ローカルラジオのネット配信

写真:サイマルラジオ-SimulRadio

最近はかなり少なくなってきたようですが、ラジオを聞く少年にとってのラジオの魅力のひとつに、遠くの放送が聞けるというものがあります。ノイズのなかから、名古屋にいながらにして、北海道や九州のラジオを聞く。ちょっとした旅行気分を味わえたものです。

遠方のラジオが聞けるのはAMだけ、しかも夜間のみ。かつてのAM局は、各地方でローカル番組を夜間に放送するというのが、当たり前でしたが、経営環境が厳しくなり、近では、夜間は東京の番組を流す局がほとんどになり、遠方のAM局を聞く意味がなくなりつつあります。

さて、ラジオにはAMとは別にFMがあります。FMには都道府県域の放送局のほかに、市町村単位の放送局「コミュニティFM局」が全国に200局ありますが、FMは特殊な環境(Eスポ)にならない限り、遠方の放送を聞くことはできません。

それがなんと、ネットで聞けるようになったのです。

6月2日にスタートした、「サイマルラジオ」です。

これまで、難しかった音楽の著作権問題をクリアし、番組中にかかる楽曲などもそのまま放送されるという、今までにない試みです。現在は3局しか参加していませんが、今月中には10局になり、近日中には19局に、さらに年内には、40局の放送が常時再送信されるようになるとのこと。

コミュニティFMにはピンキリありますから、番組やトークのレベルには、かなりバラつきがあるでしょうけど、このサイトの登場で、地方の香りをダイレクトに味わうことができるようになります。

これまで日本では、テレビやラジオの放送をインターネットで同時放送することに、放送局は積極的ではありませんでした。なぜなら、それは既得権益が崩れるからです。

たとえば、東京のテレビ東京がインターネットで見られるとなれば、同じ番組を多く放送している、愛知の系列局であるテレビ愛知ではなく、テレビ東京を見られてしまう可能性があるからで、キー局とローカル局の棲み分けが崩されてしまうという、踏み出せない事情があったのです。

ところが、コミュニティFM局は多くが、一部の時間を除いて独自の番組を放送しており、地域密着のオリジナルであることが、逆に、グローバルなネット配信に向いていたということになります。

しかし、ラジオそのものの媒体価値が薄れている昨今、結局のところ、こういうのに興味を示すのは所詮私のようなラジオマニアばかりで、一般の人に聞いてもらうには、その地域での、コミュニティFM局そのもののブランド力を上げることの方が、先決なのでしょうね。

以前、あるコミュニティFM局の取締役に聞いた、ラジオに必須な3つの要素「きっかけ」「内容」「いつでも接することができる」このうちのひとつが整いましたね。あとは「きっかけ」と「内容」のハードルをクリアすれば…。

そのハードルをクリアするようなコミュニティFM局は、このサイマルラジオをオマケ程度に考えていて、どう考えてもクリアできないような局ほど、このサイマルラジオにすがって、「これが実現すれば売上も増えるぞ~」と、餅を絵に描いていそうな気がします。

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