テレビ東京によるポケモンアニメの放送告知
ポケモンGOで叫ばれる地方の悲哀
スマートフォン用ゲーム「ポケモンGO」は社会現象とも言えるほどのスタートとなりました。厳密には、都会であるか地方であるかというだけの問題ではないのですが、やはり、ポケモンの出現についても、アイテムをゲットできるポケストップについても、「都会は優遇されているよなあ」と感じることが多々あります。
名古屋近郊に住んでいる自分も、最初は家の近くの緑地公園でゲームをやっていて満足していたのですが、仕事で名古屋の都心部に出かけてポケモンGOを起動したときに愕然としました。
地方はつらい…。地方のポケモンファンはつらい…。
ふと、かつて20年前のそんな記憶がポケモンGOによって呼び起こされた人が多いというのです。なぜでしょうか。
20年前のアニメも社会現象といえるほどだった
ゲームの大ヒットを受けて「ポケットモンスター」がアニメとしてスタートしたのが、1997(H9)年4月1日。放送枠は火曜午後6時30分でした。
その1年前まで、午後6時30分の枠はローカルセールス枠となっていて、テレビ東京系列のなかでも同時ネットされない地域もある不遇の枠だったのですが、ポケモン開始時には既に、テレビ東京系列6局同時ネットという体制になっていました。
その年の12月16日に放送されたポケモンでは、多数の視聴者が光過敏性発作などを起こしたいわゆる「ポケモンショック」が発生。
その回の視聴率は、テレビ東京では16.5%、テレビ愛知では21.3%。当時もポケモンは社会現象となるほどの人気となっており、他局のニュースでも「火曜夕方6時半になると、街から子どもが消える」と報じられるほどのものでした。
しかし、今のポケモンGOと違うところは、世代的に子どもたち「だけ」だったということです。
そしてもうひとつ、当時は本当にテレビ東京系列が見られるのは「一部地域」だった点があります。
BSもネットもない時代のテレ東系列
アニメ「ポケットモンスター」は、その人気の高さから、テレビ東京系列以外の地域でも放送されることはされており、現在でも兵庫県をのぞく46都道府県で放送されているのですが、いい時間に放送しているのはテレビ東京系列のみ。
いくら16.5%だ、21.3%だと言っても、90年代のテレビ東京系列にはBSもなく、また、当時はインターネットで動画を配信するなどというのは夢のまた夢の時代であり、今よりもテレビ東京のアニメにエリア外で触れるハードルはかなり高かったのです。
そのため、テレ東系列のエリア外の子どもにとって、ポケモンのアニメは「なんだか首都圏などでは人気があるらしい」感と、同じく1997(H9)年に始まった、テレ東系列の朝の子ども向け情報番組「おはスタ」という、「ポケモン情報を流す番組があるらしい」という情報を、コロコロコミックなどで知ることはできたとしても、それを実感することができない存在だったのです。
その「地方はつらい…。地方のポケモンファンはつらい…。」記憶がいま、ポケモンGOによって、フラッシュバックしているという側面もあるようなのです。
今も続くテレ東系の呪縛
ポケモンは毎年夏に映画が公開となりますが、この映画、伝統的にテレビアニメとリンクしていません。意図的な部分もあるかと思いますが、リンクさせようにもできないのです。なぜなら、地域によって放送のタイミングが違うからです。
46都道府県で放送されていると言っても、テレビ東京と同時に放送しているのは、系列の6局のみ。それ以外の地域では、放送時間も違えば、遅れのタイミングも違うのです。最大でも2週間以内には放送されるように、今はなっているようですけどね。
とはいえ、朝5時台という地域もあり、それらの地域と、夜6時55分のゴールデンタイムに放送しているテレ東系のエリアでは、アニメの存在感は全く違うことでしょう。
ただ、昔からミスマッチに思うのは、テレビ東京系列は京都をカバーできていないということ。ポケモンもそうですし、テレ東には伝統的に任天堂のゲーム番組なんかもたくさんあるわけですが、京都はエリア外なんですね。京都ではポケモンは日曜午前11時に放送されています。
ポケモンと「地方」の呪縛。まさか、子ども時代のアニメの悔しい思い出が、大人になってスマホアプリで呼び起こされるとは。そして、BSやネット配信全盛の時代になってもまだ、テレ東系アニメの「一部地域感」は、解消には至っていないという。あれから20年。
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