台湾で何が起きているのでしょう

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前回の総統選挙・当選決定時の選挙速報

議場を学生が占拠

まず、私は専門家でもないですし、台湾の言葉もわからないので、それほど詳しいことが書けるわけではありません。思ったところを書き記したものです。

今月18日(火)から、台湾の国会に当たる立法院の議場を、学生たちが占拠し続けています。これは、中国と台湾が互いの市場開放に向けて、昨年調印した「サービス貿易協定」について、国会の承認を阻止するためのもので、学生たちの主張は、

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審議が足りず、中身がブラックボックスであり、強行採決は許されないというものです。学生たちは、馬英九総統との面会、協定の撤回を求め、21日(金)正午までに回答を要求しました。しかし、馬総統は23日(日)の午前に記者会見を行い、このサービス貿易協定の必要性を改めて説明し、協定は撤回しないとの考えを強調し、学生たちの占拠は続いています。

さらに学生たちは、立法院の近くにある行政院に入ろうとして、警官隊と衝突したとのことです。複数のメディアによる報道をまとめるとこのようないきさつです。

その「サービス貿易協定」がどんなものなのか、ということになるわけですが、学生たちの主張によりますと、協定が発効されると、中国資本がほぼ無審査で台湾に流入し、台湾の中小企業が圧迫され、雇用が奪われる、さらには情報・報道業界が中国に支配されれば、言論の自由も奪われ、中国人が自由に台湾にやってこれるようになり、経済が中国と同化され、結果的には中国に飲み込まれてしまうことを危惧しているとのことです。

実際、ここ数年で台湾のメディアのなかには、中国資本が入ったことで、論調が変わってしまったところもあるそうで、逆に、なんとか中国資本による買収を回避した新聞社もあるとのことです。

一方の野党は、このサービス貿易協定の条文修正を狙って、逐条審議を求めたのですが、馬政権は修正を拒否、その馬政権の支持率がわずか10%前後にもかかわらず、強行採決しようとしていることも、問題視されています。

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馬英九候補に敗れた蔡英文候補の看板「TAIWAN NEXT」

台湾の国家元首にあたる総統、前回の総統選挙の際にちょうど台湾にいまして、いろいろと話を聞きました。簡単にですが。

馬英九氏は現職で中国国民党、中国に対しては融和路線を進めています。対立候補であった最大野党、民主進歩党の蔡英文氏は「TAIWAN NEXT」というキャッチフレーズを掲げました。民進党は、対国民党によって結集した野党という側面もあり、一枚岩ではありませんが、党の基本綱領として「台湾共和国の建設」を掲げています。まあ、今はそこまで過激に独立を是としているわけではないようですが。

そもそも、台湾は微妙なバランスの上に成り立っている、薄氷の上にあるかのような存在なのです。一党独裁で選挙すらない中国とは異なり、民主的な選挙によって総統が選ばれ、議会制民主主義となっています。かといって、独立国かといえばそうではない。

日本は、唯一の中国として中華人民共和国と国交を結んでいるため、台湾については独立した国家として承認していません。でも、台湾は自称独立国かのように存在しています。しかし、台湾は経済的に中国に依存しており、今回のサービス貿易協定の背後にも、台湾の経済は苦しく、中国とのビジネスによって経済を拡大したい、さらにはこの協定を土台にTPPへの参加を果たしたいという思惑があるのです。

日本もアメリカも台湾を国家として承認していない、もちろん中国も認めていない、そんななかで、国際的に関係を構築して、ビジネスを進めることが、いかに困難なことであるかは想像に難くありません。そもそも台湾は、よくもまあそんな曖昧な状態で、存在し続けていられるものだという存在なのです。

そのなかで台湾の人々は、話を聞いた限りですが、中国に対して独立を突きつけて攻め込まれるのも怖い、中国とつかず離れずで、とにかく現状維持を…という消極的な選択で、馬英九氏を総統に再選させたのではないか、そんな印象です。なので、支持率は低迷しているのでしょう。

日本の東日本大震災に対して、台湾は200億円もの義援金を送ってくれました。たった人口2,300万人の島がですよ?何かお礼の気持ちを表したいと思って、初めて訪れた台湾。自然も美しくて、食べ物もおいしくて、人も温かくて、最高のところでした。

そんなにお金はありませんけど、でも、食べることで、旅することで、楽しむことで、それが台湾に恩返しになるならと毎年台湾に訪れています。今の台湾が大好きです。毎年行きたくなるほどに大好きな今の台湾が変わってしまうのは耐えられません。とはいえ、それが、台湾の人々が望むものなら仕方ありません。

ところが、民主的な手続きも経ずに、ブラックボックスに隠された不平等協定を強行採決でだなんて。内政干渉なのかもしれません、日本人には関係ないといわれるかもしれません。でも、台湾が好きだから。いい方向に向かってくれることを祈っています。

日本のために、これからも防波堤になってほしいとか、台湾が取られたら次は沖縄だとか、そんな思いは微塵もありません。ただ純粋に、これからもずっと、台湾の人たちが幸せに暮らせる台湾であってほしい、そう願っています。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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