岐阜中濃のFMらら が独自アプリでサイマル放送を開始

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3月24日付中日新聞可児版

コミュニティFMは世界で聞ける時代

 日本のラジオ局には大きくわけで3つのタイプがあります。まずは「NHK」、そして都道府県単位や全国区で大きなエリアをカバーする「民放ラジオ局」と、市町村単位で小さなエリアをカバーする「コミュニティFMラジオ局」です。

 最近では、電波と同じ放送をインターネットでも流す「インターネットサイマルラジオ放送」を実施している放送局が多いのですが、NHKと民放ラジオ局は日本国内でしか原則的に聞くことができません。また民放ラジオの場合は、遠方のラジオ局を聞こうとすると、それは有料サービスとなります。

 その一方で、電波では市町村単位でしかエリアをカバーできていないコミュニティFMラジオ局は、インターネットでは全世界に向けて放送を発信できるようになっています。

 ただし、本来のコミュニティFMラジオ局の使命は、市町村単位の地域に密着した放送でありますから、結果として世界で聞けるというだけで、エリアに向けて放送を行うべきだという考え方が建前としてあります。

 とはいえ、コミュニティFMラジオ局がインターネットサイマル放送を実施すると、ネット環境さえあればどこでも聞けるようになるというわけです。

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この地方の局の対応状況

 世界中で聞けるといいましても、この「インターネットサイマル放送」を放送局が実施していなければ、聞くことはできません。もちろん、これを実施するためには、設備もそうですし、回線の手配、さらには、ネット配信するための著作権料も変わってきます。そのため、全ての局が実施しているというわけではありません。

 しかし、電波の出力が制限されているコミュニティFMラジオ局は、本来の放送エリアを電波で全てカバーすることができないため、サイマル放送の実施は急務とも言われています。

 ちなみにこの地方の状況ですが、このブログで紹介しましたとおり、昨年6月23日(月)の時点で、愛知県内の局は全ての局が実施に踏み切っており、残すは三重県のなばステ(名張市)と、岐阜県のHits FM(高山市)、FMらら(可児市・美濃加茂市・御嵩町)の3局のみとなっていました。このうちなばステは、スタジオ音声のみ配信を行っています。

いよいよ「FMらら」が開始

 その3局のうちの「FMらら」が、この4月1日からインターネットサイマル放送を開始すると、新聞紙上で発表がありました。形式は、独自アプリ。

 独自アプリでのインターネットサイマル放送は、岐阜県では初めてとなります。

 独自アプリは何より聞き方が簡単、スマートフォンの「App Store」もしくは「Google play」で「FMらら」と検索してインストールするだけ。それで、FMららの放送を聞くことができるようになるというわけです。

 また、パソコンからの聴取にも対応しているため、パソコンを使ってのタイマー録音といったことも可能になります。

独自アプリのメリット

 独自アプリの最大のメリットは、災害情報や緊急情報をプッシュ通知で知らせることができるという点です。いくら災害放送や緊急放送を実施しても、周知できなければ意味がありません。そこで独自アプリでは、プッシュ通知を活用。放送エリアで何か大変なことが起こった際には、まずは文字情報で通知し、それを見てアプリを起動すれば放送が聞けるという形になっているわけです。

 FMらら は、以前トッピーネットでも特集しましたとおり、かつて別のFM局があった地域で、災害時にそのFM局が機能せずそのまま閉局してしまったという過去を踏まえて設立された新しいFM局です。

 しかも、その災害時には不幸にも死者が出ており、あの時、FM局が機能していれば…ひょっとして…という地域の思いが、FMらら にはこめられています。

 開局からサイマル放送の開始まで、2年半もの時間がかかったのは、他局に比べると遅い感はあります。しかし逆に考えると、この独自アプリの開発は、FMらら としてサイマル放送を始めるのであれば、ただ世界中で聞けるというものではなく、徹底して災害情報を対象者に確実に配信できるシステムを、という考えがあってのことでしょう。

 いざというときにラジオ放送がライフラインになるのはもちろんのこと、ラジオをつけていなくても、アプリさえ入れていれば、地域の人のスマホに即座に情報が届くというこのシステムは、いかにも、災害の教訓から生まれたFM局らしいものだなと感じずにはいられません。

 また、地域に暮らしていなくても、出身者であったり、親がこの地域で暮らしているといった方にとっても、FMららアプリの存在は有用でしょう。

 ラジオ局だけど、ラジオだけじゃない。

 FMらら が「岐阜中濃の安心ラジオ」として機能するために、このアプリは大きな存在になるでしょうし、今後はその「運用」への挑戦の日々となります。

FMらら 専用アプリについて | FMらら – FMrara 76.8MHz

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