ジャパネットたかた本社(長崎・佐世保市)
他の局も放送してるのに「東海テレビ」を連呼
新聞のテレビ欄、東海テレビの午後に、見慣れぬ文字がありました。「生放送テレショップ!特価商品が登場!」
これが、すぐ横の欄のテレビ愛知だったり、三重テレビだったら何の不思議もないのですが、東海テレビというのは初めて見た気がします。そしてこの日、その要因になったと思われる記事が、中日新聞に掲載されていたのでした。
午後2時から放送されたのは「ジャパネットたかたテレビショッピング5局同時生放送スペシャル」5局とは、東海テレビ、山形さくらんぼテレビ、石川テレビ、サガテレビ、テレビ長崎、すると冒頭で高田社長が興奮してこう言ったのです。
「今日は記念のテレビショッピング。初めて東海テレビに生放送テレビショッピング、長年の夢が叶いました。いやー東海テレビさんは初めて生放送。ずーっとお願いして夢のまた夢、これが実現した!」
ということは、これまで東海テレビはずっと、ジャパネットたかたのオファーを断ってきたということですね。社長の興奮は続き…
「この時間、東海テレビ初めての生放送、夢が叶いまして私もうすごいテンション!」と番組中何度も言い続け、ルンバは「今日は東海テレビ生放送夢が叶いました記念セールですから15,000円引きで!」と大盤振る舞い、タブレットに至っては、「東海テレビ初めてですから『マッサージャーもみたいむ』つけて100円!」
東海テレビで初めての放送ということで、タブレットにマッサージ器がついてきてしまいました。しかも100円です。エンディングでも「今日はもう東海テレビ、東海テレビ、東海テレビ、東海テレビ、東海テレビ、お電話お待ちしてますよ~」と5回も東海テレビを連呼。よほど嬉しかったのでしょうね。
ただ、これは東海テレビだから、ではなく、かつてCBCテレビで初めてジャパネットが生放送した際も、「やっぱりCBCは違いますね!ものすごい注文です!すごいですね~CBC!」と仰っていましたので、そのテレビ局での初の生放送に、高田社長は興奮するというわけです。
写真:CBCをキーステーションにセントレアから放送した回
高田社長は放送マニアではないか、という推測がたちます。毎回、番組の冒頭にはネット局を紹介しますし、サンテレビでの放送があるたびに「サンテレビは兵庫県だけじゃなく大阪府でも映るんですよ~」と絶対言いますし、「TOKYO MXはスカイツリーになって広く関東圏でご覧になれるようになりましたからね~」
このあたりなんて、放送マーケティングに詳しいといえばそうかもしれませんが、わざわざそれを言うってのが、放送マニアとしか思えないんですよね。
なぜ「ずーっとお願いして」なのか
それはさておき、今日の高田社長の「東海テレビさんは初めて生放送。ずーっとお願いして夢のまた夢、これが実現した!」という発言から、ジャパネットが放送をお願いしても、放送を断るテレビ局があるということがわかります。ここ最近、テレビに限らずラジオでも、通販CMではなく、通販番組が増えているのは実感されている方も多いと思います。
「通販番組なんて視聴率とれないでしょ?」そうです。とれません。それでも、売れるんです。通常のスポンサーと違い、通販番組は視聴率そのものにこだわりません。モノが売れて、通販会社が支払う電波料を上回る利益が出ればそれでいいんです。
なので、三重テレビやぎふチャンといった、視聴率が算出されないテレビ局は、通販番組を積極的に放送しますし、確実に電波料がもらえることで、ラジオ局にとってはありがたい存在になっており、特に地方のラジオ局は、もはやレーティングなんかよりも、通販でモノが売れるタイプのパーソナリティの育成を…という方針のところもあるというのですから驚きです。
視聴率が算出されないテレビ局はそれでよくても、東海テレビなどはそうはいきません。「視聴率三冠」など、少しでも平均視聴率を稼ぎたいテレビ局にとって、通販番組は大きな視聴率の損失になります。売上は上がるけれども平均視聴率は下げてしまう、
つまり、「視聴率が下がる副作用を伴う売上カンフル剤」それが通販番組なのです。かつて、東海テレビの午後2時台といえば、「タイムアングル」「ビッグトゥデイ」と大型ワイドショーを放送した時期もありました。今やこの時間は中京テレビの「ミヤネ屋」一人勝ち。今朝の中日新聞にこのような記事が載りました。
「東海テレビ減収視聴率低迷響く」
「中京テレビは2年連続増収」
この2つの記事、別々に書かれていたのですが、注目すべきはその売上です。2014年3月期決算で、
東海テレビは3年連続減収の314億円、
中京テレビは2年連続増収の315億円。
なんと、中京テレビが東海テレビを抜いたのです。
旧VHFの老舗東海テレビを、旧UHFの新参中京テレビが抜いたのです。この報道があった日に、東海テレビが初のジャパネット生放送。そういうことですね。かつて東海テレビは○年連続視聴率三冠を誇ってきました。それをアピールする新聞広告も大きく出していました。しかし、フジテレビの不振によって三冠には大きく届かなくなり、とうとう売上で中京テレビに抜かれてしまった。そこで、通販番組という売上カンフル剤に手を出した…と。
ただ、このカンフル剤は、一度手を出したらやめられなくなる…わけではなく。かつてメ~テレはよく午前中にジャパネットをやってましたが、テレビ朝日の好調により、視聴率競争に参加できるようになってからは、やらなくなっています…つまり…目先の売上か、全体の視聴率か。
ジャパネットの生放送が放送されているかどうかで、その放送局のスタンス、立ち位置がわかるというわけですね。
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