写真:チューリップテレビ(富山市)
先日、富山に日帰り出張に行ってきたという記事を書きましたが、もちろん、ついでに、テレビやラジオの放送にも、できる限り触れてきました。たまたま、出張先の現場近くに、放送局があるというので、用事を済ませた後に、立ち寄ってみて驚き。
「FMとやま」という看板の前に、
チューリップテレビの本社が。と思ってよく見たら、えんじ色のチューリップテレビの本社の横に、FMとやまの本社がありました。
ひょっとして敷地同じ?ってくらいに、すぐ近くにあるんですね。
ここで、富山の放送事情について簡単に概要を説明しますと…。
・民放テレビ局は3つ(日本テレビ系・フジテレビ系・TBS系)
・民放ラジオ局は2つ(AM1局、FM1局)
・AMラジオがFMでも聞ける
・コミュニティFMは県内5局
このような感じになっています。各放送局の特徴としましては…。
<北日本放送(KNB)R1952.7/TV1959.4開局>
日本テレビ系列で、AMラジオとの兼営局。AMラジオが夜間聞きづらく、その対策として、テレビの副音声でラジオの音声を流すなど画期的なことに取り組み、現在では、AMラジオの放送をFMでも流しています。
革新的な社風なようで、地デジについても、国の計画を前倒しして、2004(H16)年10月に東京・大阪・名古屋以外のローカル局としては日本で初めてのスタートを切っています。その名のとおり、富山県で65.4%のシェアを誇る、北日本新聞が資本に入っています。
ちなみに、2007(H19)年の世帯普及率のデータによりますと、富山県で2割を超えるシェアがあるのは、北日本新聞を除くと、読売新聞(23.9%)のみで、それ以外は、全て2割未満となっています。
<富山テレビ(BBT) 1969.4開局>
フジテレビ系として開局した初UHF局(アナログ)。新聞資本としては、筆頭として中日新聞と朝日新聞が入っていますが、同じく筆頭で東海放送会館が入っており、かなり中日色の濃い局となっています。
毎週日曜には「北陸中日新聞日曜夕刊」という番組がありますが、北陸中日新聞がシェア2割を超えている石川県に比べると、富山県には石川県の北國新聞系の富山新聞もあり、中日新聞の発行部数は1万部にも満たないという状況です。
<富山エフエム放送(FMとやま) 1985.4開局>
富山県、北陸電力、北陸銀行が主要株主という、一見、既存のマスコミ色は薄いFM局に見えますが、その下には、北日本新聞、中日新聞、北國新聞、読売新聞、日本経済新聞、富山テレビが同率で出資していて、薄いというよりは、もう全社まとめて相乗りという感じの、ごった煮資本とも言えるでしょうか。
実際の放送では、富山新聞ニュースと北陸中日新聞ニュースが混在する形となっています。
ちなみに、北日本新聞の本社内に、「富山シティFM」という、直系の富山市だけをエリアとするコミュニティFMがあり、これまでFMとやまを富山新聞、北陸中日新聞連合に取られてしまったことへの逆襲という形になっていて、北日本新聞のラジオ欄の大きさが、県域よりもコミュニティFMのほうが大きいという逆転現象が起きています。
<チューリップテレビ(TUT) 1990.10開局>
いわゆる平成新局として開局したTBS系列のテレビ局で、先述のとおり、FMとやまと同じ敷地にあり、こちらも株主には、TBS、朝日新聞、読売新聞、中日新聞、北國新聞、北日本新聞、産経新聞、CBC、日本経済新聞、毎日新聞と、もうありとあらゆるマスコミが出資をしていて、資本構成だけを見ると、どこの系列なのかわからない状態です。
実際には、富山新聞との関係が深いようで、北國寄りということになりますかね。
ただ、系列とはいえ、中日新聞もCBCも資本参加していて、CBCのローカル番組が放送されることがあるというところを見ると、中日の影響力もありそうです。もともとは、テレビユー富山(TUT)として開局したのですが、のちに愛称である「チューリップテレビ」を正式名称として採用したという経緯があります。
チューリップテレビが開局するまでは、石川県の北陸放送(MRO/TBS系列)がよく富山で見られていた一方で、石川県には日本テレビ系列が無かったために、北日本放送が石川でよく見られていたという、補完関係にあったのですが、
今は、石川県には主要4系列がそろったことで、富山の放送が見られることは無くなり、逆に、北陸で唯一のテレビ朝日系列である、石川県の北陸朝日放送が富山でも見られているという状態になっているとのことです。
ケーブルテレビに入れば見られるとはいえ、やはり、民放テレビが3つしかないというのは、少し寂しいですね。ちなみに。普通にアンテナを立てただけでは、かつてはTBSテレビ系列が無く、テレビ朝日系列は昔も今も無いことから、富山県は日本で一番、久米宏さんの認知度が低い県だと言われていますね。
それにしても、放送局の資本構成を見ただけでも、富山県への影響力というのは、東京、名古屋、そして石川と、外部からの影響がどれも均等に入ってる感じがありますね。もちろん、北日本新聞社の力は相当ですから、地元資本も負けてはいないと思いますが、北日本新聞vs富山新聞(北國)+中日連合軍という印象を受けました。
それにしても、昔から思うのは、「富山」=「北日本」というイメージは、新聞や放送に興味の無い方の普通の感覚だと沸かないですよね…。そう思いません?
とにかく。富山にはローカル新聞が3紙、プラス、読売新聞も強いということで、県の規模の割には、マスコミの綱引きがかなり激しい地域であるといえますね。
コメント
ズームイン朝で『富山・北日本放送』というテロップを昔から見ていたため、当時は違和感を感じませんでした。
でも今思うと、北陸を『北日本』と表現するのは違和感ありますね・・・。
そもそも日本は南北より東西で分ける傾向が高いので、北日本、南日本という表現は、それこそ『北日本放送』と鹿児島の『MBC南日本放送(TBS系)』でしか聞いたことないですね。
ちなみに東日本は宮城『KHB東日本放送(テレ朝系)』西日本は香川『RNC西日本放送(日テレ系)』福岡『TNCテレビ西日本(フジ系)』がありますが、どれも地理的にはしっくりきませんね。
そもそもどこも県営局なのに、どうして「~日本」と付けたがるんでしょう。あ、そんなこと言ったらRFラジオ日本が・・・。
>ネモッチさま コメントありがとうございます
北日本放送もそうですが、○日本という放送局って、
基本的には新聞社名と同じところが多いですよね。
北日本新聞、西日本新聞、南日本新聞、
そして我らが(旧)中部日本新聞と。
新聞社名に由来しないのは、
西日本放送と東日本放送ですかね。
西日本放送は、四国新聞資本でラジオ四国として
開局していますので、そのまま四国放送としたかったので
しょうけど、先に徳島新聞が四国放送を作ってしまったので、
さらにそれより大きな名前を…という感じですかね。
東日本放送は、東北、仙台、宮城と、
あそこは全部バラバラの地名で、やはり選択肢が無くて…
でしょうか。
なんとなくですが、老舗V局が名乗っているのは、
まあ、わからないでもないのですが、
東日本放送だけは特に、
U局で地域最後発局ということもあってか、
アンバランスな感じがありますね。