「からすみ」は岐阜東濃地区では和菓子が常識!桃の節句には家庭でも作る

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黒糖からすみ(夢路本舗)

からすみってどっちのからすみ?

 岐阜県の中濃と東濃の境で育った妻と、台湾の高雄に行った時のことでした。日本よりも安く「からすみ」が買えるとのことで、からすみの専門店へと連れて行ってもらったのですが、その際に、妻と話が合わないのです。

 「からすみが安く買えるって…そんなに高いものじゃないよね?」
 「日本に持って帰るほどに日持ちするかなあ」
 「あ、ひょっとして、そっちのからすみじゃなくてあっちのからすみ?

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台湾の高雄で買った「からすみ」

 そっちのからすみ?あっちのからすみ?からすみなんて、ボラの卵巣を塩漬けして塩抜きして、カチカチに乾燥させたものに決まってるでしょう…と思ったら、岐阜では違うのね。和菓子なのね。

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岐阜の東濃を中心に食べられています

 岐阜県の東濃を中心に食べられている「からすみ」は、米粉で作られたういろうのようなもので、むしろこの地域では、ボラの卵巣のからすみよりも、こちらが一般的なんですって。

 私は、岐阜県の東濃と隣接している愛知県側で育ちましたけれども、つい最近までこの和菓子のからすみの存在を知りませんでした。

 やはり、美濃と尾張の間には大きな壁が…。

 とはいえ、三河との間には壁がないのか、この和菓子のからすみは信州の南木曽周辺や、奥三河では食べられているそうです。

形は富士山!

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 米粉で作られた和菓子ということで、ういろうと非常に雰囲気は似ているのですが、木の型に入れられて作られ、断面が富士山のような形になっています。

 富士山のような形をした中国の墨「唐墨」に似ているという説と、子宝の縁起を担いで、あちらのボラの卵巣のからすみに形を似せたという説の両方があります。ただ、あちらのからすみも「唐墨」から来ているという説もあるので、まあ、似たような由来ということですね。

 今回いただいたのは黒糖からすみ。まあね。ういろうに似ているという時点で、口に合わないわけがないのですが、いただいてみましょう。

ういろうよりもしっかりとしてます

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 確かに、味も雰囲気もういろうにそっくりです。当たり前ですよね。材料も製法も似ているのですから。ただ、若干違うのが食感。ういろうよりもしっかりとした感じがしますね。

 この「からすみ」、やはり子宝の象徴という由来があるためか、岐阜の東濃地区では桃の節句に各家庭で作ってお祝いをするという風習も残っているそうです。

 「からすみといえば?」を、 ちょっと周囲の人にも聞いてみたのですが、可児や多治見では「ボラの卵巣もあるけどやっぱり和菓子」なのに対し、瀬戸や春日井では「ボラの卵巣」一択なんですよね。

 美濃と尾張は文化的にも相互乗り入れしていて、特に多治見は「名古屋市多治見区」なんていわれるほどですけど、このように、ビジッと、門外不出的な文化もあるんですね。

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