壁が崩れた日 CBCラジオ制作のドラゴンズナイターがぎふチャンラジオで流れた

180403

岐阜新聞・岐阜放送と黄金の信長像

岐阜放送ラジオがナゴヤドームの中日戦を流す!?

 中日ドラゴンズの地元開幕戦となった4月3日。巨人をナゴヤドームに迎えての3連戦。東京では野球中継から撤退するAMラジオ局が登場するなど大きな動きがあるなかで、名古屋の新聞のラジオ欄にも衝撃が走りました。

 その中日対巨人の試合を、ぎふチャンラジオ(岐阜放送)が放送するというのです。しかも、名古屋のCBCラジオとまったく同じ中継を。これは両社の母体となっている新聞社の長年の関係を考えたら、腰を抜かすほどのことです。

[広告]

岐阜放送とドラゴンズ

 東海3県には、ナイター中継を行う民放AMラジオ局が3つあります。名古屋に本社を置き、東海3県全域をエリアとするCBCラジオと東海ラジオはどちらも中日新聞系で、中日ドラゴンズの試合を中心に放送しています。

 一方、岐阜に本社を置き、岐阜県のみをエリアとするぎふチャンラジオは岐阜新聞の放送部門というくらいの存在。長年、中日新聞と岐阜新聞はまさに犬猿の仲で、岐阜放送はニュースで「中日」という単語をすべて、編集でカットしたり「ドラゴンズ」に読み替えるほどの徹底ぶりで、ナイター中継は巨人戦主体となっています。

ラジオ日本のジャイアンツナイターを長年放送

 その巨人戦をどこから買っているのか。それは、横浜にある日本テレビ系のAMラジオ局、アール・エフ・ラジオ日本から。ラジオ日本は1977年(S52)に巨人戦ホームゲームの独占中継権を取得して以来、独占ではなくなったあとも「ジャイアンツナイター」がメインコンテンツ。それをぎふチャンも流しているのです。

 ジャイアンツのホームゲームはそれで良いのですが、問題はビジターカードです。ラジオ日本はビジターゲームは自前で中継せず、それぞれの地方局から購入しています。

ナゴヤのビジターゲームはCBCが受託制作→番組販売

 ナゴヤドームで開催される中日主催の巨人戦。かつてラジオ日本では、CBCラジオ制作でありながら、CBCラジオで流れている中継とは別のものを流していました。CBCラジオにラジオ日本ジャイアンツナイターを制作委託していたわけですね。

 それが2016年(H28)年にCBCラジオの属するJRN系列のキー局であるTBSラジオとラジオ日本においてナイター中継で提携関係になると一変。CBCラジオのドラゴンズナイターがそのままラジオ日本で流れるようになったのです。

中日戦だけが流れなかったぎふチャン

 しかし、これはぎふチャンにはずっと関係のないことでした。ラジオ日本で流れていたCBCラジオのナイターは、別系統であろうが、CBCラジオと同じものであろうが、ぎふチャンラジオで流すことは許されませんでした。

 そのため、ラジオ日本が中日主催試合を中継する際には、ぎふチャンは「ダッシュ一番歌謡曲」「GO!GO!ミュージックナイター」といった音楽番組で穴埋めをしていたのです。つまり、ぎふチャンのナイター中継は「ジャイアンツを聞くならぎふチャン!」と言いつつ、中日主催試合だけは一切放送されないという状態が何十年と続いていました。

壁は崩れた

 それが、解禁されたのです。2018年(H30)4月3日。CBCラジオ制作のナゴヤドームの中日対巨人戦が、ラジオ日本にもネットされ、それがぎふチャンにもネットされる。CBCラジオとぎふチャンラジオが同じ試合を、同じ実況・解説で、しかもそれが中日主催のナゴヤドーム。まさに壁が崩れたといえるでしょう。

 かつて犬猿の仲といわれた中日新聞と岐阜新聞。その岐阜新聞の実質子会社である岐阜放送……ですが、実は数年前に、岐阜放送に中日新聞の資本が入っているのです。

 岐阜放送の資本金の推移を見てみますと、地デジ化前の2004年(H16)まで5億円(授権資本6億円)で42%が岐阜新聞。2005年(H17)には20億、2007年(H19)には30億円と大幅増資、しかも岐阜新聞は47%と比率を増やしてるんですね。そして、中日新聞が資本参加。比率は2%とはいえ6000万円。この資本金の膨らみ方。3年で6倍ですよ。何か、資本金を膨らませないといけない状況なのでしょうね。そこに中日新聞が入り込んだと。

 今回はナイター中継における壁が崩れただけですが、今後も動きはありそうな予感。

信長と美濃 (岐阜新聞アーカイブズシリーズ)

コメントはこちらから

Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました