25年前と変わらぬラジオ

今週月曜日(10日)の夜。この日は小雨がパラついていました。私は普段電車通勤をしているのですが、この日は雨も降っていたのと、前々から聞いてみたいと思っていました「蟹江篤子の夜はこれから」(東海ラジオ)を聞くために、翌日朝客先へ直行することにし、営業車で家路につくことにしました。

溜まっている仕事を大急ぎで片付け、「夜はこれから」の始まる夜7時ちょうどに、私の勤める東海ラジオ横のビルの地下駐車場を出発しました。「夜はこれから」は東海ラジオのナイターオフシーズンに流れている番組なのですが、毎年パーソナリティは変わります。今年は月曜から金曜まで女性アナウンサーが日替わりで担当されています。

月曜日の担当は蟹江篤子アナウンサー。蟹江さんと言えば月曜から金曜まで午前10時から正午まで放送されている「かにタク言ったもん勝ち」でタクマさんと絶妙な名古屋弁トークを展開するアナウンサー。しかしそのトークの奥は深く、物凄い量の雑学や知識が溢れんばかりに語られます。ちょっとしたひとつの出来事に対し、あれだけ話を膨らませてなおかつ、オチまでつける。いつも勉強させて頂いております。とお会いしたら思わず言ってしまいそうです。

蟹江アナは東海ラジオ唯一の女性正社員アナウンサーで、あの宮地佑紀生さんと同い年だそうです。もちろん「かにタク」を聞けばいつも蟹江さんのトークは聞くことができるのですが、この「夜はこれから」がなぜ聞きたかったかと言いますと、友人が「月曜の夜東海聞いてみろ、蟹江さん一人でしゃべっとるんだけど、選曲がすごいにー。」と言うのです。

なぜ、友人が私にそう言ったかと言うと、私は70年代に郷愁を感じると言いますか、70年代大好き人間なんですよね。CDを買ったりですとか、映画を見まくったりとかそこまでは行かないのですが、なんとなく70年代テイストに憧れとノスタルジーを感じてしまうのですよね。

この日、最初にかかった曲が「ラブミーテンダー/BBキング」。そしてニュース、天気予報、交通情報。「かにタク」とは違う、落ち着いた喋り。雨の日のドライブにはピッタリです。思わず「気分はほっと」(月~金16:00に放送していた)を思い出してしまいました。

さらに「プレイバックパート1/山口百恵」そして寺尾聡さんの曲。運転しながら曲をメモっていましたので、書きとめきれなかったものもありますのですみません。続いては「ヤングラブ/ダニーオズモンド」「恋のダイヤル6700/フィンガーファイブ」AMモノラルラジオからこれらの曲が流れてくると、本当に70年代にタイムスリップしてしまったかのような錯覚に陥ることができます。

続いては芸能情報のコーナー。東京中日スポーツの記者が電話で最新情報を伝えます。ここで松坂慶子さんへのエメラルド贈呈の話題が出たのですが、ただ芸能レポートだけで終わるのかと思いきや、電話を切った後、「エメラルドと言えば…」と蟹江さんが話し出しました。それによりますと、エメラルドというのは必ず傷が発生してしまう石で、傷の無いものは逆に人工石である可能性が高いんだそうです。

まぁ、どういう話が出るのかは、ある程度東京中日スポーツの人と打ち合わせをしていたのかも知れませんが、エメラルドの話が出ただけで、ここまで話を広げられると本当に「すごいなぁ」と思います。

私はAMラジオに対して、知識の塊であって欲しいといつも思っています。東海ラジオってそういうところがあるんですよね。タクマさんにしても宮地さんにしても、本当にいろいろなことをご存知。もちろん下調べをして話されているにしても、聞いた私が、次どこかに行った時や、同じような話題になった時にそのラジオで聞いた話をするだけで、随分物知りに見られるのですよね。

もちろん話が弾むという効果もあります。このエメラルドの話にしても、私が誰かと話をする時、エメラルドの話題が出たときにこの話をすれば話が膨らみます。AMラジオは私の大切な雑学の源なのです。

「恋文/由紀さおり」「心もよう/井上陽水」と曲は続きます。そして続いては今日は何の日といった話題だったのですが、ここでもありきたりな「○○の日」というものではなく、「昭和32年に雪男学術探検隊が出発した日」という何とも渋い話題。こういった他所では聞けない話を聞けるのが、蟹江さんのいいところです。しかもその話題の〆の言葉が、「あなたの前に現れるとしたら雪男と雪女どちらがいいですか?」

ラジオというのは、テレビと違ってマンツーマンなメディアだと思うんですよね。「みなさんこんばんは。」じゃなくて、「あなただけにこんばんは。」と言いますか。ラジオというのを複数の人間で聞くということはあまり無いと思うのです。だからこそ、こういった語り掛けというのが、とてもラジオのいい部分だと思います。

さすが蟹江さんはラジオのいいところを最大限引き出していらっしゃる。「心の旅/チューリップ」「レインレイン/ポールモーリアオーケストラ」そして、ブラザー・サン シスター・ムーンと曲は続きました。

8時ちょうどに家に着きましたので、ここでスイッチを消すこととなりました。蟹江さんの「夜はこれから」は、本当に久々にAMラジオらしい番組を聞いたなぁ。という想いに浸ることができました。

70年代と言いますと、私は幼少の頃ですのでほとんど記憶はないので時代の感覚が曖昧ですが、日曜に家族で出かけるとき、あの頃はまだFMやカセットがカーステレオにあまりついていなくて、いつもAMラジオを聞いていました、東海ラジオ「全日本歌謡選抜」、CBCラジオになりますが「キューピーバックグラウンドミュージック」などなど。

蟹江さんの番組を聞いていて、AMラジオが中心にあった、幼い頃の日曜の風景を思い出しました。そして夜、遊び疲れた帰りにウトウトしながら聞いていた東海ラジオ…。

放送はステレオ放送になっているものの、営業車のカーラジオはモノラルなため、ラジオから聞こえてくる音質は今も昔も変わっていません。多少音質改善などはされているかもしれませんが、あの頃ラジオで聞いた「恋のダイヤル6700」と、2003年11月10日に聞いた音はほとんど変わらないと思うのです。月曜の夜はあの頃の自分に会える…。

ところがです。東海ラジオが長年使ってきた現社屋のスタジオ、25年前も今も同じスタジオなのですが、今週いっぱいでお別れだそうです。来週からは新社屋の最新設備からの放送になります。音も良くなるのでしょうけど、それが少しだけ残念なような…不思議な気持ちになりました。これからも…東海ラジオとともに暮らしていきます。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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