26日、デザイン博訴訟の差し戻し審判決が出ました。結果は住民敗訴。しかしデザイン博が黒字だったと認定されたわけではありません。
1989(H元)年7月15日から11月26日の135日間に渡って名古屋市で開催された地方博「世界デザイン博覧会」。総入場者数は1,518万人、収益は2億1千万円の黒字と発表されました。しかし、デザイン博終了後に名古屋市は、灰皿1つ38,000円、木のベンチ1つ76,000円、テント1つ390,000円といった中古品にもかかわらず法外の値段で使用済み備品を買い取りました。その金額は合計10億3,632万円。この金額を入れて2億1千万円の黒字…ということは、デザイン博の実態は8億2,600万円の赤字だったというわけです。
これに対し、名古屋市民オンブズマンが10億3,632万円の返還を求めて裁判を起こします。1審、2審ともに名古屋市に赤字隠しの意図があったと認定、1審では全額返還を協会と当時の市長に命じ、2審では黒字分2億1千万円のみの返還を命じました。原告側は最高裁に上告しましたが、返還額確定のための審理を名古屋高裁に差し戻しました。
その差し戻し審判決では、デザイン博は名古屋市と実質的には準委任関係があったとして、赤字分は市が負担する義務があったと判断、黒字分の2億1千万円については協会は既に市への寄付を決めており、結果これ以上の返還は必要ないという内容の判決でした。
この判決は、デザイン博は本当は黒字だったとか、テント1つ390,000円が妥当な金額だったとか言っているわけではなく、市がやった博覧会の赤字は、市が補填して当たり前と言っているのです。
ちなみに、デザイン博は3会場で開催され、各会場の入場者数の合計で総入場者数を算出しているので、1日に3会場をはしごすると3人としてカウントされました。実際の入場者数は一体どれくらいだったのでしょうか。入場者目標を達成して8億の赤字って不思議ですものね。
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