放送局が無くなると言うこと…RADIO-i
2013/12/22
写真:6月16日付中日新聞
15日夕方、在名テレビ局と通信社が報じた、
「名古屋のFM局が放送停止」のニュース。
それは、
RADIO-i(レディオ・アイ)の愛称で知られる愛知国際放送が、
9月30日をもって放送を終了するというもの。
放送を終了するって…一体?
翌日、各新聞でも取り上げられました。
特に中日新聞は経済面、社会面で詳報され、
これまでの経緯について、かなり厳しい状況に追い込まれていたことが
わかりました。さらには、意外なあの新聞にも記事が…。
実は、名古屋っ子にとって「放送局が無くなる」という事態は、
初めてのことではありません。
かつて名古屋市にあった2つのコミュニティFM局が、
放送を停止した過去があります。
それは、
・DANVO(名古屋中エフエムラヂオ放送/76.5MHz)
1998(H10)年5月29日開局 2009(H21)年4月1日無音に 同月7日停波
・SHANANA! FM(名古屋シティエフエム/76.1MHz)
1998(H10)年4月23日開局 2008(H20)年6月13日閉局
ただ、このうち下段の「SHANANA! FM」は、事実上、
2008(H20)年8月20日開局の「MID-FM」に放送を継承しています。
しかし、これらは、コミュニティFM局といって、
市区町村単位で放送を行う小規模なもので、
朝日新聞の記事によると、
過去国内では15局が閉局しているとのことです。
一方、今回放送停止を発表したのは、
日本民間放送連盟(民放連)に加盟している、
広範囲に電波を飛ばす、大規模な放送局であり、
以前の記事にも書きましたが、
我が国で初めての民間放送の開局となった、
1951(S26)年9月1日の中部日本放送(CBC)開局以来、
合併や免許継承を除いて、
放送を停止した民放連加盟の民間放送局は存在せず、
今回のRADIO-i(愛知国際放送)の閉局は、前代未聞の、
前例の無い出来事になります。
中日新聞の社会面記事によりますと、
—————–
RADIO-i(愛知国際放送)は1999(H11)年8月に設立され、
外国語放送局として開局し、20社以上の出資者がいたものの、
2008(H20)年に興和の100%子会社となったとのこと。
10年3月期の売上は6億5000万、純損失は2億1000万、
開局以来一度も黒字になったことはなく、
累積赤字は28億8000万円に。
9月30日で放送を終了し、年内に会社を清算する方針。
出向社員を除いた9人は解雇。
—————–
一方、経済面の記事によりますと、
—————–
2004(H16)年には興和から電子機器を販売する事業を請け負い、
2008(H20)年に経営効率化を狙って興和が全株式を引受けたものの、
09年3月期にはその影響で興和が赤字に陥ってしまったとのこと。
総務省は、「公共性から免許の返上を容認していないが、
最後は会社側の判断になる」との立場。
—————–
また、私の手元の資料によりますと、
開局時の株主数は26で、上位から、
興和、ジャパンタイムズ、トヨタ自動車、敷島製パン、中日新聞社、
東海銀行、名古屋鉄道、中部電力、シーキューブ、エフエム愛知、
電通…
と、見事なメンバーが並んでいます。
ひょっとして、興和の100%子会社化となった時点で、
閉局のレールが敷かれていたのでは?とも思えてしまいます。
でも、だとすると、今年1月に行われた、
ジングルを一新するほどの大改編は何だったのかとも思えますので、
本気で、効率化によって何とかなると思っていたのかもしれません。
しかし、リーマンショックとラジオ離れは想像以上だったと。
このまま行くと、日本で初めての、
民放の消滅ということになりますが、
以前、このサイトで「儲からないなら辞めちゃう!その潔さ」
という記事を書きましたとおり、
兵庫や福岡、大阪で起きている、
同じようなラジオ局破綻もしくは破綻同様の事例で、
延命治療によって放送を継続しているのに対し、
名古屋という土地ならではの「日本初の閉局」という、
潔さを表していて、思えば名古屋の閉局は正解だった…という、
そんな時が来るのかもしれません。
写真:6月16日付岐阜新聞
さて、今回このニュースで意外だったのが、
岐阜新聞も社会面で通信社配信の記事として取り上げていたことです。
RADIO-iは、岐阜県は正式エリアとしてカバーしていない上に、
送信場所の立地から、
電波も三重、滋賀、奈良方面には想像以上に飛んでいるものの、
東濃を除いて、岐阜県内では聞きにくいということもありますが、
それ以上に、どうして意外に感じたのかというと、
そもそも、岐阜新聞はラジオ欄に「RADIO-i」が無かったからです。
「FM三重」でさえ載っているのにです。
写真:岐阜新聞のラジオ欄
ひょっとして、この閉局の配信記事を見て、
「へぇ。愛知国際放送なんて放送局あったんだ。」
とか言ってたりしないですよね…。
といいますか、岐阜新聞グループとして、
このRADIO-iを引き受けたらどうですかね?
