秋から東海とCBCがFMでも聞けるワイドFM…鉄塔建設中!見てきました

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三国山FM放送所(愛知・瀬戸市)※6月28日撮影

この秋スタート予定

 AMラジオとFMラジオには大きな違いがあります。その違いのなかで、最もリスナーが感じる部分といえばやはり「音質」です。はっきりクリアなFMラジオに比べて、AMラジオの音質はモゴモゴと悪く、いくら、AMは大電力で電波が遠くまで届く…というメリットがあっても、夜間は混信にも悩まされ、音質も悪いというデメリットは、FMと比べるとどうしても劣った印象を受けてしまいます。

 近年は一部の局を除いて、ラジオ放送はインターネットでも配信されるようになり、ネット配信ではAMラジオ局もFMラジオ局も音質は変わりませんが、それでも、ネット配信の音質はFM放送の音質に及ばない上に、やはり、ネットでの配信は完璧なものではありません。

 そこで、名古屋地区ではこの秋から、AMがFMでも聞けるようになります。その工事はもう進んでいます。現場を見てきました。

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東海ラジオとCBCラジオがスタート

 具体的には、東海ラジオが92.9MHz、CBCラジオが93.7MHzにて、現在AMで放送されているものと同じ内容が、秋からFMでも放送されるようになるのです。もちろん、FMはステレオ放送。簡単に言いますと、東海ラジオとCBCラジオが、ZIP-FMや@FMと同じような音で聞けるようになるというわけです。

エリアが違います

 ただ、ZIP&@のFM組と、東海&CBCのAM組は、放送エリアが異なっています。ZIP-FMと@FMが愛知県だけを対象とした愛知県域放送局であるのに対し、東海ラジオとCBCラジオは愛知・三重・岐阜の東海3県(中京広域圏)をカバーする放送局ですので、同じFMであっても、東海ラジオとCBCラジオは、ZIP-FMや@FMよりも遠くまで電波を飛ばすことができます。

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東海とCBCのFMは三国山から

 ZIP-FMと@FMの電波は、名古屋市昭和区にある中京テレビ放送センターの通称・東山タワーから電波が発射されています。出力は10kWです。

 これに対して、東海ラジオとCBCラジオのFM電波が発射されるのは、愛知県瀬戸市と岐阜県土岐市の境にある三国山。出力は7kWです。

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名古屋の高層ビル群ははるか下に

 10kWと7kWでは、後者の方がもちろん出力が小さいわけですが、FM電波がどれだけ遠くまで飛ぶかは、実は出力よりも標高の方が重要になってきます。

 東山タワーの建っている場所の標高が海抜約65メートル+タワーの高さ162メートルで227メートルに対し、三国山FM放送所が設置される場所は海抜約670メートル。さらにそこにタワーが建設されるわけですから、東海ラジオとCBCラジオは、高さ634メートルの東京スカイツリーよりもさらにさらに高いところから電波を出すということになります。

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四日市のコンビナートもすぐそこ障害物なし!

これは…飛ぶわ…

 実際に三国山から見渡してみますと、現在はまだタワーは建設中でその高さの全貌はイメージできませんが、名古屋市内はもちろん、三重県の津あたりまで全然見渡せますし、三河も一望、岐阜市方面も大垣、その向こうまで、さらに北側も山並みはあれどバッチリ開けています。

 経営難から閉局してしまいましたが、かつてこの同じ場所に、出力5kWでFM電波を出していたRADIO-i(レディオアイ/愛知国際放送)というラジオ局がありました。RADIO-iは岐阜県に飛ばせないFM局だったので、南西方向だけにしか電波を出せなかったにもかかわらず、本州で一番カバー面積の広い民放FM局を自称できるほどエリアが広かったのです。

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岐阜市…大垣市方向も何も障害物なし!

 ここから、方向に制限されることなく7kWのFM電波を出す、東海ラジオとCBCラジオ。そのエリアは計り知れない気がしますし、実際にその電波の飛び方が判明したら、きっと、ZIP-FMや@FMも「俺たちだって、ここから電波を出したい!」ということになりそうですね。

 ただ、前述の通り、ZIP-FMや@FMはあくまでも愛知県域放送なので、ここから愛知県側だけに出そうとすると、歪なエリアを描くことになってしまい、実現は難しいような気もします。

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今回は北側にも電波が出るはずです

 秋からスタートする、東海ラジオ(92.9MHz)とCBCラジオ(93.7MHz)のFM放送。この数字を見てわかりますとおり、90MHzよりも上が受信できるラジオが必要です。ポケットラジオは、既に対応商品が家電量販店にもホームセンターにも並んでいますが、東海地区でラジオといえばやはり、車で聞くことが多いメディアですから、カーナビやカーステの普及が、このワイドFMの成功の鍵になりそうですね。

 かつてRADIO-iの送信所があった頃にも見に来たことがありましたが、改めて、ここから出力7kWで、東西南北に電波を出すとなれば、これは相当広いエリアが確保できそうだ…と思えます。試験電波の発射が待ち遠しいですね。

※当記事の写真はすべて立入禁止区域外から撮影したものです

参考記事:かつてこの場所にあったアンテナと、三国山と放送電波についての記事です。
⇒「ちぎられた電線…本州で一番電波が飛んだFM局の末路

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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