名古屋発!CBCのゴゴスマが秋から関東でもフル放送・平日午後2時地方発ワイドの歴史を紐解く

cbc

CBC 中部日本放送(名古屋・中区)

もとはローカル番組だったのに

「東海3県を徹底的に応援する」をコンセプトに番組がスタートした、名古屋・CBCテレビ制作の生ワイド番組「ゴゴスマ-GO GO!Smile!-」。この春から、関東・TBSテレビにて前半1時間も放送されるようになり、前半は東京にも通用する生活・芸能情報、後半は従来どおりの東海3県情報でした。

 東京にも通用する…といっても結構、名古屋発の色は濃く、東海地方に軸足を置いた生活・芸能情報が関東でも放送されているという状態で、一部スポーツ紙では打ち切りか?という報道もあったのですが…。

 なんとこの秋から、TBSテレビでも2時間すべてを放送すると、中日スポーツが報じたのです。

 その、東京以外のところが制作している生ワイドを、毎日2時間放送すること自体に驚くことはありません。そもそも、日本テレビは同じ時間に、大阪・読売テレビ制作の「情報ライブ・ミヤネ屋」を放送しているわけですから。

 実は、昭和の頃はこの、午後2時といえば「地方発」が、多い時間だったのです。今回は、その午後2時の「大阪発ワイド」「大阪東京共同制作ワイド」の歴史を紐解きます。ゴゴスマの話題はそれほどありませんのでご了承ください。

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午後2時は大阪発・地元発

 平日の午後2時、各局が競って「大型の生ワイドショー」を放送していた時代がありました。

  • 日本テレビ「THEワイド」(1993.4~2007.9)※2時間
  • TBS「スーパーワイド」(1992.10~1996.5)※2時間
  • フジテレビ「タイムアングル」(1993.10~1994.9)※1時間半
  • フジテレビ「ビッグトゥデイ」(1995.10~1999.3)※2時間
  • テレビ朝日「パワーワイド」(1995.4~1996.3)※1時間

 このように、90年代前半から「大型の生ワイドショー」戦争が始まっていることがわかります。こうなる前までは、キー局の芸能ワイドショーはどの局も午後3時からでした。そして、午後2時台には、どの系列も大阪発・地元発の情報ワイドが放送されていました。

 特に、大阪発のワイドは制作力の高さから番組購入という形で大阪以外の地域でも放送されることが多く…

・読売テレビ(日本テレビ系)
「ワイドショー今」「2時のワイドショー」「Beアップル2時!」

・毎日放送(MBS/TBS系)
「スタジオ2時」「ワイドYOU」「ごきげん2時」「きらめきワイド」「レインボー」

・朝日放送(ABC/テレビ朝日系)
「ワイドショー・プラスα」「バラエティワイドこんな時α」「ほっとワイド」「ビバ・レディー」「晴れ時々たかじん」「べかこの自遊時間」

 これらの番組は、西日本を中心に多くの地域で放送されていたのですが、毎日放送の「レインボー」は、TBSの「スーパーワイド」に切り替える局が続出し、最終的には毎日放送単独番組となり終了。朝日放送もこの時間の自社制作を取りやめています。

日本テレビは2度大阪に頼っている

 ここで特筆すべきは、日本テレビ系列です。1978(S53)年の時点で、午後の編成はこのような状態でした。

  • 日本テレビ 14:00ドラマ再放送◇15:00ドラマ再放送
  • TBSテレビ 14:00ドラマ再放送◇15:00(生)3時にあいましょう
  • フジテレビ 14:00(生)リビング2◇15:00(生)3時のあなた
  • テレビ朝日 14:00ドラマ再放送◇15:00時代劇再放送
  • 東京12チャンネル 14:00(生)ハーイ!2時です◇15:00体操◇10[N]◇15株式◇30映画

 日本テレビは再放送枠で2時間を埋めていました。一方で、大阪・よみうりテレビは午後2時から「ワイドショー今」という生ワイドを放送していました。日本テレビはその「ワイドショー今」を大阪からネットすることで、生放送化を図ることとし、ワイドショー今は「2時のワイドショー」に衣替えし、キー局を含む、日本テレビ系列の各局で放送されるのです。

 この歴史、実は繰り返しているのです。2時のワイドショーの名残りで、2時台を大阪・よみうりテレビ、3時台を日本テレビ発としてスタートした、共同制作の「ザ・ワイド」が2007(H19)年秋に終了すると、日本テレビは「ドラバラZONE」という再放送枠にするのですが…。