それはそれはセンセーショナルなことになりますよ。
長年の悲願だった、「広域局」になれるわけですからね。
RADIO-iはぎふチャンFMへ。
しかも、エリアが違うから、
AMのぎふチャンラジオと同内容でも、法的に大丈夫ですよね?
…。無いな。
RADIO-i閉局まで、あと、3ヶ月強です。
それにしても、この話題に言及しているブログなどで、
「RADIO」を「Radio」と書いている人がたくさんいるのを見ると、
放送に関することをブログに書く人でさえ、
この局のロゴを見たことすらないのかな…と、
認知度の低さを改めて感じますね。
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Comment
私の場合、エリアの関係からこの局は聞くことができなかった(新聞にも載っていないので存在も知らなかった)のですが、やはりこの時勢の中、ラジオ局に対してCMスポンサーとかもつきにくいんでしょうかね。
私はラジオを結構聞いている方のつもりなんですが(私の場合、音楽よりもトークを聞く方が好きなので、FMよりもAM放送ですね)、今の若い人たちはラジオよりもテレビ、テレビよりもネットということなんでしょうかね。
ところで、まったく別のことですが、同じマスコミとして新聞の存在意義がよくいわれるようになってきましたね。
ニュースはネットで見られる、どうしても必要な記事は職場で読む、ということで家で新聞を引いていない家庭も増えてきていると聞きます。
ま~、皆が皆ネットを見られるわけじゃないでしょうから新聞がなくなることはないと思いますが、読者数が減ってきたら毎朝配達する手間等考えるとかなり高いものになってしまうんでしょうかね。
>樋口正孝さま こんばんは
RADIO-iの最大の弱点は、その知名度の低さだと思います。
日本一の実行輻射電力51kwのパワーは半端ではなく、
三重県や奈良県で良好に聴取できたほか、
高知県でも受信できたとか。
まあ、実際のところを、電波が出ているうちに、
高知県まで試しに行くことは私にはできませんが…。
その地の利の良さから、電波環境としては恵まれていたはずなんですけどね…。
自分もAM、FMともにまだまだラジオはよく聞くのですが、
今の、特に若い夫婦の核家族の家庭には、
ラジオそのものが無いという状況が当たり前みたいですね。
車も、カーラジオがオプション化されていたりと…。
ネット、携帯情報端末と、選択肢が広がる中で、
日本の経済規模は収縮しているわけで、
まだまだ、ラジオに限らず、大きな動きがあるような気がします。
岐阜新聞は一時期、RADIO-iの番組表を載せてましたよ。
ただし、短波とかと同じ1/3サイズで。
岐阜市で岐阜新聞を取ってた人がこの局の存在を知らず、
「え、なんで載ってるのに知らないんだ?」
と思った記憶があります。
>あざとしさま こんばんは
ということは、意図的にRADIO-iを外した、ということなんですね。
関係は想像していたよりももっと断絶していたと…。
RADIO-iの閉局報道、僕もショックです。
東海地方では、過去に三重県の近畿東海放送と岐阜県のラジオ東海の2社が存在しましたが、合併して今日の東海ラジオ放送が誕生した経緯があります。
しかし、今回の報道は放送メディア業界にも大きな波紋であり、言葉になりません。
福岡県の九州国際エフエム(Love-FM)も開局当初から厳しい経営状態が続き、西日本鉄道(西鉄)の支援を受けて生き残ることになったばかりです。
デジタル時代を見据えて、今の放送業界は本当に厳しいですね。
RADIOiの公式サイトに
「愛知国際放送 RADIO-iは
2010年9月30日木曜日、深夜0時をもって、
放送サービスおよびホームページを終了させていただきます。
ながらくのご声援ありがとうございました。」
という告知が掲載されました。
いよいよ廃局が現実のものとなる日が近づいた様ですね。
話は変わりますが、RADIO-iの廃局を伝える岐阜新聞の記事の上に「有名に」という文字が出てますね。
勿論偶然の産物ではあるでしょうが、何だか、廃局のニュースが出たことでRADIO-iの知名度が上がったという皮肉な運命を暗示している様に思えてなりません。
決して対岸の火事と思えないのが私の感情です。
とりあえず、経緯を見守りたいと思います。
>ひーくんさま こんばんは
合併や転換で消滅…というのは過去には結構ありますよね。
