三菱重工業長崎造船所 本工場(長崎市)
重工業の原点・日本近代化への挑戦そして今
このサイトでも大きく取り上げたことのある軍艦島など、幕末から明治にかけての重工業施設を中心とした、23施設が世界文化遺産への登録を勧告されました。その「重工業施設」とはどんなもので、世界遺産になるほどの、どのような影響が近代日本にもたらされたのか…。
その一端を体感できるであろう特別番組が、今度の土曜、13日(土)にテレビ東京系列で放送されることを知りました。かつてその姿を一目見ただけで、思わず圧倒された記憶が鮮烈なだけに、楽しみです。
遠目に見ただけなのに意味のわからない大きさ
今から6年前、長崎市に浮かぶ廃鉱の島・軍艦島(端島)に上陸するために、長崎港を訪れたことがありました。その長崎港を出航し、船から見える景色。ぼんやり眺めていると、想像を絶する規模の設備が目に入ってきました。
軍艦島レポートはこちら
⇒「島全体が廃墟・かつての未来都市へ」
それは、三菱重工業の長崎造船所でした。遠近法を崩してしまうほどの巨大クレーン。その規模が、視界に入ってくる情報から想像つかないという経験は、初めてでした。
そんな三菱長崎造船所からは、4つの施設がこの「明治日本の産業革命遺産」に含まれています。
三菱重工業長崎造船所 香焼工場(長崎市)
三菱造船所の原点
小菅修船場跡(長崎市)
その、三菱長崎造船所のさらに原点という設備跡にも、実は足を運んでいました。「小菅修船場跡」です。
小菅修船場は、日本で初めて蒸気機関を利用した洋式スリップ・ドックで、これは薩摩藩士の五代才助が、小松帯刀とイギリス人のトーマス・ブレーク・グラバーの協力を得て、建設したもので、それまで故障の絶えなかった中古船の修繕に、その威力を発揮しました。
小菅修船場は、地形をうまく利用しており、船台がソロバン状であったことから「ソロバンドック」と呼ばれ、グラバーの仲介によって、船体引揚げ用の蒸気機関など一切の設備がイギリスから輸入されたものです。
1869(M2)年3月に政府が買収し、対岸の官営長崎製鉄所の所管とし、これがのちに民営に移管され、現在の三菱造船所となっているのです。
まさにこの小菅修船場は、日本の産業の原点。黎明期の姿を今に残す貴重な遺構となっており、すべてはグラバーから始まったと言えるのです。
私も現場を見て、ああ、ここから始まったものが、あの、巨大な想像を絶する設備へと繋がっているのか…と、幕末から明治にかけてのわずかな時間で、日本の近代化は猛スピードで進化したことを実感できました。
土曜に放送される「奇跡の近代化 受け継がれる志」
そんな東洋一の造船所である「三菱長崎造船所」と、福岡県北九州市の「官営八幡製鉄所」にスポットを当て、そんな日本の近代化に挑戦した人々の姿と、その思いを今に受け継ぎ、支え続けている人々の姿を追ったドキュメンタリー番組が、13日(土)に放送されるそうです。
同じく、ものづくりの盛んな地域である東海地方にも、同じ想いで、明治日本の近代化の志を受け継いでいらっしゃる方も多いのではないかと、番組をご紹介させていただきます。
「TVQ九州放送 開局25周年 特別番組
明治日本の産業革命 世界遺産へ ~奇跡の近代化 受け継がれる志~」
放送:2015(H27)年6月13日(土)16:00~ テレビ東京系列全国ネット
出演:仲村トオルさん 村井美樹さん
テレビ東京系列ですので、こちらではテレビ愛知での放送ということになります。
普段から、地元の産業に向き合った番組を手がけているTVQ九州放送なので、名古屋とはまた一味違った、ものづくりの原点に触れられる番組になっていると思います。オススメです。もちろん、私も見ます。
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