東海のワイドFMアンテナ設置完了!標高701mの三国山から全方向に電波を発射

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三国山FM放送所(愛知・瀬戸市)

東海ラジオとCBCラジオがFMでも聞ける

 都市雑音や災害対策として、AMラジオの放送をFMでも聞けるようにする「ワイドFM(FM補完中継局)」が各地で整備されつつあります。既に5つの地域で始まっており、東・名・阪の3地域のAMラジオ局にも、既にワイドFMの予備免許が交付されています。

 そんななか、秋に開始の予定となっている、名古屋の2局(東海ラジオ92.9MHz・CBCラジオ93.7MHz)のワイドFM放送用アンテナが設置されたと聞き、見に行ってきました。

 これまでのFM放送は、県単位の「県域免許」であったのに対して、ワイドFMは広域AM局による放送となるので、果たして、どれくらいのエリアで、東海ラジオとCBCラジオがFMで聞けるようになるのか、アンテナの付き方によってある程度判明します。

 三重や岐阜に電波を飛ばすのかどうか、気になるところです。

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放送開始スケジュール

 既に、ワイドFMの放送が始まっているのは5地域。北から…

  • 秋田放送 「ABSFM901」 90.1MHz
  • 北日本放送「KNBラジオ+FM90.2」 90.2MHz
  • 南海放送「Fnam(エフナン)」 91.7MHz
  • 山口放送「エフエムKRY」 92.3MHz
  • 南日本放送 MBCラジオ 92.8MHz

 これらの地域でスタートしています。8月中に茨城(IBS)、秋には名古屋2局(東海・CBC)と新潟(BSN)、10月に長崎(NBC)、冬に東京3局(TBS・文化・ニッポン)、12月に広島(RCC)、そして来春に大阪3局(ABC・MBS・OBC)が開始する予定となっています。

 茨城放送は既に試験電波を発射しています。名古屋の2局(東海・CBC)は、電波を発射する送信所を、愛知県と岐阜県にまたがる三国山の瀬戸市側に建設中で、6月28日の時点では、送信アンテナを設置する鉄塔がまだ建設途中でした。

⇒「秋から東海とCBCがFMでも聞けるワイドFM…鉄塔建設中!見てきました

 いよいよ、アンテナが設置されました。

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縄張り争いがあるので…

 先ほども触れましたが、これまでのFM放送は「県域免許」です。名古屋にある@FM(アットエフエム)、ZIP-FM、NHK-FM名古屋は、どれも愛知県のみしか放送エリアとして認められていません。

 これに対して、東海ラジオとCBCラジオは愛知・三重・岐阜の東海3県を放送エリアとできる、広域免許です。これは東京や大阪も同様で、東京のFM局(TOKYO FM・J-WAVE)は東京都だけなのに、東京のAM局(TBS・文化・ニッポン)は関東1都6県。大阪のFM局(fm osaka・FM802)は大阪府だけなのに、大阪のAM局(ABC・MBS・OBC)は関西2府4県を放送エリアとしています。

 これまでは、AMラジオは音が悪い、雑音が多いということもあり、FMラジオ局はその「エリア格差」を呑んできましたが、AMラジオ局が同じFMステレオという音質で、しかも、格差のある状態でFM「にも」進出してくることを、面白いと思うわけがありません。

 実際には、免許上はその「格差」はあって当たり前なのですけれども、このワイドFMは、既存のFM局にも配慮されたものになっています。

 FMの電波は見通しが重要です。標高が高ければ高いほどよく飛びます。なので、@FMやZIP-FMが名古屋市内の東山タワーという、海抜約65メートルの低いところから放送しているのに対し、東海ラジオとCBCラジオのワイドFMが、標高701メートルの山から電波を出すとなれば、その「格差」は広がるばかり、ひょっとすると、アンテナに制約があるかもしれない?と思っていたのですが…。

アンテナは4面!

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 実際に取り付けられたアンテナは、名古屋側だけでなく4面全てに設置されていました!

 双ループアンテナ、1段3面+3段1面となっており、東海ラジオとCBCラジオは共用ではなく、それぞれに1段3面と3段1面が上下に設置されていました。

 名古屋方向には、東海ラジオ3段とCBCラジオ3段の計6段の双ループアンテナ。それ以外の3方向には各局1段ずつです。

 どれくらい電波は飛ぶのか、実際にどの方向のアンテナにどれだけの出力が割り振られるのかはわからないので、それは考慮せず、アンテナの見た目だけで推察してみます。

 かつてこの、三国山の同じ場所には、閉局したRADIO-i(愛知国際放送)というラジオ局のアンテナが設置されていました。RADIO-iのアンテナは2段1面。名古屋方向に出力5kWの電波全てが発射され、それ以外の方向に電波は出ていませんでした。

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 対して、今回の東海ラジオとCBCラジオのワイドFMは、名古屋方向に3段、それ以外の方向に1段となりますので、電気的な指向性を考慮しなければ、出力7kWの電波が

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名古屋・津:岐阜・大垣:恵那・中津川:豊橋・浜松
=3:1:1:1

 このような配分で出力されるということになります。名古屋方向以外は、RADIO-iの時はアンテナがついていませんでしたから、当時のRADIO-i以上に聞こえるでしょう、また、名古屋~津の方向も、RADIO-iよりは弱くなるかもしれませんが、RADIO-iは四国まで電波が飛んでいたといわれていますので、少なくとも現在の@FMやZIP-FMよりは、遠くまで電波が飛ぶものと推測できます。

 そして、アンテナには一切チルトがつけられていませんので、角度によって電波の飛距離を意図的に抑制するという設置の仕方も、見受けられませんでした。

電波はいつ発射される?

 まだ、アンテナに同軸ケーブルは接続されていないようですので、これからその工事が行われ、8月中には、まずは小出力での試験電波が発射され、9月にフルパワー、10月頃放送開始となるのではないでしょうか。

 それにしても、てっきり東海ラジオとCBCラジオでアンテナを共用するのかと思ったら、別々の設置でした。標高差があるので、局によって電波の飛びが若干異なるかもしれませんね。そして、アンテナが2組設置されたということは、共用すればもっとたくさんのFM電波を出すことも可能なはずです。

 @FMやZIP-FMも、このアンテナ環境を見たら、ここから電波を出したくなるでしょうね…。まさか、それを、見越しての2組?

 ワイドFMを聞くためには、90MHzよりも上が聞けるラジオが必要です。

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