開運の金屏風の前で…
まさに人生の門出ですから
9月1日にわが子が誕生しまして、そして「お七夜」である7日目に命名をいたしまして、命名書きをどうしようか。今はパソコンでもテンプレートがあったりするのですが、人生の門出にテンプレは無いですよね…。
でも、自分で書いても…。縁起の良い門出にしたいという願い。
名古屋を中心に活躍されている書道家の一ノ瀬芳翠先生が叶えてくださいました。もちろん、どなたでも書いてくださいますよ。
一ノ瀬先生の命名書きは、
普通に半紙にささっと書いてくださる…というものではありません。まず、先生は手を洗い、口をすすいで清め、開運の金屏風の前に硯蓋を置きます。足つきの漆塗りの台である硯蓋は、特別なハレの日、祝いの席などで料理が乗せられるもの。
そこに、340年近く前に作られた硯「蘭亭硯」。大切な時にしか使わないという由緒あるその硯に、日本酒で「国宝」という名の墨をすります。硯蓋の上には、七福神の文鎮、銅製の鯛の水滴(水差し)と、縁起の良いものが並べられます。
その様子を見ていると、ピリっと空気が張り詰めるといいますか、空間の空気の流れが変わるような、そんな「気」を感じました。
一ノ瀬先生は、命名書きをされる時は、いつもこうのような空間でされるそうです。人生最初の縁起というものを、とても大切にされていることがわかります。いざ、揮毫です。
一ノ瀬先生の命名書きは、男の子と女の子で異なります。
まず男の子の場合は、
空高く自由に駆け回るように、活躍しますように、との願いをこめて「凧」に命名書をしていただけます。
凧ですので、普段から部屋に飾っておくこともできますし、お正月飾りとして親戚が集まった際にお披露目できますし、地域によっては長男が迎える初めての端午の節句には、「初凧」として凧揚げをする風習があるところもあります。
かつては、女の子のお雛様のように、男の子には武者人形を贈る風習が凧になって今も残るという地域もあります。
端午の節句を迎えるごとにこの命名書きを一緒に飾って、その成長を祝うとともに、より高く、より駆け回るように、毎年の願掛けにもなりますね。
そして女の子の場合は、「羽子板」です。
羽子板の羽根が飛ぶ様子は、トンボが飛ぶかのよう。トンボの幼虫であるヤゴはきれいな水にしか住めません。ヤゴは害虫を食べてくれます。つまり、悪い虫を寄せつけずに、きれいな水から生まれた福は招くということなんですね。
さらに、羽根の黒い実は無患子(むくろじ)、病気をしない子という意味も含まれています。
そんな思いがこめられた命名書きは、自宅用、それぞれ父と母の実家用の3つをセットにして、生年月日、体重、身長も入れていただけます。凧も羽子板も飾っておけますし、実家にもほんと喜ばれました。
この命名書きは特別なものではなく、
どなたでも一ノ瀬先生は書いてくださいますので、ぜひ、お子さんが生まれた際には、一ノ瀬先生にご依頼いただければと思います。人生のはじまり、縁起を担ぎたいですよね。
他にも感謝状や卒業証書、贈答用の扇子、社名ロゴ、お品書き、お店の看板など、書家の先生の文字はやっぱり締まります。本物は違います。揮毫されているときの先生の顔つき、その瞬間、本当に何かが降りてきてるかのようで、筆運びに感動します。
普段の先生は本当に気さくですので、ギャップもまた、味わいです。
一ノ瀬先生、本当にありがとうございました。命名書きを見るたびにきっと、ずっと、誕生したときの感動を思い出せることでしょう。
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