AMラジオがFMでも聞けるように・周波数割当へ

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 都市雑音やパソコンなどの普及によって、どんどん聞きにくくなっているAMラジオ。

 特に、人口密集地の都会ほど聞きづらくなっていることで、メディアとしての存在意義にかかわる事態となっています。

 一方で、インターネットでもラジオが聞けるサービスもありますが、災害時のためのラジオという側面で、インターネットの災害脆弱性は言わずもがなです。

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 そこで、AMラジオ各局は、都市雑音に強く、音質も良い、FMラジオでも、同じ放送を聞こえるようにしたいと、行政などに働きかけてきまして、

 このたび、総務省から、「FM方式によるAMラジオ放送の補完中継局に関する制度整備(案)」が発表されました。

 関係者によると、地域によってかなり温度差があり、名古屋の既存FMラジオ局は歓迎ムードの一方で、地域によっては既存FMラジオ局が、これに対して相当反発をしていることで、制度整備がかなり神経質になっているとのこと。

 今回の発表により、この案に対しての意見募集を3月3日まで行い、それを受けてAMラジオのFM補完が進められることとなります。

 今回の案によりますと、AMラジオ局のFM補完中継局は…

・周波数は90.1MHzから94.9MHzを使用する
・その県に存在するFM局の最大出力を超えない
・100wを超えるものは予め周波数を割り当てる

 最大の問題は、既存のFM局は全て都道府県単位の放送であるということ。(島根と鳥取は過疎地につき2県域になっているがあくまでも特例)

 対して、AM局には東京、大阪、名古屋にそれぞれ、複数の県をカバーする局が存在するということ。

 たとえば、既存FM局である、TOKYOFMとJ-WAVEは、東京都のみをエリアとする放送局であるのに対し、AM局のTBSラジオ、文化放送、ニッポン放送は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県の、7都県をエリアとする放送局であること。

 このことから、AM局は、FM補完局について、7都県をカバーできるよう、TOKYOFMやJ-WAVEよりも強力なものにしたいという思惑があったのですが、これに既存FM局が反発。

 結果として、いくら広域AM局であっても、既存FM局を越える電波を出すことは認めないこととし、各AM局に対して、その、県域FM局と同等の出力で、FMの電波を出せる周波数をひとつずつ割り当て、あとは、出力100W以下の中継局で補完をするようにという内容になっています。(災害時はそれに限らない)

 具体的には、東京の3局(TBS・文化・ニッポン)には、90.5MHz・91.6MHz・93.0MHzが、
名古屋の2局(CBC・東海)には、92.9MHz・93.7MHz、大阪の3局(ABC・MBS・OBC)には、
90.6MHz・91.9MHz・93.3MHzが割り当てられ、それぞれ、既存のFM局の電波の強さを超えない、たとえば東京であれば、スカイツリーなら7kW、東京タワーなら10kWということに
なりそうです。

 もちろん、AM県域局にも割り当てられ、茨城放送は94.6MHz、栃木放送は94.1MHz、RFラジオ日本は92.4MHz、ぎふチャンは90.4MHz、KBS京都は94.9MHz、ラジオ関西は91.1MHz、和歌山放送は94.2MHzという具合になっています。

 こちらもそれぞれ、各県域の既存FM局の、電波の強さを超えない範囲でということになります。

 ただし、このFM補完中継局は、全てのAMラジオ局に周波数を割り当てるものの、必ずしも実施を必須とするものではなく、希望する局が行うのみで、

 2020(H32)年3月31日までに開始しない局の周波数は、割当が削除されることになっています。

 今回は、AM局への基幹局の周波数割当案ということになっていますが、短波のラジオ日経や、NHKも同様のFM割当を求めています。

 東海ラジオは、2015(H27)年春までにはスタートさせたいとのコメントを発表していますが、果たして。

 そもそも、周波数を見て、違和感を持たれた方も多いと思うのですけど、90MHzから上の周波数って、対応できてるラジオ、もう?まだ?ほとんど流通してませんよね。もちろん我が家にはあることはありますけど。

 外国製のラジオですとか、アナログテレビの1chから3chが90MHzから108MHzでしたので、
1chから3chの音声が聞けたラジオやラジカセは、その威力を発揮することになります。

 それに、ラジオといえば車で聞くことが多いのですけど、まだまだ、カーナビゲーションに対応機種はありません。消費税増税前に、車を買い替える人も多いこの時期に、このFM補完中継局が聞けないラジオが普及してしまっては…。そのあたり、ラジオ業界はどう考えてるんでしょうね。

 実は自分も、この春に新しいカーナビを買うことになりましてね。この先10年くらい使うことを考えてるので、これ、実現しても車で聞けませんわ。

 ハイクオリティなFM音声でのナイター中継とか車で聞くの楽しみだったんですけどね。

DRETEC AM/FM 防滴ラジオ 「ラーク」 グリーン PR-315GN

FM方式によるAMラジオ放送の補完中継局に関する制度整備(案)に対する意見募集(総務省)

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コメント

  1. アイ・フロッグ より:

