14日の水曜、UFJ銀行とUFJ信託銀行を傘下に持つ4大メガバンクグループの一角、UFJホールディングスが、東京三菱銀行などを傘下に持つ三菱東京フィナンシャルグループとの経営統合を発表しました。UFJホールディングスは旧三和銀行と旧東海銀行そして旧東洋信託銀行がひとつになって形成された持ち株会社で、名古屋に本店を置く唯一の都市銀行であった東海銀行の流れを汲むメガバンクグループです。そのため名古屋に与える影響は計り知れません。
大阪を本拠としていた旧三和銀行と、名古屋を本拠としていた旧東海銀行。その統合の際は旧東海に配慮して、UFJホールディングスの本社は大阪に置いたものの、UFJ銀行の本店は名古屋に残しました。しかし今回の統合は事実上三菱東京によるUFJの救済なので、名古屋に本店を置くことはあり得ませんし、旧東海色はさらに薄れ名古屋離れは加速することでしょう。
ところがです。UFJホールディングスは信託銀行部門のみを三井住友フィナンシャルグループの住友信託銀行と統合することを5月に決定しており、住友信託銀行にUFJ信託銀行を売却することで基本合意し、合意書を交わしていました。
しかし、三菱東京との統合はあくまでも信託銀行部門を含めてとなっており、今回の経営統合によりUFJ信託銀行は三菱信託銀行と統合することとなり、住友信託銀行への売却は白紙となりました。その影響で、13日の終値が759円だった住友信託銀行の株価は、一時的に642円まで売り込まれました。
UFJ信託と住友信託の基本合意書には、双方が他の企業と統合に関する協議を行わないとする「優先交渉権」が盛り込まれていたために、住友信託銀行は法的手段をとることとなり、UFJホールディングスと三菱東京フィナンシャルグループの経営統合交渉差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請しました。
朝日新聞の報道によりますと、今回のUFJ・三菱東京の統合は三菱東京と旧三和首脳によって決められたもので、旧東海系幹部は完全に蚊帳の外という扱いだったのだそうです。UFJ内でもそのような状況であれば、三菱東京との統合でさらに東海色は薄れると言うよりも、全く影が無くなってしまうのではないでしょうか。
かつて名古屋の地方銀行と揶揄された都市銀行・東海銀行。UFJ銀行はなんとか名古屋に本店を留めましたが、今度こそ本当に名古屋から都市銀行本店が消える日も近い。
(メルマガ第35号より)
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