その2社の他にもラジオ佐世保ですとか極東放送ですとか…。
ただ、純粋に放送局が消え去ってしまうというのは、
コミュニティFMを除いては初めてのことですから、
この衝撃は大きいです。まさに「終わりの始まり」のような…。
>いちみ。さま こんばんは
RADIO-iの放送でも、先週まではアーティストによる、
「10周年おめでとう」「これからのRADIO-iのパワーアップに期待」
コメントが頻繁に流れていたのですが、
今週からは全てその、告知と同じ文言のCMが流れるようになりました。
確かに、今回の一件で知名度は上がったかもしれませんね。
ただ、だからといって救済の名乗りは…あるといいのですが…。
>とくながさま こんばんは
これまで、関西や福岡の事例を対岸の火事として見て来たのですが…。
ラジオの衰退は、名古屋、福岡、関西といった地域事情ではなく、
この国の辿る道のひとつとして、
もはや逃げられないものなのかもしれません。
FMを聞く人って少ないように感じます。
周りはAMのトーク番組を聞いている人ばかりですし、最近はMP3やipodを車に持ち込んでいる人が多くラジオは必要がないと思っている人もそれなりにいるでしょう。
カーオーディオ自体、ラジオよりipodとの接続、MP3の再生に力を入れていますし、ニュースは携帯で見れますし、交通情報はナビでも表示が可能ですので。
RADIO-iに関してですが今までの例から経営状態がどんなに悪くなってもまさか廃局するとは全然考えていませんでした(そもそも廃局するほど経営状態悪いとも思っていませんでした)。
InterFMもテレビ東京と組んで、FM COCOLOもFM802に助けを求めて、LOVE FMも危ない状態なので外国語FMはどこも厳しいんだな~と。
LOVE FMもそんなに長く持つような感じもしませんし(助かっても深夜は停波)、同じ名古屋のZIP-FMも業績が良くないとどこかで見ましたので、これは外国語FMだけの問題ではないですね。
>TYさま こんばんは
ZIP-FMの業績は知りませんが、
このRADIO-iの廃局によって、ひとつの新しい時代に入ったと、
そういうことでしょうね。
“10月になるということ、それは「レディオ・ナイ」という生活”
TOPPYさんの友人が発したとされるこのセリフに、いたく感心しました。
私はRadio-iを、それこそ試験電波の段階からから聴いてきた者ですが (当時「試験電波受信記念」の文字が記されたベリカードは、今も手元にあります) 今思えば、送信所が三国山 (瀬戸・土岐) にあったということで、我が家ではそれまでの八事とは方角が約90度北東寄りになることから、八事とは別に受信アンテナを用意する羽目になったことなどが妙に懐かしく思い出されます (もっともアンテナのほうは、のちにケーブルテレビを引き込んだことにより、2本共撤去しましたが)。
ちなみにハンドルネームの「アイ・フロッグ」の「アイ」はRadio-iに由来しますが、「フロッグ」のほうは「蛙」すなわち「興和」を意味します。
別に、私は興和の関係者または回し者ではありません。ですが同社がRadio-i設立以前より、放送機器の販売を手掛けていることは知っていますので、特に映像関連機器の売り込みになぜ「ケロとコロ」を使わないのかと、いまだに思っています。
暇なことを書いたと思われるでしょうが、職場の上司に今回の廃局の話をしたら、彼は私にこう言いました。
「そうか。では興和はRadio-iを捨て、(百貨店の) 丸栄を選んだということだな」
なお、総務省ではこれを機に、「中京広域圏」における「(超短波=FM) 放送実施基本計画」の見直しに着手しても不思議ではないと思われるのですが、10月9日現在の時点で東海総通と本省、何れのHPを見てもそのような動きは感じられなかったことを記しておきます。
>アイ・フロッグさま こんにちは
興和といえば放送機器メーカー、というイメージは、
確かに一般の人にはありませんよね。
テレビの左上の時刻表示を見て、「あ、興和の時計だ」
なんていうのは、やはり放送マニアでしょうしね。
免許の扱いがどうなるかはわかりませんが、
返上されて割当が残ったとしても、
一度会社が潰れた割当に対して、どこかが手を挙げたとしても、
審査はより一層厳しいものになるでしょうね。
そして周波数割当も取り消される日はそのうちやってくるのでしょうね。