テレビ東京ホールディングス第7期中間報告書
新春時代劇が無い
テレビ東京の正月といえば、12時間の「超ワイドドラマ」な…時代が長かったのですが、2001(H13)年から10時間の「新世紀ワイド時代劇」となり、さらに「新春ワイド時代劇」と改題されて7時間、5時間と、年々放送時間が縮小され…。
とうとう2016(H28)年には「ワイド」の文字が外され、3時間の「新春時代劇」にまで行き着いてしまいました。そして2017(H29)年、正月のテレビ東京に時代劇は見当たりません。
ところが、株主向けにはこの12月に「時代劇」をアピール、しかもわざわざ12時間時代の「超ワイドドラマ」時代に触れているのです。その背景には何があるのでしょうかね?
必ずしも時代劇というわけでもなかった
テレビ東京の正月恒例12時間ドラマは、1981(S56)年にスタート。1979(S54)年と1980(S55)年に放送した、12時間映画一挙放送が好評だった一方で、12時間に及ぶ映画作品が無いことから、自前での制作に踏み切ったのです。
当初のタイトルは「12時間超ワイドドラマ」。時代劇作品がほとんどでしたが、なかには、先の大戦を描いた1983(S58)年の「海にかける虹~山本五十六と日本海軍」や、明治時代を描いた1984(S59)年「若き血に燃ゆる~福沢諭吉と明治の群像」といった作品もありました。
テレビ愛知が開局して最初に放送したのは「福沢諭吉」ということなります。また、その前年の作品「山本五十六」は、三重テレビが「開局20周年特別番組」として1989(H元)年にテレビ東京の協力のもとで12時間一挙放送を行なっています。
かつて「12時間超ワイドドラマ」は、セブン-イレブンの1社提供だったのですが、東海地区にはセブンイレブンが2002(H14)年まで進出していなかったため、テレビ愛知はセブンイレブンの提供が外されたためローカルでの営業を余儀なくされ、地元スポンサーがびっしりと埋まっていました。
話がそれましたが、最初の頃は時代劇とは限らなかったテレビ東京の正月の長時間ドラマですが、1985(S60)年からは32年間にわたってずっと正月に時代劇を放送してきたことになります。
ここ最近は、ヤマダ電機がスポンサーとなっており2016(H28)年は「YAMADA新春時代劇」となっていました。
2017年は放送が無い
2017(H29)年、例年時代劇を放送してきたテレビ東京の1月2日の番組表に、時代劇は見当たりません。代わりにあるのは、2時間20分枠の「新春ドラマスペシャル・釣りバカ日誌 新入社員浜崎伝助」です。
テレビ東京で2015(H27)年10月クールに放送されたドラマの新作スペシャルで、提供がヤマダ電機となっていること、放送時間も同じであることから、「YAMADA新春時代劇」の代替であることがわかります。
一方の見方では、テレビ東京が長年続けた「新春時代劇」の伝統が終わったともいえますが、かつて「ワイドドラマ」だった頃もあるという見方をすると、「新春ドラマ」の枠は繋がっているとも言えます。
株主向けの説明では
そんななか、2016(H28)年12月に株主向けに送付された「テレビ東京ホールディングス第7期中間報告書」はドラマ特集。「『らしさ』でつくるドラマの魅力」と題して、テレビ東京とBSジャパンのドラマの「らしさ」について詳しく説明されています。
気になったのは「時代劇」の項目。
わざわざ「(かつての)東京12チャンネルの社名にちなんで、1月2日に12時間のドラマを放送するという、他に類を見ない大胆な企画で注目を集めた新春ワイド時代劇」と、2017(H29)年は放送しないにもかかわらず言及。
「時代劇は古くから今にいたるまでテレビ東京・BSジャパンの看板番組として愛され続けています」とあるのです。
これは、どちらなのでしょう。
2017(H29)年も正月時代劇を制作する予定(もしくは制作した)が、何らかの事情で放送できなくなった?
新春時代劇は放送しないけれども、今後もちゃんと時代劇にも力を入れていきますよというアピール?
どっちでしょうかね?
ちなみに、1979(S54)年の初年は1月2日「12時間映画一気放送」で、1月3日は「12時間ウルトラワイドショー」という12時間の2本立てでした。まだ系列局を持っていなかったテレビ東京は、三重テレビの「安乗の海女」などと結んで、全国各地の正月の様子を伝える生ワイドとして、12時間ウルトラワイドショーを成立させました。
今のテレ東には、12時間の時代劇もあり得ないけど、12時間の生ワイドはもっとあり得ないですね。
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