他とは違うテレビ愛知と気を使うテレビ東京

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テレビ東京の番組を見ていますと、当然のことながら、番組の最後には、「製作TV TOKYO」「製作著作TV TOKYO」という表記が見られます。そこに添えられているキャラクターが最近変わったことをご存知でしょうか。

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テレビ東京は、アナログ放送では「12チャンネル」でした。かつては、放送局名自体が「東京12チャンネル」だったこともあり、テレビ東京=12チャンネルというイメージが強く、それはそれでブランディングとして成功していたのですが、今からちょうど10年前の2003(H15)年12月1日、地上デジタル放送(地デジ)の開始によって、チャンネルが変わることとなります。

テレビ東京は、地デジでは「7チャンネル」となったのです。

関東地区では、地デジの12チャンネルは放送大学となり、これまでの強い「12チャンネル」のイメージを払拭し、テレビ東京=7チャンネルのイメージを浸透させるため、この「TV TOKYO」の表記に、チャンネル名が添えられることになりました。

「7チャンパンダ」です。

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2010(H22)年7月から、当時人気子ども向け番組だった、「ピラメキーノ」のマスコットキャラクター、ピラメキパンダの頭の上に、電球のように「7ch」という文字が乗っけられ、「地上デジタル7ch宣伝大使」となったのです。それからは、ほとんどの番組で、
「製作・TV TOKYO 7チャンパンダ」という表記になり、テレビ東京は7チャンネルというイメージを強く植えつけるものとなりました。

これによって、困ったことが起きたのが、愛知・名古屋です。

名古屋に本拠を置く、テレビ東京系列のテレビ愛知は、7チャンネルではなく10チャンネルです。テレビ東京系列は全国に地上波6局、BS1局がありますが、そのうち、テレビ愛知を除くすべてが7チャンネル。テレビ愛知だけが7じゃないのです。名古屋でチャンネルを7に合わせますと、多くの家庭では三重テレビが映ることとなります。

しかも、三重テレビはテレビ東京の系列局ではないものの、テレビ東京から多くの番組を購入して流しているために、名古屋で「テレビ東京=7チャンネル」というイメージが
浸透しすぎてしまうと、テレビ東京の番組を見るために、三重テレビにチャンネルを合わせられてしまうという懸念があったのではないでしょうか。

7チャンパンダの元となったピラメキーノが、毎朝の5分番組に縮小されたこともあり、この秋のタイミングで地上デジタル7ch宣伝大使からは外され、そこに、バナナが登場したのです。

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これは、テレビ東京が開局50周年を記念して登場させた、新たなキャラクターで、名称募集を終え、年内には名前が発表されることになっています。このバナナ、バナナですから「7」にかかっていますし、体を折り曲げて直角になることで、「7」ようなカタチになって、「7」の印象をつけるものとなっています。でも、数字の「7」ではないわけです。

ここがポイントなのでしょうね。あまり「7チャンネル」「7チャンネル」を連呼すると、10チャンネルのテレビ愛知が困ってしまうけど、「7」の印象は強くつけたい。その結果が、この体を折り曲げて7のようなカタチになったバナナ、なのでしょう。苦肉の策、あっちもこっちも立たせた結果、という感じがします。

さて、この「テレビ愛知だけは別」、実は、今に始まったことではないのです。

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かつて、木曜洋画劇場もそうだったのですけど、民放連のCM放送基準に合致させるために、ナイター中継や映画といった長時間番組の冒頭に、「今夜のみどころ」という数分番組を設定することが多くありました。

しかし、テレビ愛知は「木曜洋画劇場今夜のみどころ」のネットを拒否。木曜洋画劇場自体を定時にスタートさせる格好で、その「みどころ」の時間にもスポットCMを流したのです。

そのため、テレビ東京の木曜洋画劇場の番宣CMには必ず、「今夜9:03[テレビ愛知は今夜9:00]」という文字が入れられていたのです。テレビ愛知は協調性が無い?

ではなぜ、テレビ愛知だけが7チャンネルではないのでしょうか。これについては、なかなか真相には近づけません。

「テレビ愛知は末広がりで名古屋のシンボルでもある8を希望」
「7はケーブルテレビでの中京テレビのイメージが強くテレビ愛知は避けたかった」
「三重テレビが力を使ってあらかじめ7を押さえていたという噂がある」

結局のところ、テレビ愛知と三重テレビというのは、中日新聞一家の末っ子とそのお兄さんなので、末っ子はお兄さんに逆らえないという事情があったのか、それとも、名古屋が東京に倣うのは恥という昔からの文化から、テレビ愛知は独自色を出したかったのか。

どれも憶測の域を出ません。これについて、関係者に取材をしても、上記のような理由を聞くことはできたのですが、その順序もわかりませんし、真相は別のところにある感じもして、釈然としません。まあとにかく、テレビ愛知は別なのです。それに対して、テレビ東京はとても気を使っていると言うことで、その結果がバナナなわけです。

さて、気を使っていると言えば、テレビ東京には、他のキー局には無い事情があります。他のキー局は、国策もあって、二十数局の系列局をもって、日テレもTBSもフジもテレ朝も、日本全国の9割方をカバーしているのですが、テレビ東京系列はわずか6局。
全国の7割弱しかカバーできていません。しかし、人気番組は、売れるのです。

テレビ東京系列が存在しない地域では、他のキー局系列の地方局が、テレビ東京から番組を買って放送するということがあり、これも、テレビ東京にとっては大きな収益源となっています。特に、ポケットモンスターや開運!なんでも鑑定団は、兵庫県を除く全国ほぼ全ての都道府県で放送されており、鑑定団に至っては、ゴールデンタイムに放送している、TBSの系列局なども存在します。

そのためか鑑定団は、その7チャンパンダもそうでしたし、このバナナも登場することなく、「製作 TV TOKYO」としか書かれていないのです。

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他の系列局でも放送される以上、「7」とは書きにくい…。他のキー局には無い苦労と気遣いが、テレビ東京には必要なわけですね。

かつて、地方の民放テレビ局が2つや3つの時には、どこのキー局にもあった問題なのですが、国策によって、ほとんどの地域で4系列が揃ったことで、全国紙とキー局と地方局が、本当の意味で系列化され、それが地デジでエリアもきっちり仕切られて、故・田中角栄氏が目指したものがようやく形になった、それが今の状態なわけですものね。

そもそも、東京12チャンネルは関東ローカル局として作られ、系列化は想定されていなかったわけで。

テレビ東京は、今後も系列局を増やすことは無いでしょうし、6地域では「高効率都市型ネットワーク」として収益を上げ、それ以外の地域では、番組をコツコツと売って収益を上げる、この構造はかわらないでしょうね。テレビ東京のマイナー感の原因のひとつでもあるわけですが、裏を返せば、都会でしか見られないというプライム感も出せるとは思うのです。

でもそれは…チープだけどアイデアで勝負の「テレビ東京らしさ」と繋がらないんだよね。

テレビ番外地―東京12チャンネルの奇跡―(新潮新書)

東京12チャンネルという響きも遠くなりますね。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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コメント

  1. チャン より:

    久しぶりにコメントします!(ブログのフォームが替わってから初めてです。)
    そういえば、「和風総本家」などテレビ大阪制作番組でも、たこるくんバージョンの「7」がテロップにでていますね。

  2. TOPPY/川合登志和 トッピー より:

    >チャンさま コメントありがとうございます

    そうですね。テレビ大阪も、たこるくんが7に
    しがみつくような形になっていますね。

    一方のテレビ愛知は、さすがに、
    テレ東とかで流れる番組に「10」とは
    入れていないようですね…。

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