんてことになったわけです。
そんな平和堂が岐阜・愛知に進出したのは10年前。いや、進出といいますか、事実上破綻したあのスーパーを引き継いだんですよね。
・当時の記事
飛び立てなかった鳩は今ようやく
岐阜市の柳ヶ瀬を発祥の地とし、美濃・尾張へと店舗を拡大したスーパー、「グランドタマコシ」
全盛期は、幼稚園児たちへのインタビューという形式のテレビコマーシャルも流し、ラジオでは公開放送やスポンサード番組を数多く流し、この地方の地場のスーパーチェーンとして確固たる地位を築いていました。
岐阜県を地盤としたグランドタマコシは、おとなり滋賀県の平和堂と紳士協定を結び、互いにエリアを侵さないようにして発展してきました。
岐阜のグランドタマコシと滋賀の平和堂、さらに和歌山のオークワ、大阪のライフ、広島のイズミなどが共同で、ニチリウ(日本流通産業)を設立。共同仕入、商品開発など、地場のスーパーでありながらも、大きなマーケットの視点での運営がなされました。
ところが。
グランドタマコシは2004(H16)年、民事再生法の適用を申請して事実上破綻。紳士協定があり、ずっと岐阜への進出をガマンしてきた平和堂がスポンサーとなり救済。
当時、タマコシだった店舗は一部を除いて平和堂が引き継ぎ、意図しない形での進出となったのです。
今回訪れた愛知県の扶桑店は、タマコシ時代に「エブリホームセンター」として開設。スーパーに転向したものが破綻で平和堂に。ホームセンター、岐阜のファッションビルセンサなど、バブル期におけるタマコシの多角化の名残でもあります。
岐阜県の美濃地域といえば、西から、西濃、岐阜、中濃、東濃と、明確に商圏がわかれていまして、
面白い特徴として、西濃、岐阜、中濃にはイオンがあるのですが、
東濃にはこのタマコシの破綻の際に、平和堂と同じように救済に手を挙げたバローの本社があるからか、東濃にはイオンが一切無いのですよね。実際の理由はわかりませんが。
あれ?でも、土岐にサティって無かったっけ?サティって今はイオンだよね?と思ったのですが、
この土岐サティというのがまた異色で、もとは三起屋百貨店というお店だったものが、マイカルの連結企業となり、サティを名乗っていたんですね。で、今はどうなってるのかといいますと、バローの連結企業となり、バローグループの三越屋として、存続しているというなかなか不思議な存在です。
さて、平和堂なのですが、タマコシから引き継いだお店を中心に、岐阜県に11店舗、愛知県に13店舗を構えています。
ところが、岐阜県といっても、店舗網は西濃と岐阜地区だけ。中濃から東には進出していません。タマコシ時代の名残りなのでしょうが、愛知県では、2011(H23)年9月に長久手店を開店するなど、東の方まで食指を動かしているのに比べると対照的です。
それほど、中濃・東濃はバローが強いのか?それとも中濃・東濃は商圏として魅力が無い?と思ったのですが、違いますね。
今、中濃・東濃にガンガン攻めているスーパーがありますね。和歌山のオークワです。
かつての名鉄パレを吸収した「パレマルシェ」もオークワの運営ですが、それだけでなく、美濃、美濃加茂、坂祝、可児坂戸と、オークワは中濃に派手に進出。さらに、来春には土岐プレミアムアウトレットに隣接する形で、新たに開業する複合商業施設の殻店舗として、オークワ岐阜土岐店が進出します。
オークワは昨年、春日井市に物流センターを新設。このエリアに重点を置いていることがわかります。
そしてこのオークワ、近畿地方一円と岐阜、愛知、静岡に店舗があるのですが、滋賀県と京都府には店舗がひとつもありません。
そう、さきほどのニチリウの話に戻ります。
平和堂もオークワも、発足時から一緒にニチリウに参加しています。きっと、平和堂とタマコシの間に紳士協定があったように、今も平和堂とオークワの間には棲み分けがあるのでしょう。
オークワには西濃、岐阜地区にも店舗があることはありますが、それに比べて中濃、東濃への進出が派手なのは、そこに平和堂がないからなのでしょうね。
東濃にイオングループがまったくいなかったり、津島・愛西にもイオングループがほとんどいなかったり、平和堂が中濃、東濃にいなかったり、
スーパーの店舗網というのは、その背後に何があるのかを想像するのも面白いですね。
コメント
こんばんわTOPPYさん。樋口です。
TOPPYさん、゛ニチリュウ”なんて放送業界だけでなく流通関係にも結構お詳しいですね。
その昔、私も平和堂に勤務しておりまして、タマコシも見に行ったことがあります(転勤はしておりませんが…)。
その時分からニチリュウブランドでPBを作っておりましたが、今ほどPBが有名になってはおらずただ安いだけのものと思われておました(PBといってもちゃんとしたメーカーに作ってもらっているんですけれどね、缶コーヒーはUCC製でした。あまりそれが知られていないから安物とみなされていたんです)。
ぜひとも公開放送にお邪魔したいと思っているのですが、月曜日はなかなか休みが取れません(月曜に休むと3連休になっちゃって業務に支障をきたしかねません)。先日の祝日に行ければな、と思っていたのですが個人的な雑用が重なり行けませんでした。
では失礼いたします。
追伸
別トビでお尋ねしておりましたpodcastの件、無事解決いたしました。これでまた聞くことができます。
ヤナゲン(元大垣の百貨店)も平和堂になったんでしたね。
ただし、元ヤナゲンの店舗はかなりつぶしましたが・・・
>樋口正孝さま コメントありがとうございます
平和堂にお勤めだったんですね。
滋賀県でのブランド力はすごいですよね。
地域ネタでも、滋賀県といえば平和堂が必ず出てきますものね。
ニチリウはPBの先駆けでしたけれども、
そのメリットが消費者に伝わるには時間がかかりましたね…。
お聴きになれてよかったです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
>きよちゃんさま コメントありがとうございます
ライバルだったヤナゲンとタマコシ、
どちらも平和堂になってしまいましたね。
ヤナゲンは平和堂傘下にはなりましたが、
会社としてもそのままで、デパートもそのままの名称で続いていますね。
「♪ヤナゲン岐大ホームセンター」というCMが懐かしいです。