 大阪の読売テレビは、それまでローカル放送だった「情報ライブ ミヤネ屋」をその時間にもってきます。次第にミヤネ屋を放送する地域が広がり、結局、半年後には日本テレビも大阪・読売テレビを頼って「情報ライブ ミヤネ屋」のネットを開始。

 日本テレビは2度、午後の生ワイドの制作を読売テレビに頼り、それは今も続いているというわけです。

東京12チャンネルが関西とすごいワイドショーを共同制作していた

 さらに、現在のテレビ東京である東京12チャンネルは昭和40年代から、午後2時に関西と共同制作のワイドショーを放送していました。

 1969(S44)年、当時はNET(現・テレビ朝日)系だった大阪の毎日放送が「ファミリースタジオ」を開始すると、そこに東京12チャンネルが乗っかり、半年後から毎日放送と東京12チャンネルの共同制作による「ファミリースタジオ230」がスタートします。

 月曜から水曜が大阪発、木曜と金曜が東京発となりました。その後「奥さん2時です!」となり、東京12チャンネルと毎日放送をキー局に、北海道から福岡まで各地で放送される人気番組となるのですが「ある事情」で終了します。

 それは、1975(S50)年春のこと。毎日放送と朝日放送がキー局を入れ替え、毎日放送がTBS系列となってしまうのです。TBS系列は、他のキー局とのやりとりをするのが極めて難しい系列で、毎日放送と東京12チャンネルとの共同制作など維持されるわけもなく、毎日放送は先述の「スタジオ2時」単独制作へと切り替えます。

 一方の、東京12チャンネルはどうしたのかといいますと、「こんにちは!奥さん2時です」と改題し、なんと、共同制作の相手を毎日放送から近畿放送(現・KBS京都)とサンテレビジョンに切り替え。関西の独立U局2つとの共同制作番組として継続したのです。こちらも人気番組となり、90分化されます。

 今では信じられませんが、テレ東が午後2時に大型ワイドショーを放送していた時代があったのです。どういう内容だったか、当時の資料を見てみますと…。

  • 「ト○コ嬢30人を剥ぐ!」(当時は伏字ではありません)
  • 「ズバリ!夫婦で高める精力増強術」
  • 「ショック!こんな女房は必ず亭主に捨てられる」
  • 「運転手30人!!ハレンチ乗客、走る密室でのモーレツぶり」
  • 「女ざかりに危機!!あなたの肉体年齢は…▽らぶらぶBOX」

 エログロの12チャンネル時代を象徴する、過激ワイドショーだったことがわかります。今では「テレビ東京は社の方針としてワイドショーをやらない」と言われていますが、それはこの時代の反動・反省からという説が有力です。それは逆に言えば、テレ東がワイドショーをやると、きっとこうなってしまう…ということでしょう。

毎日放送は今もやっている

 話が逸れましたが…。かつて、そのテレビ東京とワイドショーを共同制作していた毎日放送は、スーパーワイドで歴史が断絶するものの、現在も午後2時にワイドショーを放送しています。

 現在、毎日放送は平日午後1時55分から「ちちんぷいぷい」を放送しており、北海道放送でも放送されているほか、一時期、TBSテレビが金曜だけ放送をしていたこともあるのです。

 そのTBSテレビは、この秋からCBCテレビのゴゴスマを、月曜から金曜まで2時間放送するというのですから、まさに、日本テレビにおける「大阪を頼った」ミヤネ屋に対して、TBSテレビの「名古屋を頼った」ゴゴスマ、同じ構図になるわけです。

 27日のゴゴスマで冒頭、秋からTBSテレビでも2時間放送されるという新聞記事を紹介。コメンテーター陣から「東京に染まっちゃダメですよ」 「東海地方の皆さんはちょっと心配ですよね」という声。

 するとメインキャスターの石井アナは「え、ええ…じ、軸足はもちろん名古屋です…」といつものとおり歯切れ悪く切り替えします。そりゃそうです。その新聞記事には、こうあったのですから…。

「番組全体を全国向けの内容にリニューアル。料理、健康などの生活情報に加え、事件、事故、芸能速報を充実させる」

 はい、お察しのとおり、ゴゴスマをダシに、テレビ東京がKBS京都とサンテレビと一緒に昔やっていた、午後2時の過激なワイドショーのことを書きたかっただけです。

 他にも、関西テレビの不遇なワイドや、テレビ大阪の無謀なワイドもありましたが、それはまた別の機会に。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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