PSが時間移動しなければならないのはパナソニックのせい?

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中京テレビ

名古屋で視聴率トップのローカル番組がなぜ移動?

 15日の放送で、中京テレビのローカル人気番組「PS三世」がこの春、放送時間を変更するとの発表がありました。移動先は金曜19時。「ゴールデン進出!」と沸きあがるスタジオでしたが…。

 この「PS三世」は、毎週15%前後の視聴率を安定して確保する、名古屋の民放ローカル番組のなかで、視聴率トップの番組です。確かに、現在の放送時間はゴールデンタイムではありませんが、逆に言えば、ゴールデンでないにもかかわらず、それだけの視聴率を誇るということは、相当根強い人気があるといえます。

 現在は「PS三世」というタイトルになっていますが、当初は「P.S.愛してる!」として1994(H8)年春にスタート。高田純次さんはその、21年前からずっと出演しており、一時期は名古屋にとどまらず、台湾でも放送されるほどで、P.S.愛してる!時代は、25.1%の視聴率を記録しています。

 現在でも、高い視聴率を維持しているのに、なぜわざわざ時間を移動するのでしょうか。実はそこには、TBSの影響があるといえるのです。え?中京テレビは日テレ系だよね?でも、そうなんです。

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日曜22時30分の日テレ系は長年ローカル編成

「PS三世」が放送されている、日曜の22時30分からの1時間。この時間の日本テレビ系列は長年、ローカル枠となっています。この時間東京では、かつては「進め!電波少年」、現在は「有吉反省会」、今も昔も「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」が放送されていますが、あくまでもローカル枠。関東を除く主要都市では、これらの番組は同時では放送されていないのです。

 ではなぜ、この時間はローカル編成となっているのでしょうか。それについては、かつてまだ、地方にテレビ局が1局や2局しかなかった時代にルーツを遡ります。

 テレビがVHFだけだった頃は、主要都市を除いてはテレビ局が少なく、日本テレビとTBSテレビのみが大きなネットワークを持ち、フジテレビとNETテレビ(現在のテレビ朝日)が系列局をいくつか持つ程度でした。日本テレビ系列は日本海側を中心に、TBSテレビ系列は太平洋側を中心としたネットワークとなっていました。

 当然、ひとつの系列では日本全国をカバーできるネットワークは存在せず、この当時、日本テレビ系列とTBSテレビ系列の2つの系列をまたがることで、全47都道府県をフルカバーするというネットワーク形式が存在していました。日本テレビ系列版と、TBS系列CBC版の「キユーピー3分クッキング」の2つが存在するのもその名残りです。

なぜ、日テレの日曜22時30分がローカル枠なのか

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TBSテレビ

 1956(S31)年の春にスタートした、TBSテレビの「ナショナルゴールデンアワー」もそのひとつでした。その後、「ナショナル劇場」「パナソニックドラマシアター」と続くこの枠は、「水戸黄門」「大岡越前」などが、松下グループの1社提供にて放送されました。

 松下グループは、全47都道府県で放送することにし、TBSテレビ系列では月曜20時に、そしてここです。

 TBSテレビ系列の無い地域の多くでは、紆余曲折を経て、日本テレビ系列の日曜22時30分の枠で放送されることが多かったのです。

 そのため、TBSテレビ系列の無い地域の日本テレビ系列局では、日曜22時30分は「ナショナル劇場」の時間となっていたため、日本テレビ系列では、この時間を長年、ローカル編成としてきたのです。

 それにより、番組制作能力のある都市部の日本テレビ系列局では、名古屋・中京テレビの「PS三世」をはじめ、大阪・読売テレビの「大阪ほんわかテレビ」、福岡放送の「ナイトシャッフル」といった長寿ローカル番組のほか、札幌テレビ「熱烈!ホットサンド」、テレビ岩手「夢見るピノキオ」、静岡第一テレビ「D-sports SHIZUOKA」、広島テレビ「進め!スポーツ元気丸」など、地元番組を放送している地域が多かったのです。

ナショナル劇場が終わった…

 全国4局化政策により、TBSテレビの系列局も増え、日本テレビ系列局による、TBSの「ナショナル劇場」のネットは減っていったのですが、それでも、秋田放送、福井放送、四国放送での3局だけは、この日曜22時30分に「パナソニックドラマシアター」を放送し続けていました。

 ところが、2013(H25)年春にパナソニックが1社提供をやめることを表明。「パナソニックドラマシアター」が終了。もともと、松下グループの意向により、日本テレビ系列でも放送されていたTBSテレビの番組ですから、パナソニックの1社提供でなくなった瞬間、日本テレビ系列で放送する意味は無くなりました。

 TBSテレビでは「月曜ミステリーシアター」として枠は続きましたが、秋田放送と福井放送は「有吉反省会」と「ガキ使」に、四国放送は読売テレビの「大阪ほんわかテレビ」と、本来の系列局の番組へと変更されました。

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日本テレビ

 日本テレビは、この時間を「パナソニック」に配慮して、ローカル枠にしていたわけですが、これにより、この時間をローカル枠にしている意味は、「地元番組を制作している地方局」のためだけになったわけです。

 そしてこの春、日本テレビはこの時間を「新設ドラマ枠」にすることを決定。PS三世が金曜19時に番組を移動するということは、このドラマ枠はネット扱いで、一方で、金曜19時がローカル枠になるということなのでしょう。

 ひょっとすると、この時間をドラマにするのは、系列局のなかで、にTBSのドラマを放送していた地域の視聴率が良かったのをヒントにしたのかもしれませんね。推測ですが。

 以上のような経緯から、「PS三世」が時間移動しなければならなくなったのは、パナソニックのせいと言えるのです。

この記事を書いた人

TOPPY/川合登志和

記事や脚本を書いたり、名古屋のラジオやテレビの構成作家をしたり出演したり、地域のFMラジオで喋ったりディレクターしたりミキサーしたり、講師したり、サイト作ったりしてます。

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コメント

  1. 通りがかり より:

    でも今回の枠移動は、各系列局に相当な打撃じゃないかと思います。

    TBSやフジもローカル枠の移動が多いですが、同じ19時台で違う曜日とか、19時台から20時台とかとは違い、今回は日曜22:30から金曜19時。
    日曜のあの時間だからゆっくり見られた番組達が、平日のあんな時間に移動されたら、一般の会社勤めの方は生視聴困難になるのは確実。今までの視聴者を失うことになるなぁと思った次第です。

    それだけでなくとも、この春の改編はゴゴスマをTBSがネットとか、フジが新昼ワイドを強制ネットにしたために、関テレのハピくる!が潰されたりと、キー局のせいで各ローカル局が振り回される事態になってますね。

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