写真:中京テレビが土地を取得した ささしまライブ24地区(名古屋・中村区)
名古屋のテレビ局のなかで唯一、都心部から離れた丘陵地にあるテレビ局、中京テレビ。その中京テレビが、新社屋建設用地を取得したと発表しました。中京テレビは、独自の電波塔(東山タワー)を持っていることから、新社屋への移転による影響は他局の比ではありません。これにより、何が起きる可能性があるのか、考察してみます。
中京テレビの発表によりますと
【中京テレビ】ささしまライブ24地区の土地取得について(PDF)
2016年度の竣工を目指し、ささしまライブ24地区東街区(7,120㎡)の土地を取得したとのこと。屋上緑化、壁面緑化、下水再生水の利用、免震構造の採用と、他のどのテレビ局よりも垢抜けた印象となります。
現在の中京テレビは、本社が昭和区の丘陵地に、そして営業・事業部門が栄にあるという状態になっています。なぜ、都心から離れた丘陵地にあるのか。
写真:中京テレビの現在の社屋(名古屋・昭和区)
名古屋におけるテレビ放送は、開局順にNHK、CBC、東海テレビ、名古屋テレビと、VHFのテレビ局は全て、名古屋テレビ塔から電波が発射されてきました。そして、中京テレビが、新しいUHFという電波を使って放送を始めることになったとき、テレビ塔にはもう、スペースが無かったのです。
そのため、中京テレビは自前の電波塔である「東山タワー」を郊外に建設し、その横に本社を構えたのです。
写真:中京テレビ放送センター・東山タワー
その後、東山タワーには、NHK-FM、FM AICHI、テレビ愛知、ZIP-FMのアンテナが乗り、5つの放送局が電波を出している状態となっています。これは、アナログ放送だけの話です。
地デジの電波はご存知のとおり、瀬戸市の瀬戸デジタルタワーから発射されているため、アナログテレビ放送が終了すると、この東山タワーからは、FM放送のみが電波を発射することとなります。
ということは…。中京テレビがこの東山タワーを維持する理由は…なくなります。
<1.東山タワーはどうする>
中京テレビが新社屋を建設するとなれば、当然、現本社も栄本部もいらなくなります。東山タワーも解体すると考えるのが自然ではないでしょうか。もちろん、まだ何も発表にはなっていませんが。
<2.FM放送はどうする>
東山タワーが解体となると、NHK-FM、FM AICHI、ZIP-FMという3つのFM放送について、どこから電波を発射するのか、という問題になりますが、アナログテレビ放送が終了すると、東山タワーと同様に、名古屋テレビ塔もがら空きになります。しかし、名古屋テレビ塔は存在し続けることが決まっていますので、名古屋テレビ塔から発射し、テレビ塔がFM塔になるという選択肢はあると思います。こちらももちろん、まだ何も発表にはなっていませんが。
<3.瀬戸デジタルタワーの抱える2つの問題>
当初、デジタルタワーは瀬戸ではなく、東山に建てられる計画でした。なぜなら、デジタル放送は、アナログ放送の中京テレビ・テレビ愛知と同じくUHF放送。東山にデジタルタワーを建てれば、これまでのUHFアンテナでそのまま、地デジを見ることができるはずだったからです。
しかし、東山デジタルタワー計画が頓挫し、瀬戸にデジタルタワーを建設したことで、各家庭がアンテナを立て直さなければならなくなったと同時に、瀬戸に送信タワーが移ったことで、電波が届きにくい場所が生まれてしまったという問題があります。
これが一つ目の問題です。中京テレビの新社屋移転を機に、東山タワー跡地に、東山デジタルタワー計画が再燃という可能性もあると思います。そして、瀬戸デジタルタワーには、もうひとつの問題があります。
それは、フェロシルト。フェロシルトとは、リサイクル製品として認定され、各地に造成・埋め立て用土壌として使用されたものが実は有害な産業廃棄物だった…というもの。このフェロシルトの未回収場所に瀬戸デジタルタワーのある瀬戸市幡中町が、いつまでも記載され続けているのです。
ひょっとして、瀬戸デジタルタワーの下に、埋もれてるんじゃないの?撤去は、瀬戸デジタルタワーを倒さないとできないとか…。このように、中京テレビが社屋を移転するとなると、ただそれだけのことにとどまらず、FM放送、デジタルタワーにも大きな影響を与えることになる…いや、それら思惑があっての新社屋移転なのではないかと思えてなりません。
今後の動向に注目します。そういえば昔、中京テレビの東山タワーのふもとから、フジテレビのオレたちひょうきん族に中継を入れたことがありましたよね。あれは衝撃でした。だって、その様子が放送されていたのは、フジテレビ系列の東海テレビだったのですから。
フェロシルト問題についてはこちらをどうぞ。
コメント
在名局で局舎を新天地に移転するのは珍しいケースですね。
私の知っている限りでは今までに FM AICHIぐらいしか無かったのではないでしょうか。
ささしまライブと言えばあおなみ線沿線ですが、CTV新局舎にイベントホール等が併設されて、『リニア・鉄道館』と共にあおなみ線の利用客増の一助になってくれれば…と思います。
それにしても「フェロシルト」という名前を久々に目にしてギョッとしました。
最近新聞やニュースで採り上げられなくなりましたが、瀬戸以外での回収は進んでいるのでしょうかね。
実は我が市でもフェロシルトが使われた場所があるという報道がありましたので…。
>いちみ。さま こんばんは
ですね。名古屋のテレビ局は、
地デジ化で新社屋…と言っても、
どこも既設の局舎に隣接という感じでしたものね。
ささしまライブ24地区がどうなっていくのか、
楽しみですね。
リンク先の回収状況を見る限りは、
瀬戸とあと数箇所を除いて、
ほとんど回収が済んでいるみたいですね。
処理されているのかどうか…は、知りませんが…。
母校の校歌の3番の歌詞が意味不明になってしまう(笑)