    2014年に入り、FMをめぐって名古屋の「お空」が随分賑やかになってきた感じがしますね。
    もうそろそろ、「新・79.5MHz」の試験電波が発射されるといわれる時期ではありますが、個人的なこととして名古屋に限っていうなら「92.9MHz・93.7MHz」の2波の出力 (空中線電力) の上限は既存の「77.8MHz・80.7MHz・82.5MHz」ではなく、「新・79.5MHz」にそろえられそうな予想も成り立ちそうな感じがするのですが、その辺はどうなるか気になります。
    ところで過日、TOPPYさんのツイッターを拝見したところ今回、岐阜に割り当てられた「90.4MHz」のそばの「80.0MHz」の運営 (運用) 会社の経営が危機的状況で、ことによると清算されるかもしれないとの「呟き」を見つけました。
    「90.4MHz」の割当人 (1431KHz) の経営も厳しいとあって関係者は気を揉むでしょうが、やはり名古屋の「旧・79.5MHz」の二の舞だけは避けるべく動いているとは思います。
    最後に名古屋と岐阜を絡めて記すなら、もし「92.9MHz・93.7MHz」が本放送を始めれば、その流れを受けて「639KHz」は廃止されるでしょう。なぜなら「639KHz」こそはまさに、今回の「FMへの割当」までの補完的存在でしょうから。
    (今回は周波数そのものをやたらと強調表記したため、随分マニアックな文面と化しましたが、TOPPYさんならここに記されたすべての周波数がどこを示すかご存知と思いましたので、敢えてこの文面としました。失礼と思われましたらどうかご容赦下さい)

  2. トッピー より:

    >アイ・フロッグさま コメントありがとうございます

    639kHzは、補完という建前で、
    岐阜放送の周波数変更を阻止するための「埋め」
    という意図もあると関係筋から聞いておりますので、
    まあ、岐阜放送の周波数変更計画ももう無いとは思いますが、
    そちらの廃止も無いような気がします。

  3. kaz2go より:

    輸入車で海外仕様のオーディオで我慢している人ならばこれから楽しめますね 輸入車用のクリスタルコンバーターのような製品が出てくると思いますよ 中華ラジオ等はFMを海外仕様に切替できますし 地元広島では76.1MHzにコミュニティFMが有りますので両立は難しそうですが・・・(^^;

  4. トッピー@管理人 より:

    >kaz2goさま

    そうですね。海外仕様なばバッチリです。
    ただ、海外仕様の場合は仰るとおり、
    低い周波数の局が聴けませんね…。

    コンバーターはありそうですね。期待したいです。

  5. 日下 より:

    そうですね、車で聴けないと馬の耳に念仏ですよね・・・。
    数年内に出るカーナビはワイド対応になると思いますが。
    世界標準と共用化で76-108MHzなんてことになれば一番いいのですが・・・。

    私は韓国の中古自動車屋でカーラジオを買って来て車につけました。2台目として。
    これでOKですね。

    茨城放送がFMで出せば関東中にかなり飛ぶと思いますね。
    FMのない茨城が存在感を!!

  6. トッピー@管理人 より:

    >日下さま コメントありがとうございます

    この計画、なかなか進みませんね。
    小出力局は年内に実現しそうですが、
    基幹局のFM化は来年春に開始できるかどうか…。

    こういう動きだと、カーナビメーカーも
    腰をすぐに上げるとはいきませんよね。
    最近ではラジオの扱い自体が
    ナビのなかでどんどん悪くなっていますし…。

    早く進むことを期待します。

  7. なっちっち より:

    初めまして、なっちっちと申します。
    よろしくお願いします。

    中継局ですが、既存FMの親局がNHKと民放とで送信所が違う場合、どちらに設置されるんでしょうかね?
    NHK?民放?それとも新規に設置?
    その問題が関東ならRFラジオ日本にあります。
    NHKだと横浜(標高約150m)ですが、民放のFMヨコハマは伊勢原・厚木にある大山(標高約1250m)です。出力はどちらも5kWです。
    ロケーションなら大山ですが、NHKということなら横浜になるんですけどね。

    TBSラジオ・文化放送・ニッポン放送もスカイツリーかタワー、どちらになるんでしょうかね?
    スカイツリーには、元々マルチメディア放送用にスペースがありますので、そこを活用できます。
    タワーはテレビのアナログ放送が終了しましたので、そこのスペースが使えます。
    ちなみに送信地と受信地が同じ距離であれば、スカイツリーからの電波の強さはタワーからのより約1.67倍強いことになります。

    茨城放送は筑波山の北側にある山にあるNHK水戸のFM送信所(標高約700m)からになると思います。
    ここは関東平野のほぼ真ん中にありますので結構電波が飛び、東京でも比較的良く聴こえるそうです。
    出力も同じ1kWになるなら、同じ聴こえ方になるでしょう。

  8. トッピー@管理人 より:

    >なっちっちさま コメントありがとうございます

    まさに、その送信環境と送信出力の面で、
    既存FM局とAMラジオ局の綱引きといいますか、
    そこの折り合いがついたところから実施という形でしょうね。

    特に東京や大阪、福岡は既存FM局の発言が強いようですから、
    実現までまだまだ道のりは遠そうですね。

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