CBCテレビが初の試み

写真：中部日本放送（名古屋・中区）

日本初の民間放送局として、今から59年前の9月1日に開局した、CBCこと中部日本放送が、今週の木曜、これまた日本で初めてとなる、面白い試みを、デジタル放送で行います。

それは、「首位攻防2試合同時生中継」。

地上デジタル放送では、

普段、高画質なハイビジョン放送(HD)を行っていますが、それに代えて、これまでのテレビと同じ標準画質(SD)であれば、3つの番組を同時に放送することが技術的に可能です。

これを「マルチ編成」と言います。名古屋の民間テレビ放送局5局は、当初からこの3番組同時放送システムを導入しており、（三重テレビは2番組）いつでもそれを「技術的には」実現できるのですが、スポンサー事情からそれはほとんど実現していません。

なぜなら、現在の視聴率は「テレビ局単位」でしか算出されないため、1つのテレビ局が複数の番組を放送すると、どちらがどれだけの視聴率を獲得したのかわからず、CM料金・CM効果が曖昧になってしまうからです。

この地方ではかつて、地上デジタル放送が始まった当初、テレビ愛知が深夜のスポンサーがついていない時間帯に、海外のニュース番組を2つ同時に流すという、日本初のレギュラーマルチ編成を行いましたが、社長が変わったことをきっかけにやめてしまいました。

その後、東京ではTOKYO MXが積極的に行っているほか、スポンサー事情が無い、NHKもたまに行っています。

しかし今回、CBCテレビがゴールデンタイムの2時間を使って、2番組を同時に放送するというのですが、この2つの番組の性格が新しい。なぜ、今回はスポンサーがOKを出したのか。それはその、2つの番組の性格にあります。なぜならそれは、マルチ編成のどちらも「プロ野球」だから、ではないでしょうか。

片方のチャンネルでは「阪神×中日戦」もう一方のチャンネルでは「横浜×巨人戦」を中継するのです。つまり、どちらのチャンネルを見ていようとも、プロ野球はプロ野球。

視聴率が合算されても、スポンサーとしては納得ができるというわけです。なので、きっと、どちらのチャンネルも、同じCMが流れることでしょう。ただし、さすがにCMのタイミングまでは同じとはいかないでしょうから、ザッピングすると、同じCMを2回見たり…なんてことは起きたりするのでしょうね。

プロ野球ファンも、アンチプロ野球の方も、これをきっかけに、「通常番組」と「プロ野球中継」のマルチ編成が実現すれば…と思われるかもしれませんが、やっぱりそこは、スポンサーの説得が無理なんじゃないでしょうかね。

それに万が一、スポンサーの説得ができて、それが実現できたとしても、それはそれで今度、「通常番組をハイビジョンで見せろ」「プロ野球をハイビジョンで見せろ」なんて声が起きるんでしょうね。

今回のCBCの試みはとても面白いと思うのですが、こういったスポンサー事情、クレーム事情を考えると、今回のこれが限界で、先ほどの、通常番組とプロ野球の同時放送ですとか、野球の延長時に1つのチャンネルで野球を引き続き…といった、今回のものをさらに発展させたようなマルチ編成は、きっと実現しないだろうな…と。

ちなみに。アナログ放送とワンセグ放送は、有無を言わさず中日戦です。

地デジの室内アンテナって、どれくらいの電波の強さまで行けるんでしょうかね？アナログの場合は、多少弱くとも「映りが悪い」という状態が存在しましたが、地デジの場合は、弱いと映らないですものねぇ。地域によっては、この室内アンテナを買うのって、ギャンブルみたいなものですよね…。