2016年公開「ボルケニオンと機巧のマギアナ」
次のポケモン映画は「サン&ムーン」ではなかった
2017(H29)年夏に公開されるポケモン映画のタイトルとイメージが公開されました。公開日は7月15日からで、タイトルは「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」です。
まず驚いたこと。これまでポケモン映画といえばテレビアニメシリーズと連動という形をとっていました。テレビアニメとのストーリーの連続性は無いものの、登場人物などは基本的に「ダイヤモンド&パール」「ベストウイッシュ」など、その時に放送されているテレビシリーズの延長線上にあるストーリーでした。
しかし今回は違うのです。
原点回帰?初期ファンを取り込みたい?
2017(H29)年の作品タイトルは「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」です。
テレビアニメ「ポケットモンスター」がスタートしたのは、1997(H9)年4月1日(火)午後6時30分のこと。第1話のタイトルは「ポケモンきみにきめた!」でした。
まさにそのイメージのタイトルでありかつ、公開されたイメージが山に飛んでいくホウオウです。
当時はまだホウオウがどうかわからない、いや、ホウオウだとは限らない…という声もありますが、そのテレビアニメ第1話の最後に、サトシが空を行くホウオウらしき伝説のポケモンを見る様子と似たイメージとなっています。
ホウオウは、伝説のポケモンのなかで唯一映画化されていないポケモンであり、いよいよそこに触れられるのか…という声もあれば、原点回帰ではないか、あの頃夢中になった当時の子どもたちを取り込みたいのではなど、様々な声を聞きます。
2016年のポケモン映画で起こったこと
ポケモン映画は2016(H28)年に大きな節目を迎えました。公開された「ボルケニオンと機巧のマギアナ」は、XY&Zというタイトルになっていましたが、要はXYシリーズの締めくくり。
ストーリーとしてもメッセージ性が高く、ポケモンファンの間では評価も高かった作品でしたし、私としても、テレビアニメのシリーズ構成を担当されている冨岡さんが前作に続き脚本を担当されたことで、テレビアニメとの連動感も強く感じられいい印象の作品でした。
しかし。
数字的には惨敗だったのです。テレビ東京ホールディングスの第7期中間報告書によると、2016(H28)年の「ボルケニオンと機巧のマギアナ」の興行収入は21億円台。
これは、ずっと過去最低記録となっていた、2002(H14)年の「水の都の護神 ラティアスとラティオス」の26.7億円を下回ってしまった、2015(H27)年の「光輪(リング)の超魔神フーパ」26.1億円から、さらに5億円も下回る、大幅な最低記録更新となってしまったのです。
映画だけが一人負け
2016(H28)年は、この数字に言い訳ができない年です。それまでなら、まあ、ポケモン自体が漸減傾向であるなかで、映画の興行収入の減り幅は踏みとどまっている方だ…という印象もありました。しかし。
全世界的に「Pokemon GO」ブームが巻き起こり、20年前のポケモン発売以来のポケモンフィーバー、映画の公開はその国内リリースと同時期。しかも、かつてゲームを遊んだことの無い世代までにもポケモン人気は広がったという状況下です。
さらに、その後の11月18日に発売になったポケモンの新作ゲームソフト「サン・ムーン」は、11月の月間売上本数はダブルミリオンです。
そして、テレビアニメのポケットモンスターも、視聴率の数字としては3~4%という水準ではありますが、テレビ東京のアニメのなかでは毎回1位か2位の視聴率を維持しています。
スマホゲームは世界的人気、ゲームソフトはバカ売れ、テレビアニメの視聴率も悪くないなかで、映画だけ興行収入が奮っていないのです。ポケモンは。
しかも2016(H28)年は、アニメ映画もヒット作が多く、映画自体が不人気なわけでもありません。
ポケモンも人気、アニメ映画も人気という環境下で、ポケモン映画は一人負け。でも、見た人の評価は高い。
つまり、ポケモンの映画は、ポケモンが好きな人の中でも「ポケモンの映画が大好き!」という固定客しか見に行かないという存在になってしまっていると言えるのです。
2017(H29)年の映画が、テレビシリーズと連動になっていないのは、「あー、ポケモンの映画っていつものあの感じでしょ?」という固定観念を覆し、普段、映画は見に行かないポケモンファンをどれだけ取り込めるか、いや、取り込みに行かないともう、崖っぷちのところまで来たということでしょう。
テレビ東京の報告書には「興行収入21億円超えでシリーズ20作目へ弾み」とありましたが、実際には大幅な最低記録更新だったわけです。今度の映画で「きしかいせい」にならないと、本当にポケモン映画は終わってしまうかもしれない気がしてきました。
だからこそ、応援したいですし、期待したいです。だって、イメージどおり原点回帰の内容だとしたら、「これで映画を終わらせる」こともできてしまう作品になってしまうのですから。
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