岐阜・七宗町のトンネル
車でラジオを聞いていると、トンネルに入っても聞き続けられることがあります。本来、トンネル内にはラジオ放送の電波は届かないのですが、トンネルに「ラジオ再放送設備」を設置することで、それが可能になります。そしてそういったトンネルには入口に聞くことのできるラジオ局一覧、つまりはラジオ再放送設備が設置されている放送局の一覧が掲示されています。そんな掲示看板から放送局が減らされているトンネルを見かけました。どういうことなのでしょう。
国道41号を車で北上していると、違和感のあるトンネルに遭遇しました。そこにはトンネル内で聞くことができるラジオ局として、
- NHK第1 729KHz
- 中部日本放送 1053KHz(CBCラジオ)
- 東海ラジオ 1332KHz
とだけ書いてあり、他のラジオ局が書いていないのです。岐阜県で聞くことができるラジオ局はもっと多いはずです。さらに、どう見てもかつては書いてあったであろう放送局のスペースが4つあるのです。
目を凝らしてみますと、以下の4局が消された跡がありました。
- NHK第2 909KHz
- ZIP-FM 77.8MHz
- FM愛知 80.7MHz
- NHK-FM 82.5MHz
ZIP-FMとFM愛知は本来、愛知県のみを対象としている放送局なので、岐阜県では消されていても仕方がないといえば仕方がないのですが、NHKまでもが消されているのは穏やかではありません。
なぜなのでしょうか。
ひとつ推察できることがあります。トンネル内のラジオ再放送は、その場でラジオの電波を受信してトンネル内で再送信しているものではなさそうだということです。実際にはトンネル周辺では聞けないのに、トンネル内だけで聞けるということがあります。つまりそれは、放送の音声を別のところから専用回線などで送っているということなのでしょう。
「ZIP-FM」「FM愛知」「NHK-FM」の82.5MHzは名古屋市昭和区の東山タワーから放送されており七宗町まで電波は届きにくいでしょうし、「NHK第2」の909KHzは、NHK第1やCBC、東海ラジオに比べて出力が5分の1のため、電波が弱くて届いていない可能性があります。
そう考えると…。机上の計算ではここで「NHK第2」「ZIP-FM」「FM愛知」「NHK-FM」が聞けるかと思って再放送してみたら、実際には聞けず、トンネル内だけで聞けるという逆転現象がおこってしまったために、あとから省かれたということなのかもしれません。
ただ、もうひとつ不可解な点があります。NHK-FMは名古屋局は確かに82.5MHzですが、岐阜局は83.6MHzで別にありますし、近隣には飛騨金山局が83.1MHzで存在します。さらに、岐阜放送(ぎふチャンラジオ)、FM岐阜という民放の岐阜県域の放送局もあるはずなのですが、それは最初から設置されていません。
つまりこのトンネルは、机上の計算の時点で、愛知県の放送局しか想定されていないということなのです。愛知県のつもりでトンネル再放送設備を設置したら、実際には聞けない放送局があったので消しました状態と言うことができます。
「岐阜は名古屋の植民地」という言葉を、トンネルのラジオの案内看板で思い出すことになるとは。
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