UFJホールディングスは6月、傘下のUFJ信託銀行を住友信託銀行に売却することで合意しました。計画では、今秋にもUFJ信託銀行を住友信託銀行の子会社とすることにしました。その合意には、他の銀行などと売却や統合交渉をしないという独占交渉権であることが明記されていました。
ところが7月13日、UFJグループは三菱東京フィナンシャルグループと、グループ全体を統合することを発表。統合はUFJ信託銀行も対象で、住友信託銀行への売却は白紙撤回するとしました。これにより住友信託銀行の株価は急落、怒った住友信託銀行は、UFJと三菱東京の経営統合交渉差し止めを求める仮処分を、東京地裁に申請しました。そして7月27日、東京地裁は住友信託銀行の申請を認め、UFJと三菱東京の統合交渉に中止命令を下します。これに対してUFJは異議申し立てを行います。
すると今度は、住友信託銀行を傘下に置く三井住友フィナンシャルグループが、UFJグループに対して統合申し入れを行ったり、5000億円以上の資本支援を提案したり、さらに統合後は関東・東海・関西と別の銀行を立ち上げる構想があるなど、旧東海銀行陣の心を揺さぶるような案を出してきます。
結局8月12日、東京高裁はUFJと住友信託の「信頼関係破壊」を理由に、経営統合交渉中止命令の仮処分を取消します。さらに三菱東京はUFJに対し、7000億円の資本支援を発表。2005(H17)年10月を目処に三菱UFJグループが誕生することになりました。総資産規模で約190兆円、世界最大級となります。この統合によって、今後どうなるのかビクビクしているのは名古屋の地方銀行です。
中京銀行、岐阜銀行はUFJと、十六銀行、百五銀行、愛知銀行は東京三菱銀行と関係が深く、この再編によって地銀も淘汰に向かうのでは…という声もあります。とりあえず、三井住友が提案した、東海地区単独の都市銀行復活が無くなったことにホッとしているのは間違い無いようです。
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