三重テレビ放送(三重・津市)
三重県は高校野球熱が高い?
28日(火)、高校野球三重大会は四日市市営霞ヶ浦球場で決勝戦が行われ、先制したいなべ総合が得点を重ねたものの、9回表に津商業が5点を得点する劇的な逆転勝利を飾り、甲子園への切符を手にしました。
津商業かつて、1961(S36)年の第43回の三重大会で優勝はした経験があるのですが、当時は三重県と岐阜県の2県で1校しか甲子園に行くことができず、三重大会のあとの三岐大会で県岐商に破れ、甲子園には行くことができなかったため、優勝は2度目なのですが、今回が春・夏を通しての初の甲子園となります。
さて、そんな三重県は高校野球熱が高く、決勝戦の日は日中誰も仕事をしていないといわれるほどです。その熱の高さは検証できませんが、三重県の高校野球には、他県とちょっと違った特長があります。
強豪校揃いというわけでは…
三重県は、高校野球熱が高いという話は耳にしたことはあっても、強いというイメージは無いという声を聞いたことがあります。昨年、夏の甲子園では三重高校が惜しくも決勝で敗れて準優勝となりましたが、三重県勢が決勝に進出したのは、唯一三重県代表が全国制覇を果たしてから59年ぶりのこと。春のセンバツの優勝も、1969(S44)年の一度きりです。
このように、三重県勢は常に全国で好成績を収める強豪校揃いというわけではないということがわかります。
ではなぜ、三重県民は高校野球が好きなのか?その理由の一つが、地元テレビ局・三重テレビによる高校野球中継ではないでしょうか。
1回戦からキャラバンで中継する
三重県では、地上波の民放テレビ局が5つ映ることになっていますが、うち4つは名古屋からの放送で、三重県のテレビ局は「三重テレビ放送」1つしかありません。
三重テレビは、東京のキー局によるネットワークに属していない独立テレビ局であるため、柔軟な編成をすることができ、高校野球三重大会については、開会式と初日の試合はなんとゴールデンタイムで特番として放送し、翌日からの1回戦も連日中継、決勝戦までずっと中継をします。
しかも三重大会は、四日市市営霞ヶ浦球場、津市営球場、県営松阪球場、伊勢市倉田山公園野球場の4つの球場で試合が行われるのですが、会期のはじめは伊勢市倉田山公園野球場、中盤は津市営球場、終盤は四日市市営霞ヶ浦球場とキャラバンスタイルで中継するため、極力同じ学校の中継にならないように配慮しています。
ただの野球中継ではない
さらに、三重テレビの高校野球中継は、ただの野球中継ではないのです。県に唯一のローカルテレビ局という圧倒的な取材力を活かし…
・○○選手はこの学校で甲子園に行きたいがために、親を説得して入学しました
・○○選手は病気で入院を余儀なくされましたが、今日この舞台に帰ってきました
・○○選手には亡くなったおじいちゃんとの約束がありました…
といった、選手の背景にあるエピソードを織り交ぜ、かつ、「○○監督にとっては、選手の頃からの宿命のライバルである□□高校との対決です」という指導者の人生とのリンクや、「かつては、三重大会で優勝しても甲子園に行けない時代がありました」といった三重県の高校野球の歴史エピソードもふんだんに取り入れることで、
予備知識ゼロで見ても、いつのまにか感情移入してしまう番組作りになっているのです。
三重テレビは愛知県でも広く映るため、準決勝以降しか中継されない愛知県民の間でも、この1回戦からの三重テレビの中継は見られており、三重県の高校野球事情に詳しい愛知県民もいるほどです。
なぜ三重県民は高校野球熱が高いのか
鶏が先か、卵が先か。どちらが先かはわかりませんが、三重県民が高校野球好きになる理由としては、このような要素が考えられます。
・三重テレビの感情移入できる1回戦からの全日程生中継
・キャラバン中継をすることで県全体の注目校がわかりやすい
・甲子園での活躍が少ないからこその、県大会こそ高校野球という風潮
・かつては三重大会で優勝しても甲子園に行けない時代があった反動
もちろん、代表となった学校を応援する番組もこれから放送されます。これも例年あるのですが「甲子園特別壮行番組」と銘打ち、今年は8月5日(水)午後9時から「がんばれ!津商業高校」という55分番組が放送されます。
今回の決勝戦。
各局共同の優勝インタビューは、監督に「もう一言しゃべらせてください」と言わせる水を差すものだったのに対し、試合後の三重テレビによる学校からの生中継では、監督だけでなく出場選手だけでもなく、控えの選手とすら和気藹々とアナウンサーが掛け合っている様子が放送されました。これを見比べただけでも、三重テレビがどれだけコアな部分まで取材をし、関係を構築しているかが手に取るようにわかりました。
あなたの県の地元民放テレビ局では、高校野球はどのように放送されていますか?
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