JR岐阜駅前の「黄金の信長像」は誰が何の目的で建てたのか?写真を撮るとそのヒミツがわかる?

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JR岐阜駅前(岐阜・岐阜市)

市制120周年を記念しているけど市が建てたわけではない

 再開発によって空中回廊がぐるっと駅前広場を囲み、住居としては中部で最も高いビルである「岐阜シティ・タワー43」がそびえるJR岐阜駅前。バスターミナルからは無数のバスが各方面へとシステマチックに運行され、かつての印象とは大きく変わりました。

 そんな岐阜市の新しい玄関で、訪問者を迎えるのが「黄金の信長像」です。

 全身が黄金の信長像。マントを羽織り、右手には西洋かぶと、左手には火縄銃を持ち、高いところから見下ろしています。

 この、黄金の信長像は、市制120周年を記念して2009(H21)年9月26日に設置されたものなのですが、岐阜市が建立したものではなく、ある団体から市に寄贈されたものなのです。一体、誰が、そしてこの像の真の目的は何か…勝手に推察します。

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制作費は3,000万円だった

 織田信長の像は各地にありますが、黄金なのは岐阜市のこの像だけです。黄金なだけあって、かかった費用は3,000万円。高さはなんと3メートル、台座も含めると11メートルという高さです。

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黄金の信長像(岐阜・岐阜市)

 信長はかつて「井の口」と呼ばれていたこの地域に「岐阜」という新たな地名をつけた名付け親なので、岐阜市に信長像があること自体は疑問を抱く余地はありませんし、黄金であることも、光り輝く功績を表現しているのでしょうし、岐阜と名古屋を擁する濃尾地区では、古くから仏壇などでも金色で光り輝くことが好まれているので、そこも理解できます。

 ただ、市制120周年を記念しているのに、市が建てたわけではないとなると、その3,000万円はどこから出てきたのでしょうか?

「信長公の銅像を贈る会」が寄付金で設置した

 設置された当時、毎日新聞でこのような報道がありました。

◇贈る会「新しい岐阜のシンボル。ぜひ協力を」

「信長公の銅像を贈る会」が寄付金で設置した金色の織田信長像の制作費3000万円のうち、約800万円が不足している。

募集期間は30日まで。現在は制作者に支払いを待ってもらっており、同会は寄付金集めにラストスパートをかけている。

(既に記事は削除済)

 この「黄金の信長像」は、「信長公の銅像を贈る会」という会が、寄付金を集めて建てたものだったのです。続報は無かったことから、きっと寄付金はその後集まって事なきを得たのでしょう。

 となると「信長公の銅像を贈る会」とは一体どういう会なのかが、気になります。

岐阜では2つの新聞社の張り合いが生活レベルまで影響している

 JR岐阜駅に降り立つと、大きな街頭ビジョンやいくつもの広告看板が目にとまるのですが、中でも、競いあうように大きな看板を出して張り合っているのが…。

 駅前で最も高い位置に大きな広告看板を出している、名古屋を中心に中部地方をブロックでカバーする「中日新聞」と、その一段低いところにある「ふるさとと歩む岐阜新聞 創刊1881年」です。

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 岐阜では、この中日新聞と岐阜新聞が熾烈なシェア獲得合戦を長年繰り広げています。

 岐阜新聞が岐阜放送(ぎふチャン)を作って、県内のラジオ・テレビを押さえると、中日新聞はラジオ・テレビ欄でぎふチャンを意図的に小さく掲載したり…。

 柳ヶ瀬に中日新聞がビルを建てて目立つようになると、今度は岐阜新聞が岐阜放送をJR岐阜駅の駅前に移転してさらに目立たせ…。

 岐阜新聞が長良川でこの地方最大規模の花火大会をやっていたところへ、その一週間前に中日新聞も同規模の花火大会をやるようになり、同じ日に岐阜新聞は大垣の花火大会をぶつけるようになったり…。

⇒参考記事「意地がぶつかり合い火花を散らす岐阜の花火

 とにかく、中日新聞と岐阜新聞の意地の張り合いは、市民生活を巻き込むほどに火花を散らしており、打ち上げ数3万発という大規模な花火大会自体が、この地方では唯一の存在であるにもかかわらず、それが2週連続で開催されるという事態も、この中日新聞と岐阜新聞の意地の張り合いから生まれたものなのです。そのため岐阜市ではこの季節、2週連続で交通規制・渋滞が発生し、まさに市民生活を巻き込んでいると言えるでしょう。

 それを象徴しているのが、この、並び立つ2つの新聞社の看板なのです。

写真を撮ればわかります

「黄金の信長像」を正面から写真に収めてみましょう。

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 見事、中日新聞の看板が一切入ることなく、信長の背後には

「ふるさとと歩む 岐阜新聞 創刊1881年 岐阜新聞・ぎふチャン」の文字がはっきりと映りこみます。中日新聞の看板と一緒に撮ろうとすると、無理な構図になってしまい、そんな構図で写真を撮る人はまずいないでしょう。

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 この「黄金の信長像」の本来の意図らしきものは、これでご理解いただけたと思います。わざわざ、高さを11メートルにしたのも、下から撮ったときに、この構図になるように…なのでしょうね。「信長公の銅像を贈る会」は、地元の企業の当時のトップらが発起人となっており、もちろんその地元の企業には…。

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 この前の土曜日は、長良川中日花火大会でした。一方、こんどの土曜日は岐阜新聞の花火大会です。花火を見るためにJR岐阜駅に訪れて、「黄金の信長像」を写真に収める際には、必ず、岐阜新聞の広告看板が映りこむことをご確認ください。

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