愛知環状鉄道(1990年撮影)
国鉄岡多線がようやくやってきた
岡崎と春日井の高蔵寺を結ぶ、第3セクターの愛知環状鉄道が1988(S63)年1月31日に開業しました。もともとは国鉄の岡崎と多治見を結ぶ「岡多線」と、瀬戸と稲沢を結ぶ「瀬戸線」の一部を継承して開業。「岡多線はいつになったら瀬戸まで走るのか?」と、幼い頃から「絶対に列車の来ない線路」だったところにようやく列車が走ることとなり、小学生の私は開業日に取材(?)に出かけたのでした。
車両デザインは小中学生からの公募
愛知環状鉄道の開業前夜。学校でチラシが配られました。「キミの夢を走らせないか。愛知環状鉄道 電車の色・デザイン大募集」。愛知環状鉄道の発足当時の車両デザインは、愛知県在住の小学5・6年生と中学生からの公募により決定したのです。最優秀作品は採用されるとともに、3万円相当の図書券が贈られました。
小学5年のときに学校で配られたチラシが今も手元にあることに、自分の物持ちの良さが改めておかしいと思います。
開業当時の車両は、白・赤・青の3色からなるデザインで、「フランスの国旗みたいだな」なんて言われつつ、2005(H17)年11月13日のさよなら運転まで18年近くにわたって走り続けました。
開業記念フリーきっぷは瀬戸らしく
開業日は地元テレビ局による生中継も行われ、小学生だった私は友人とともに山口駅から乗り込んだことを記憶しています。車内はまるで通勤列車のように押すな押すなの大混雑でしたが、記念切符を買うことができました。
開業日に発売された「開業記念1日フリーきっぷ」は、岡崎から高蔵寺まで全線を1日乗り放題で1,000円。沿線に陶器のまちである瀬戸市があることを反映して、セラミック製の切符となっていてキーホルダーとしても使えるように。利用すると裏面に使用日をマジックで書かれる仕様でしたが、もちろん私は使用おらずまっさらです。
発展し続けた30年・これからは
開業当時は時刻表もスカスカで、1時間に1本あるかないか、午後2時台には1本も無いなど、いかにも第3セクターの田舎の電車でしたが、今では1時間に3~4本と驚くほどの進化です。
それもそのはず。第三セクター鉄道等協議会に加盟する鉄道会社のうち、8社しかない黒字路線のひとつになっているのです。工場が立地し、高校や大学もいっぱい。沿線人口は今も増加傾向。ようやく来年春にはICカード乗車券が利用できるようになる見通しです。
愛環(あいかん)と呼ばれ、何が「環状」なのかと言われ続けて30年。環状運転となるためには、TKJ城北線などと一体運用される日を待たねばなりませんが、それはまた何十年というスパンで実現していくことなのでしょう。
愛知環状鉄道の開業日から30年の月日を見て来ました。小学生がオッサンになってしまいました。果たして、愛知環状鉄道が真に「環状」となる日を、私は見届けられるのかなあ。
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